NGT48暴行事件で隠され続ける「秋元康の責任」AKBシステムに斬り込んだ宇多丸

wezzy / 2019年4月24日 16時15分

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 NGT48暴行事件は「山口真帆の卒業」という最も後味の悪い展開になった。これを受けてワイドショーは、暴行の被害者である山口真帆を守るどころか、「厄介払い」でグループから追い出したAKSおよびNGT48運営への批判を行っている。

 たとえば、加藤浩次は4月22日放送『スッキリ』(日本テレビ系)のなかで、<俺、これじゃもうダメだと思う。時代が変わってきているし、こういったことがない組織にするための努力を組織がしていかないと、なにも始まらない><昔は隠す、隠ぺいするってことが色んなところであったと思う。でも、いまの時代、組織を守るためには、嘘をつかないで全部言うことが組織を守ることなんだと、いまはもう変わってきていませんか>と語り、山口真帆を追放することで事件の真相を有耶無耶にしようとするAKSの隠ぺい体質を徹底的に批判した。

 加藤のこの発言はインターネット上で大きな反響を巻き起こしたのだが、しかし、そのなかで決定的に抜けているものがある。AKB48グループの「総合プロデューサー」である秋元康氏がここにいたるまで公の場で暴行事件に言及したこともなければ、まともなコメントを発表したこともないことへの批判である。

ライムスター宇多丸が秋元康の責任問題に言及

 地上波テレビはどのワイドショーも同じようなもので、AKSの対応については批判しても、AKB48グループの象徴的な存在である秋元氏に関する言及はまったくない。

 そんななか、ヒップホップグループ・ライムスターのメンバーで、ラジオパーソナリティーとして人気の宇多丸が秋元氏の不自然な「沈黙」を明確に批判した。宇多丸は4月22日放送『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)のなかでこのように語っている。

<接触が多いグループの先駆けなわけですよね。AKBグループ全体が。まあ、握手会とかがあって。ファンとの接触が多い。なおかつ、地域密着型であって、こういうことが起こりかねない。起こりやすいかもしれない。で、実際こういう怖いことが起こってしまったというときに、このシステムそのもの全体の責任者である、いまの組織構造がどうなっているかは知りませんけど、まあ、僕らから見て組織全体の、こういうシステムの考案者である秋元康御大はやっぱり公の場に出て大鉈を振るって何かやるなり、ちょっとこのシステムそのものがもっている危うさが露呈しているわけだから。いまどういう立場で、NGTとの距離感がどうとか知りませんけど、僕らから見ると『秋元さんなにか言わないのはおかしいですよ』って感じはすごいしますよね>
<いまからでも僕は、秋元さんコメント&アクションをまさに起こすべきことではないかなというふうに思ったりしますね。まだグループが存続するんであればなおさらというかね、感じがいたします>



 秋元氏は『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ)に2回ゲスト出演し(2013年と2015年)、宇多丸からアイドルグループのプロデュースの仕方や作詞術についてのインタビューを受けている。

 そういった縁があるなか、宇多丸が明確に秋元氏の説明責任について言及した意義は大きい。そのような言及は在京の放送メディアでまったくなされていないからだ。

 宇多丸が指摘した通り、NGT48暴行事件が発生したのは、「握手会」を通じてメンバーとファンにつながりが生まれ、その結果としてセキュリティーに穴ができてしまったからである。

 であれば、「握手会」というシステムをつくりだし、そこから莫大な収益を得ているはずの秋元氏がこの問題に対して「知らぬ存ぜぬ」の態度を貫き通すことが許されるわけはない。

NHK新潟は「秋元康」の責任問題を指摘

 しかし先に述べた通り、在京のテレビ局によるニュース・ワイドショーで宇多丸のような指摘がなされることはない。

 とはいえ、地方ではいささか状況は異なる。NHK新潟のニュース番組『新潟ニュース610』は、4月9日放送回でNGT48暴行事件を特集したのだが、そのなかで秋元氏の責任について真正面から斬り込んでいたのだ。

 番組は、3月22日に行われた調査報告会見で、秋元康氏の不在の理由を記者から問われた松村氏の発言に着目した。

 松村氏は記者の質問に対し、<NGTの運営ということに関しては、弊社AKSが全権を握っております。それを全面的に対応しております。報告書の中にございましたように、秋元さんはクリエイティブのところを中心に担当されているので、ということでご理解いただければと思っております>としたうえで、<秋元氏は今回の問題を大変憂慮している。『メンバーのケアを考えなさい』と叱責された>と述べている。

 これについて、番組に出演した若槻良宏弁護士は、<組織運営の権限のないはずの秋元氏が、経営者の松村氏を叱責している>という矛盾を指摘。そして、<本来であれば、監督を受ける立場は上司や代表取締役であるわけですが、そうでない方(秋元氏)から指揮監督命令を受けていることはまさに企業のガバナンスが問われる。この会社は誰が意思決定をして、誰が責任を負っている会社なのか、不明瞭になる発言だった>と説明し、AKSという組織の杜撰さをハッキリと批判した。



 さらに番組は、AKSが今後ガバナンス強化にどのように取り組んでいくか示していないことを挙げ、経営トップの吉成夏子氏、また総合プロデューサーの秋元氏が表に立って説明することを求めている。

「秋元康はAKSと関わりがない」は理屈が通らない

 インターネット上の言説では「秋元康とAKSは関わりがないからコメントを出す必要はない」との「逆張り」が横行している。

 堀江貴文氏がツイートした<そもそも組織のトップは秋元さんじゃねーだろ笑。ちゃんとみろ。世間一般がそう思ってるだけだろ笑><お前単に秋元さんが困ってる顔して出てきたりするのを面白がって溜飲下げて、つまらないお前の人生に少しでも潤い与えたいんだろ。可哀想なやつだな>といった発言はまさにその典型だろう。

 しかし、宇多丸が指摘した通り、秋元氏は自らが作詞した楽曲のCDをNGT48メンバーの「握手」によって大量に売っており、それが事件の遠因をつくりだした。また、NHK新潟が指摘するように、秋元氏は<組織運営の権限のないはずの秋元氏が、経営者の松村氏を叱責している>という不可思議な立場にいる。

 繰り返しになるが、これで「関わりがない」は通らない。

 秋元氏は早く公の場に出てこの問題について発言をするべきだし、このまま逃げ続ける秋元氏に対してメディアは追及の声をあげてほしい。ラジオや地方のテレビ局だけではなく、在京キー局のテレビ局も「忖度」をやめるべきである。

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