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「こっちの子の方が可愛い」わが子に向ける愛情の偏りの話【新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記 第24話】

Woman.excite / 2017年5月30日 17時0分

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子どもが複数いる場合にどちらか片方の子をどうしても可愛く思えないとか、もしくは誰か一人が特別に可愛く感じてしまうとか、お母さん達のそういう話は、結構よく聞く話ではある。

中でも突出して多いのが、一番目の子が女子で、二番目の子が男子の場合。俗に言う一姫・二太郎の関係における「弟可愛い」だ。

知恵をつけてよく喋るようになったお姉ちゃんと、その後に生まれた赤ちゃんの弟。弟の方が可愛くてたまらない、お姉ちゃは小煩い、弟にはずっとこのまま赤ちゃんでいてほしい、なんていうお母さん達の言葉は、これまで色々なママ友から何度となく聞かされた。

本当にずっと赤ちゃんでいられちゃ大変で仕方ないだろうと思うが、息子に限っては、そんな手がかかることを差し引いても愛おしいと感じる、ということだろう。この裏側には何となく、男性だけに許された赤ちゃん特権の残り香を感じてしまう。

赤ちゃん特権というのは私が今適当に考えたものだが、「男はみんな赤ちゃんよ」みたいなやつである。

女性の生活力の低さは許されないが、男性の生活力が低いことは許される、またそれを女性がサポートするのは当然というような空気が、母親の息子への偏愛を後押しさせ、特別なことじゃないよ、という温度で口に出させ、社会もそれをナチュラルに受け止めているような気がする。

また逆のパターンで、父親が娘を特別に可愛がるというのも当然のこととされている。

普通、「自分の子どものこっちの子が可愛くて、こっちの子が可愛くない」なんて言えば周囲からは当然非難されそうなものだが、女はこう、男はこう、男と女はこう、というような、固定概念が土台にあるからこそ、性差を理由にした兄弟間の偏愛はカジュアルに表出する。性差に起因していることが、ギリギリ免罪符になるのだ。

だから、実際には表に出にくいだけで、姉と妹とか、兄と弟とか、同性の兄弟間にも、親が実感する「可愛い」の差というのは当然あるのだ。


今も残っているのかどうか分からないけれど、第二子・夢見を妊娠した12年ほど前、2ちゃんねるの育児板には「長男が可愛いと思えない」というような、過激なタイトルのスレッドがあった。興味本位で覗いてしまった私は、そこに書かれている親達の告白に震えた。

親になったからといって、自動的に、どの子にも同じように愛情が芽生えるとは限らないのだということを、そのとき初めて知った。

また、共に生活する弱い存在を可愛いと思えないことは、むしろ鬱陶しく思うことと紙一重なのだということも、そのときに知った。もしかして自分も、お腹の子を産んだらその瞬間に、今、こんなに愛しくてたまらない長男・モーを、愛しいと思えなくなったりするのだろうか。モーに愛情を感じなくなってしまう事態を想像して、嗚咽をあげて泣いた。

幸いなことにこの心配は杞憂で、夢見が生まれてからも、モーへの思いの何かが変わるということは特になく今に至っている。

……と、私は思っているものの、子どもたちが私の愛情をどう受け止めているかというのはまた別の問題なのであって、次回は、自分より妹の方が愛されていると感じながら育った一人の娘と、その母親との話を書こうと思う。



イラスト:片岡泉
(紫原明子)

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