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<法律で切るママトラブル6>家財道具を壊された!? 託児をお願いされた時にありがちなのトラブル

Woman.excite / 2015年9月23日 6時15分

<法律で切るママトラブル6>家財道具を壊された!? 託児をお願いされた時にありがちなのトラブル

ママ同士の付き合いの中で、「うちの子ちょっと預かってて」なんて言われたり、逆に子どもを預かってもらったり。よくあることですが、、そこでトラブルが起こってしまったら、、法的にはどうなるのでしょうか。今回もアディーレ法律事務所の島田さくら弁護士が切ってくれました。


© Martinan - Fotolia.com


「子どもを預かって」と託児をお願いされ、預かっている時の責任の範囲はどこまで?
「うちの子ちょっと預かってて」「いいよ」ということで、子どもを預かった場合、民法上は、準委任契約(民法656条)、あるいは、これに似た契約が成立すると考えられます。

準委任契約というのは、(法律の専門知識を含まない)事務や仕事をお願いして、頼まれた人にある程度やり方を任せる契約です。つまり、預けたママを委任者、預かったママを受任者として、子どもを預かるという仕事をお願いするという契約が成立したとみることができます。

準委任契約が成立した場合、受任者(預かったママ)は、善良な管理者の注意をもって事務処理をする必要が出てきます(民法644条)。簡単に言うと、預けたママの信頼に沿うように子供を預からなくてはなりません。

預かっている子どもがお腹すいたと言ってきた。食事を用意してあげないといけないのか。また、食事やおやつにかかった費用など、暗黙の了解でこちらが出しているのだが請求することはできるのか

たとえば、預かっている子どもが「お腹がすいた」と言ってきた場合、子どもをお腹が減った状態で放っておくこともできませんよね。では、ご飯やおやつをあげた場合、この費用は誰が負担することになるのでしょうか?

準委任契約を前提として考えれば、ある程度の時間子どもを預かる際のご飯やおやつは、必要な費用と考えられるので、子どものママに請求することができます(民法650条1項)。

ただ、お互いに子どもを預け合うような関係にあるのであれば、「お互いさま」ということで、預かった側が負担するのが一般的でしょうね。このように、預かった側がちょっとした費用は負担するという暗黙の了解、口にはしなくても合意があったような場合には、預かっている側が負担することになります。


食物アレルギーがある事を伝えられておらず、おやつに出したピーナッツを食べたところ預かっていた子どもが痙攣を起こしてしまったり、「触っちゃいけない」と言っていた植物に子どもが触ってケガをしたりした場合、誰が悪いのか
好意で子どもを預かった場合であっても、故意や過失によって子どもにケガや病気をさせた場合には、治療費や慰謝料等の損害賠償責任を払わなくてはいけなくなる可能性もあります。

子どもにアレルギーがあることをまったく知らされずおやつにピーナツを出して、子どもがアレルギー反応を起こしてしまったという場合であれば、預かっている側には何の過失もないわけですから、損害賠償責任を負うことはないでしょう。

また、事故が起こることを予想できたのに、事故を防ぐために必要なことをしなかった場合(積極的に片づけていなかった場合)にも、預かっている側が損害賠償責任を負うことがあります。

もっとも、子どもの行動によって事故が起こった場合、事故が起こらないように子どもに指導しないまま他人に預けておいた子どもの親も悪いので、子どもに生じた損害の全額を賠償する必要はありません(民法709条、津地裁 昭和58年2月25日判決)。

触ったらケガをするような植物の場合、「触っちゃいけないよ」と教えていても、子どもの年齢によっては触ってしまうこともあるでしょうから、見ていなかった大人にも責任がありそうです。

一方、しつけがなっていなかったのも原因という部分があれば、子ども自身も悪いということになるので、過失相殺といって「お互い悪かったね」となり、損害賠償額が減額されることになります。このあたりは、子どもの年齢にもよってきますね。


家のものを壊されてしまった時や、家にある高価な物を食べられてしまった時の解決方法は?
わざと、あるいはうっかりであっても、人の物を壊せば、損害賠償責任を負います。ただし、自分のやった行為がどういう結果をもたらすのかわからないような小さな子どもについて、責任を問うことはできません。このような場合、親に対して、損害賠償を請求することになります(民法712条、民法714条1項本文)。

家にある高価な食べ物を食べられてしまった場合も同様です。ただ、小さな子どもを預かっているわけですから、預かる側も、壊れやすいものや高価な食べ物を子どもの手の届かないところに置くといった対策ができますよね。こういった対策を一切とっていなかったのであれば、場合によっては、預かった側にも過失があるとして、損害賠償額の一部が減額されることもあるでしょう。

まとめ
法的な話をすれば、上記の通りになります。
ただ、ご飯やおやつを出さなければならないのか、誰が費用を負担するのか、なんてところに疑問を持つような関係性であれば、子どもを預け合ったりするのは止めた方がよさそうですね。トラブルのもとです。

もちろん、子どもを預かった以上、しっかりと子どもを見ていなければ、責任を問われるのも事実です。面倒をみきれる自信がないのであれば、時には、勇気をもって断ることも必要ですよ。

あとがき
最近急に涼しくなってきましたね。夏が終わってしまったのは少しさみしいですが、秋は食べ物がおいしいので私は好きです。秋のフルーツである柿やブドウなど、少し高価なのでたくさんは食べられませんが、子どもと一緒に秋を楽しみながら食べたいと思います。

・協力:アディーレ法律事務所


(島田さくら<アディーレ法律事務所>)
(島田 さくら)

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