蒼井そらが妊娠報告でAV女優への差別を吐露。みひろ、麻美ゆま、紗倉まなもAV女優のスティグマを証言した過去が…

wezzy / 2018年12月14日 18時10分

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 12月11日に、元AV女優でタレントの蒼井そらが、現在妊娠5カ月であることをオフィシャルブログで明らかにした。

 日本はもちろんのこと、中国やタイなど東アジア各国で絶大な人気を誇る蒼井そらだが、新しい命の誕生を報告するめでたい内容のブログは、決して喜び一辺倒なものではなかった。ブログはこんな文章から始まっていた。

<AV女優が子供を作るなんて子どもがかわいそう。
結婚発表をした時、そんな言葉を目にしました。
いや、発表する前から、そんな言葉を目にすることは多々あったかな。
確かに、普通に、常識的に、一般的に考えるとそうなのかもなと
そう言われるのは、まぁ分からない事ではないと私は思うのですが
そこで、考えたんですよ。
子どもの不幸のこと。
AV女優の親だと不幸なのか。
それと
AV女優の親じゃなければ幸せなのか。
子どもが将来【絶対】にいじめにあう
そういう確率は高いと【思う】>

 蒼井そらがAV女優に対するスティグマ(他者によって押し付けられた負の烙印)について言及したのは、実はこれが初めてではない。

 彼女は今年の1月2日にオフィシャルブログのなかでDJ NONと結婚したことを報告しているのだが、そのなかの夫の人柄を紹介するくだりで、蒼井はこのように綴っている。

<彼はイケメンでもないし、お金も持っていないけど
アダルトをやっていたという事実や、
その他全てのことに対する私の不安を一気になくしてくれる人でした。
アダルトをやっていたことに後悔はないですが
世間の目に対する、後ろめたさがないわけでもない。
家族になるということは、そういう過去やこれからの未来で、
全ての受け入れが必要だと思っています。
だから、私を貰ってくれるなんて本当すげー奴だなって思います>

AV女優の「セカンドキャリア」問題

 「AV女優をしていた」ということが、その後の人生において障壁となる場面は、蒼井が直面したような「結婚・出産」だけではない。

 AV女優引退後のセカンドキャリアにおいても、一度決まった仕事がなくなったり、内定取り消しの要因になったりと、不当な扱いを受ける原因となっているようだ。

 蒼井とアイドルグループ・恵比寿マスカッツで活動を共にしてきた元AV女優で、現在は女優・タレントとして活動しているみひろは、安田理央『AV女優、のち』(KADOKAWA)におさめられたインタビューのなかで、このような証言をしている。



<映画のお仕事で、出演が決まっていたのに、主演の男の子の事務所のほうからNGを出されて取り消しになったことはありました。わたしの知らないところでは、もっとあったかもしれませんね。そういうときは、『なにをー!』って気持ちになる。『なんだよ、心ちっちぇえな!』って>

 「芸能界」という比較的偏見の少ないであろう業界ですらこのようなことが起こっているのだから、一般企業となると推して知るべしである。

 実際、大学時代にAV女優として作品に出ていた過去が判明し、それがきっかけでゴールドマン・サックスからもらっていた内定が取り消しになってしまった事例が報じられたこともある(「週刊現代」2016年6月11日号/講談社)。

 社会学者として文筆活動をしている鈴木涼美もそういった被害を受けたひとりだろう。

 彼女は日本経済新聞社に記者として勤めていた当時、AV女優として70本以上の作品に出演していた過去を「週刊文春」(文藝春秋)で報じられたことがあるが、その際、会社から「日経のブランドに傷をつけた」と言われたことを明かしている(「SPA!」16年3月8日号/扶桑社)。

 そういった差別は「AV女優にだったらなにを言っても構わない」という感覚を人々に植え付けているのかもしれない。

 その被害の顕著な例が、麻美ゆまだろう。

 麻美ゆまはまだAV女優として活動していた2013年、境界悪性卵巣腫瘍との診断を受けたため子宮と卵巣の全摘手術を行い、その後、抗がん治療も受けている旨を公表しているが、前掲『AV女優、のち』によれば、公表後に<AVでセックスをし過ぎたからだ><性を売り物にした天罰だ><AV女優だから子宮がんになったんだ>などという、筆舌に尽くし難いひどい言葉を投げかけられたという。

 麻美は<あれはきつかったですね。ただでさえ肉体的にきつい状況なのに、精神的にも辛かったです。やっぱりAV女優だからということで、そういう目で見られるんだなと実感しました>と当時を振り返っている。

紗倉まなが小説を書いたり、ニュース番組に出演する理由

 しかし、ここ最近は、AV女優の側からもこういったスティグマを乗り越えようとする発言が出るようになってきた。本稿冒頭に挙げた蒼井そらのブログでの発信もまさしくそうだが、現役のAV女優で盛んにその種の発言を行っているのが紗倉まなである。

 紗倉まなは、小説家として『最低。』『凹凸』(いずれもKADOKAWA)を出版したり、AbemaTVのニュース番組『AbemaPrime』でアンカーを務めたりと、AV業界以外での活動を積極的に行っているが、そういった仕事のひとつひとつは、社会から偏見を取り除くことになるきっかけになればとの思いで取り組んでいるようだ。

 紗倉は、フォトブック『MANA』(サイゾー)におさめられたエッセイのなかでこのように語っている。



<「AV出演=人生崩壊」というイメージを払拭できたら。偏見という厚い鉄製の壁を壊す作業を、今はアイスピックくらいの小さい工具でほじくっているような気持ちです。ちょこちょこといじるのが私の楽しみであり、仕事のやりがいでもあります。「もしかしたら、何かの拍子にツンとつついたら壊れるかもしれない」と希望を抱けるのも、ある意味で“グレーな領域の仕事”だからこその醍醐味なのかもしれません>

 「AV女優」という職業を選択したからといって、それは恥ずべきことでもなんでもない。ましてや、他人から差別されたり、不躾な扱いを受けるのはおかしなことだ。

 そういった状況は許容されるべきではないし、また、AV女優だけに限らず、どんな職業に就いていてもスティグマを抱えることのない多様性のある社会に変わっていくべきだ。

 蒼井は12月13日のブログで、妊娠報告のブログを読んだ人々から励ましの言葉を受けたことに感謝を示しながら、<人より試練だろうなとは思うし強く生きて欲しい、しか今は言えないな。もちろん丸投げしてるわけでは無いです。お母さんの子どもで良かった。って言われることを目標に頑張りたいです>と宣言している。

 お腹のなかの子どもが大きくなるころには、どんな生活や仕事をしていようがお互いを尊重する多様性を大事にした社会になっていてほしいし、私たちはそういった社会をつくる努力をしなければならないだろう。

(倉野尾 実)

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