1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

子どもの「自分で考える力」を伸ばす子育て法(「幸せ力」の育て方 Vol.3)

Woman.excite / 2015年11月29日 4時15分

写真

これからの子どもたちには、どんな思考力が必要なのでしょう

「自分で考える力=自律的思考力」は、子どもが勉強するためにも必要ですが、将来、仕事をしたり、人生の問題を解決したりするためにも欠かせません。
自律的思考力を育むにはどうすればいいのか、子どもの発達心理などの研究を行っている内田伸子先生にお話を伺いました。


© mnimage - Fotolia.com


子どもに質問されたとき、親の答え方次第で「考える力」が育つ
「考える力を育むことについて、いいお話があります」
と内田先生は、植物学者の渡辺万次郎さんのお話をされました。

渡辺さんは幼稚園に通うお孫さん2人に、ある花の名前を聞かれました。
それは「みやこぐさ」という花でした。
しかしその時、渡辺さんはあえて教えずに、その花を持ち帰らせ、庭でよく似た花を探させたそうです。
すると、子どもたちは自力でその花によく似たエンドウの花を見つけました。大人の力を借りずに、自分たちの力で見つけられたことに大喜びしたそうです。

エンドウの花には、豆がなっていました。
それを見た子どもたちは、みやこぐさを指差し「こっちの花にもお豆がなるの?」と質問しました。
渡辺さんはその質問にも答えずに、「来週確かめてみよう」と提案したのです。
そして、子どもたちは花が咲いたあとに小さなお豆を発見し、大喜びしました。

先回りして教えすぎない。考える余地を残す
「お孫さんたちは、『花の形が似ているから、同じように豆がなるかもしれない』と自分の頭で考え、おじいちゃんに尋ねたのです。すばらしい問いですね」

大人は質問に答えることはできますが、質問の仕方を教えることはできません。

「質問は、未来を導く道筋です。
疑問を持つこと、探求すること、考える力を育てておけば、将来、たいていのことは解決できます。
質問に答えることも大切ですが、親が先回りして何でも教えすぎると、自分で考える余地がなくなります」

時には答えを持ち越し、一緒に考えることを提案してみるといいですね。


これからの子どもたちに必要な思考力は
さらに内田先生は「思考力は、2種類あります」と説明してくださいました。

1つは、答えが1つに収束するような、収束的思考力。
覚えた知識や経験をそのまま取り出し、「アメリカの独立記念日はいつ?」「5+8はいくつ?」というような問題に答える能力です。

もう1つは、答えが複数あり、答えにたどりつくまでの道筋も複数ある、拡散的思考力。
知識や経験を加工して、類推を働かせたり、因果推論を働かせたりして、暗記では解決できない文章問題などに答える能力です。

「どちらの思考力もベースには知識や経験が必要です。
ただし、今のお子さんたちが大きくなるころには、拡散的思考力を問う課題が増えてくると思います。大学入試も、二次試験は拡散的思考力がないと解けません」と内田先生は言います。

遊びや経験が「考えるもと」になる
拡散的思考力を使うと、答えからさらに問いが生まれ、思考がどんどん広がっていきます。
前述した渡辺さんのお孫さんたちは、自然に触れ、観察するという体験を通して、この拡散的思考力を発揮していました。

子どもは幼児期の遊びや経験を通して、自分で考えたり、工夫したりすることを学ぶのだそうです。
たくさん遊ばせて、さまざまなことを経験させて、その中で生まれた疑問に答えたり一緒に考えたりしながら、「自分で考える力」を育てるサポートをしていきたいですね。

(佐々木月子)


今回取材に協力してくださったのは
内田 伸子先生
内田伸子先生

十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。
専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください