舞台俳優の「またオカマ役」コメントに非難殺到 「ゲイ」「トランスジェンダー」に差し替えも火に油

wezzy / 2020年9月18日 20時0分

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 ある演劇の上演決定のお知らせが、ツイッターで大炎上している。

 9月14日、鴻上尚史氏がプロデュースするKOKAMI@network『ハルシオン・デイズ2020』の上演決定のリリースが『チケットぴあ』や『ステージナタリー』といった複数のメディアで配信された。物議を醸しているのは、『ミス・サイゴン』や『レ・ミゼラブル』など数々の舞台作品に出演し、シンガーソングライターとしても活動するミュージカル俳優・石井一孝氏の下記のコメントだ。

<「またきてしまったのか...ゲイの役が」。率直な第一印象である。『蜘蛛女のキス』というミュージカルでモリーナという愛深きゲイを演じたのは10年ほど前だったか。「女言葉と内股」という設定がなかなか馴染まず、当然稽古が嫌で、セリフを覚える気も起こらず毎晩ボーリング場に通った苦い思い出。しかし相手役や仲間に励まされ役を掴むようになると、女心がわからなかったはずの私が生き生きと女を生きられたのだ。今ではもうすぐに女になれる...気がしている(笑)。しかし鴻上さんとは初めまして。気を引き締めて挑みたい。もうボーリング場には通いたくないから。>

 「ゲイ」の部分は掲載メディアによって違いがあり、『ザテレビジョン』では、「オカマ役」と書かれていた。なお『SPICE』では、筆者が記事を閲覧した際には、石井氏のコメント自体掲載されていなかった。

 ツイッター上では「あるサイトではオカマからゲイに差し替えられたのを見たが、そこが問題の本質じゃない」「ゲイの役って言ってるのに“女を生きられた”とか、“女になれる”ってどういうこと?」「どうして関係者や事務所はこのコメントを通してしまったのか」など批判が集まり炎上。

 17日には『ハルシオン・デイズ2020』公式ツイッターにて、<公式ホームページにおけるコメントにつきまして、先に出した文章が、一部認識が浅く、間違った表現であった事をお詫び申し上げます。改めまして、文章を差し替えさせて頂きました。>と投稿があり、現在、石井一孝氏のコメントは上記のものから他のものへと差し替えられている。

差し替えればいいという問題ではない

 しかし、十分な説明のないままコメントを差し替えるという対応は火に油を注ぎ、「差し替えればいいってもんじゃない」「本人の認識が変わらなければ意味がない」「何がまずかったか説明がされていない」と炎上が収まるどころか激しさを増している。

 そもそも『蜘蛛女のキス』のモリーナは性自認が女性であるため、ゲイではなくトランスジェンダーである。10年前は今のようにLGBTの知識が広まっておらず、演者もゲイとトランスジェンダーの違いをよくわかっていなかったかもしれない。しかし、2020年に語るのならば言葉をアップデートさせる必要があるだろう。



 また、既に言われているとおり、「オカマ」ではなく「ゲイ」と書けば炎上しなかったわけではない。石井氏の最初のコメントには「ゲイの役を見下しているのでは」「性的マイノリティに対する嘲笑的な態度が感じられる」といった指摘もあり、コメントを差し替えたところで”無かったこと”にはならない。

 なお、『ハルシオン・デイズ2020』の公式サイトに掲載されている、差し替え後の石井氏のコメントは以下のとおり。

<『蜘蛛女のキス』というミュージカルでモリーナという愛深きトランスジェンダーを演じたのは10年ほど前だったか。「女言葉や女性としての自然な所作」という設定が難しく、膨大なセリフもなかなか覚えられず、七転八倒の毎日でした。しかし仲間達と絆を重ねあい壁を超えると、女でいたいというモリーナの心が、男の私にも伝わり、生き生きと女を生きられたのだ。今回は哲造というゲイの役。モリーナとは違い、男として男を愛する役ではあるけれど、自分のいつもの言葉とは違うセリフで、難しい役であることは似ていると感じる。けれど今度は最初からうまくいく...気がしている。しかし鴻上さんとは初めまして。「生きる!」というテーマに立ち向かうのはきっと大変な毎日になると思う。でもHalcyon days(穏やかな日々)を少しでも早く迎えられるよう、気を引き締めて挑みたい。>

 正直、最初の石井氏のコメントを見た後では、あまり心に響いてこない。ただ、この文章を書ける人が内部にいるのであれば、差し替え前のコメントを発表する前にストップをかけられなかったのか、と残念だ。

 なお、鴻上氏は<サードステージの代表は僕ですから、すべて僕の責任です。不快な思い、傷ついた方には深くお詫びします。1994年『トランス』書き、ずっとアライでありたいと思っています。本当に申し訳ありませんでした。>とツイートし、謝罪。

 コメントを差し替えるという表面上の対応だけでなく、今後同じような事態を招かないためにどうすべきか、内部で検証してもらいたい。

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