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子どもの学力格差は幼児期に決まる? 親の「しつけスタイル」が重要な理由(「幸せ力」の育て方 Vol.11)

Woman.excite / 2015年12月31日 4時15分

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しつけスタイルは大きく2種類。そのうち、共有型のほうが子どもが伸びやすい

知らず知らずのうちに行っている子どもへの「しつけ」によって、子どもの能力に大きな差が出てしまうことがわかりました。
発達心理学が専門の内田伸子先生に、詳しく説明していただきました。


© takasu - Fotolia.com


しつけスタイルは大きく2種類

●共有型しつけ
子どもの気持ちを中心に考え、子どもとのふれあいや会話を大切にし、楽しい経験を子どもと共有しようとする、しつけスタイル。

●強制型しつけ
大人中心で、言いつけ通りに子どもを従わせようとする、しつけスタイル。罰を与えたり、力によるしつけを行ったりすることもある。

似たような家庭環境で、しつけスタイルだけが違うとどうなるのか
「年収900万円以上の高所得層で、母親が四年制大学あるいは大学院を卒業し、現在は専業主婦をしている家庭の中から、共有型しつけと強制型しつけの極端な例を30組ずつ計60世帯選び、親子のやりとりを観察しました。

すると、図形を組み合わせるブロックパズル課題で、こんな場面が見られました。

共有型しつけを行っているお母さんは、お子さんをじっと見守っています。

一方、強制型しつけを行っているお母さんは、何かと口を出し、指図します。
子どもがパズルをやろうとすると、『そっちは難しいわよ。こっちからにしなさい』『左右の色を同じにしたらキレイでしょう』などと言うのです。

また『きつねのおきゃくさま』という絵本の読み聞かせにおいても、違いが見られました。
『きつねのおきゃくさま』は、優しいきつねがほかの動物たちを守るために死んでしまうお話です。

共有型しつけを行っているお母さん方は、子どもがどんな反応をするかと子どもの顔を心配そうに見ています。
子どもは『きつねさん、どうして死んじゃったの? あんなに親切なのにかわいそう』などと言います。
それを受けてお母さんは『そうね、かわいそうね』と共感的なサポートをします。

一方、強制型しつけを行っている母親は『はい。今のお話はどういうお話だった? 言ってごらん』、子どもが答えると『違うでしょ。お話の記憶、テストに出るわよ』などと勝ち負けの言葉を投げ付けます」


強制型しつけのもとでは、高所得層であっても語彙得点・リテラシーともに低い
「この子どもたちの学力を調査したところ、共有型しつけを受けている子どもは語彙得点、リテラシー(読み書き能力)ともに高く、強制型しつけを受けている子どもは語彙得点もリテラシーも低かったのです」

しつけスタイルと語彙力は関連する

しつけスタイルと語彙力は関連する(内田・浜野,2012より)


なぜ、しつけスタイルが学力に影響するのでしょうか。

「子どもの学力を高めるためには、お父さんやお母さん、保育者たちが、子どもの主体性を大事にするかかわり方をすることが重要です。

共有型しつけをしている親は、こどもに考える余地を与える援助的なサポートが多く、子どもをよく褒め、子どもに合わせて柔軟な対応をしていました。
そうした親のもとで、子どもは伸び伸びと活動していました」

叱られながらやる勉強はなぜ身に付かないのか ~「幸せ力」の育て方vol.6~でご紹介したように、自分から興味を持ち、楽しいと感じているときは脳の働きが活発になります。

「強制型しつけは逆に、子どもに考える余地を与えない、指示的・独断的な介入が多い、しかも過度に介入する、情緒的なサポートが少ない、褒め言葉が少ないという特徴がありました。
こうした親のもとでは、子どもは主体的に行動することができず、親の顔色を見ながらおどおどと行動していました」

これでは脳の働きが低下するうえ、言われたことしかできない「指示待ち族」になる危険性があります。

しつけスタイルは母親の思いひとつで変えることができます。
子どもが伸びる共有型しつけを心がけていきたいですね。

(佐々木月子)

今回取材に協力してくださったのは
内田 伸子先生
内田伸子先生

十文字学園女子大学特任教授・お茶の水女子大学名誉教授・学術博士。
専門は発達心理学、認知心理学、保育学。国立教育政策研究所「幼児の論理的思考の発達調査プロジェクト会議」(主査)、最高裁「裁判員制度の有識者会議」(委員)、文化庁国語審議会委員なども務めるほか、NHK Eテレの「おかあさんといっしょ」の番組開発やコメンテーター、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造力知育玩具「エポンテ」(シャチハタ)の開発なども担当。著書は、『発達心理学―ことばの獲得と教育』(岩波書店)、『よくわかる乳幼児心理学』(ミネルヴァ書房)、『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)など多数。

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