『コブラ』寺沢武一氏の元アシスタント告発問題に見る、要介護者の性

wezzy / 2019年4月6日 19時30分

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 全世界での発行部数が5000万部を超える、漫画『コブラ』の生みの親、大御所漫画家の寺沢武一氏(64)。2016年にツイッターアカウントも開設し、ティアドロップサングラスをかけ豪快に笑う近影などがたびたびアップされていた。ところがそんな寺沢氏にまつわる衝撃の記事を4月4日発売の「週刊新潮」(新潮社)が掲載した。

 記事によれば寺沢氏は98年に悪性の脳腫瘍が見つかり、以後、3回の手術を行ったのだが、その後遺症で左半身が麻痺。要介護4のいまは車椅子生活を余儀なくされ、排泄や入浴の介助も必要な状態だという。だが氏はそんな状態にありながらも、衰えない性欲を持て余しているとして、元アシスタントの女性が告発している。

 同誌は、昨春から寺沢氏のアシスタントを務めたアラフォーの漫画家、葵正美さん(仮名)の語る寺沢氏へのケアを詳細に記載。葵さんがツイッターで叩かれているときに寺沢氏が加勢してくれた縁でふたりは知り合い、葵さんは大阪から足繁く東京に通うように。ある日、寺沢氏から助けを求める連絡を受けて駆けつけた葵さんは、過去に特養老人ホームでアルバイトしていた経験を活かし、凍えて失禁していた寺沢氏の陰部の洗浄やズボン洗濯など適切な処置を行った。これを見込まれ月30万円の報酬でとアシスタントに誘われ、上京して寺沢氏と同居することとなったのだという。

 だが漫画家アシスタントの名目だったが業務内容の実態は介護だった。そして寺沢氏が愛人との性行為に没頭していること、自慰行為の後始末として舐めるよう指示されたことなどを葵さんは語っている。報酬は最初に約束していた月30万ではなく、月10~15万円で、昨夏からはそれも6万5000円に減額されてしまったと葵さんは記事で訴える。

 訴えを要約すれば、セクハラ被害や暴言を受けたことと、約束の報酬が払われないことの告発、となる。

 この告発記事が出る直前、寺沢氏のツイッターにはある画像が投稿されすぐ削除された。その画像はLINEで何者かがメッセージを連投しているスクショであり「たんと睡眠薬のませたわ!」等、不穏な内容の連続。その後、寺沢氏は「俺に睡眠薬飲ませて散々いたずらしたらしい、言ってくれちゃんと抱いて上げたのに。」と投稿もしたが、一連のツイートは削除され、寺沢氏の事務所スタッフがツイートを連投し今回の騒動について説明した。

 それによると、寺沢氏はマンションの別室に数カ月住み込んでいた手伝いの女性(葵さん)に睡眠薬を投与され、7000枚の画像を盗撮されたという。さらにこの画像を女性は知人らに送信したほか、寺沢氏のLINEやツイッターを乗っ取ったことがわかったため、クビに。退去させられ逆恨みした女性が“ネタを週刊誌に売り込んだ”のだという。



 不穏なLINEスクショのアイコンからは、すぐにこのアシスタントが誰であるのかが特定され、この女性本人と思しき「寺沢武一先生の元アシスタント」なるアカウントも誕生し、Twitterでは寺沢氏とのLINEのスクショなどがバンバンと公開され続けている。

 寺沢氏が飲まされたという「睡眠薬」については、女性は「予め医師から処方されたお薬を、承諾のうえ飲んでいただいただけです。無断で飲ませたことなどありません」と釈明している。

 元アシスタントの女性と、寺沢氏サイドの言い分は大きく食い違うが、問題は大きく3つに分けることができる。

(1)当初約束していた月30万円の報酬について。そもそも本当に30万円で双方が合意していたのか、また実際の支払金額はどうだったのか。(2)性的な内容を含む要求や、セクハラの存否について。(3)睡眠薬の服用が寺沢氏の意思に反したものだったか。

(1)の報酬については元アシスタントのアカウントがLINEのスクショをアップしているが、これを見ると寺沢氏が30万円と伝えているようには見える。ただ、事務所は女性によるLINEアカウントのっとりも主張しているゆえ、そのスクショも真偽がわからない。

(2)のセクハラや過度な要求については寺沢氏サイドからの言及はない。「週刊新潮」記事には「葵さんとは関係もあった。僕の家の風呂に勝手に入って下着姿で歩き回るような人だから、セクハラというほど嫌がっていたとは思いませんでした」という寺沢氏のコメントが載っているが、事務所スタッフは「これは週刊誌側の作成文」とツイートで否定している。

(3)はもし女性が寺沢氏に睡眠薬を盛ったとしたら非常に危険な行為だが、その場に寺沢氏と女性が二人きりだったとしたら、真実はもう見えない。

 この騒動ではっきりしているのは、漫画家の女性が介護アシスタントとして従事していたということだ。一方的な押しかけだったのか、寺沢氏に請われてのことだったのかはわからないが、ヘルパーのいない夜間の介護業務を数カ月間、この女性が担っていたことは事実なのだろう。



 寺沢氏の周囲には事務所スタッフ、妻子、愛人、元愛人など様々な人間がいるようだが、寺沢氏に夜間の介護が必要な状態だということが明らかでありながら、「“押しかけアシスタント”と呼」ぶようなこの女性にそれを任せていたのは、一体なぜなのだろうか。日中はヘルパーが世話してくれても、夜は同居人すらおらず、寺沢氏がひとりだったとしたら、その状況に問題があったのではないだろうか。

 また、もうひとつ別の問題も見受けられる。女性側の主張を聞くにしても、愛人とのやりとりや性欲云々など寺沢氏のプライバシーを暴く内容を掲載した「週刊新潮」も、リベンジポルノに加担している側面はないか。寺沢氏の事務所スタッフはTwitter上で<毎週発刊される週刊誌の、ごく一部の欄を埋めるために、(中略)おもしろおかしく祭り上げ、侮辱し、尊厳を傷つけるという行為>だと憤る。

 要介護者の性は複雑かつデリケートな問題だ。そしてごくプライベートな領域のことでもある。少なくともその点については、記事にするべきではなかったのではないだろうか。

(鼻咲ゆうみ)

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