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わが身が可愛ければ親の名前でGoogle検索するんじゃない【新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記 第39話】

Woman.excite / 2017年10月10日 17時0分

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その日、学校から帰ってきた娘は怒っていた。

「せっかくタブレットが配られたのに、子どもに有害だからってニュースサイトが開けないの!」。

娘の学校ではついこの前、生徒全員に学習用のタブレット端末が配られた。当然ながらインターネットに繋がる。最初の授業では、とりあえず慣れてみようということでフリーな検索タイムが設けられ、生徒の多くがいの一番に、親の名前を検索したらしい。

この時代、ネットに実名で黒歴史を刻んでいる大人なんて決して少なくないだろうから、これを知って戦慄が走るお父さん、お母さん、案外少なくないのではないだろうか。と他人事のように語っているが、言うまでもなく、ネットに実名で黒歴史を残してきた親として、娘のクラスで筆頭に立つのは私と娘の父親である。

父親と母親の名前を検索枠に入力してスペースをあけると、どちらも予測変換で自動的に「離婚」がサジェストされる。

「おたくの娘こそ最も不憫じゃないか!」と言われるかもしれないが、そこは心配ご無用。わが家の娘には小1のころから“インターネットで絶対にやってはいけないこと”のひとつとして「親の名前を検索しない」をしつこく教え込んでいるのだ。

だからこそ「私はみんなを止めようとしたんだよ?!」と親の名前で検索する友人達の自殺行為を嘆きとともに私に報告してくれたというわけなのである。(と言いつつ結局本人も検索してるんだけど)。

話は戻って、冒頭の娘の怒りの矛先だ。新しいタブレットを使って、自分で設定したテーマについて調べ、レポートを書くという課題が出たという。娘は色々思うところがあって「区別と差別の違い」について調べることにしたとのこと。で、いざ情報を集めようと検索すると、検索結果に制限がかかり、なんとほとんどのページが閲覧できないというのだ。

非表示のコンテンツにはそれぞれSNS、ブログ、趣味、ニュースなどの、閲覧できない理由が表示されるそうで、学習の場でSNSを使うなというのは百歩譲って理解できるとしても、ニュースだからだめだというのはちょっと謎だ。

さらに制限がかかっている具体的な媒体名を聞くと、どこもメジャーな媒体ばかりで、「じゃあ一体どんな情報なら表示されるのだろう」とむしろ興味すら湧いてくる。NHKなら良いのだろうか?

そもそも、子どものネット利用には家庭によってさまざまな意見があって、うちのように無制限に使わせる家庭もあれば、一切触れさせないポリシーの家庭もある。そこに、上から一斉にタブレットを支給するというのだから、“危険な情報に触れさせないようにこれくらい気をつけてますよ”という姿勢を示すことは、まあ必要なことだったんだろう。

ある程度の大人の事情があることは想像に難くないが、ただそうは言ってもあまりに制限をかけ過ぎると、結局タブレットを使わせる意味がなくなってしまうのではないか。

たとえば現実の世界で、いつ交通事故に遭うかも分からないから、子どもを一歩も家の外に出さないというわけにはいけない。ある程度分別がついたなと思ったら、親は少しだけリスクをとって、冷や冷やしながらわが子を「はじめてのおつかい」に送り出す。

可愛い子には旅をさせよ、が必要だ。そしてそれと同じように、インターネットも、大人がある程度腹をくくってリスクをとる、その上で自由に使わせる、ネットの世界を旅させることが必要だろうと思う。子どもの間はガチガチにネット利用を制限し、20才になったからいきなり無制限インターネットの海に放り出すというのは、泳ぎを教わらないまま太平洋横断しろと言われるようなもんじゃないか。


そもそも検索して辿り着く情報なんて、検索しようと思う段階で既に結構知りかけていることが多い。もし過去に意味はよくわからないけれど、何かすごい性的なカタカナ語について検索したことがある人は思い出して欲しい。

検索しようとした時点で、そのカタカナ語が“意味はよくわからないけど何かすごそうな性的な言葉であること”に、きっと気付いていたはずだ。だからこそ好奇心を掻き立てられ、検索するに至ったのではなかったか。

子どもに知って欲しい情報、知ってほしくない情報は確かにあれど、結局のところ検索キーワードに打ち込まれる言葉にはいつだって「知りたい!」という欲求が息づいている。「知りたい!」つまり、不思議に思うことというのは英語ではwonderで、「知りたい!」に満ちた世界はwonderful world、すなわち「知りたい!」が沢山ある世界は、素晴らしき世界なのである。

……ちょっと全校朝礼の校長先生のようなトンチを効かせてしまったが構わず続けると、一向に叶わぬ夢を延々と持ち続けられるほどタフな人間は少ないから、「知りたい!」という衝動をコンスタントに持ち続けるためには、知りたい欲が満たされる喜びをほどほどに知っておく必要がある。その上で、ひとつ検索すれば無数の答えを提案してくれるインターネットって、基本的なことだけど、やっぱりとても便利な道具で、私達の強い味方なのだ。

だから、子どもたちには便利なインターネットをどんどん使って、この素晴らしき世界の謎を、片っ端から検索して、紐解いていってほしいと思う。

とはいえ、親の名前のGoogle検索はやっぱりお勧めしないけれど…。

イラスト:片岡泉


(紫原明子)

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