【医師監修】子どもの食物アレルギー「今さら聞けない“4つの疑問”」
Woman.excite / 2018年5月20日 13時0分
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食物アレルギーを専門とする小児科医・佐藤さくら先生にお話をうかがい、これまで2回にわたって子どもの食物アレルギーについて紹介してきました。
なかなか治りづらいイメージのあった食物アレルギーですが、小学校就学前までにおよそ90%のお子さんがアレルギー原因食物を食べられるようになるというお話には驚きました。
そこで、食物アレルギーに関する素朴な疑問や、食物以外の子どものアレルギーについてもうかがいました。
佐藤さくら先生 プロフィール
小児科医。国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 病因病態研究室長。宮崎医科大学医学部卒業後、宮崎大学医学部小児科医員、国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 流動研究員等を経て現職に。日本アレルギー学会代議員。日本小児アレルギー学会評議員。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017』ほか多数執筆協力。
■子どもの食物アレルギー「今さら聞けない“あるある”」を質問
Q1:「母乳とミルク、どちらが食物アレルギーにかかりやすいですか?」
佐藤さくら先生(以下、佐藤先生):食物アレルギーを発症するかどうかは、人それぞれ元来備わっている体質や環境などが影響するといわれています。ですから、どちらかを飲んでいると食物アレルギーになりやすい、ということはありません。
また、お母さんが妊娠中や授乳中に食べたものを除去すれば、お子さんが食物アレルギーにならないというわけでもありません。
アレルギー反応が出た際は、自分ひとりでなんとかするのではなく、専門医に任せるのが得策です。
Q2:「子どもが食物アレルギーです。毎日の献立を考えるのが大変でマンネリ化しがち。おすすめのレシピはありませんか?」
佐藤先生:そんな時こそインターネットを上手に利用しましょう! 私がよく患者さんのお母さんたちにすすめているのは独立行政法人 環境再生保全機構の「食物アレルギーの子どものためのレシピ集」です。ぜひ一度サイトをのぞいてみてください。また、本屋さんや図書館にも卵や小麦を使わないレシピ本がありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
Q3:「4歳の娘がいます。今のところ食物アレルギーではないようですが、今後、発症する可能性はありますか?」
佐藤先生:先にも触れたように、食物アレルギーは生後3~4カ月に発症するケースが一番多いです。お子さんは4歳ということなので、そこまで心配する必要はないかと思いますが、発症しないとも言い切れません。
Q4:「食物アレルギーの子どもが誤って原因食物を食べてしまったらどう対処すればいい?」
佐藤先生:症状が軽いようであれば、安静にして、医師から指導された内服薬などを服用し様子をみてください。それでも症状が改善されない場合や症状が激しい場合は、すぐに近くの医療機関で診てもらうように。ひどいアレルギー症状の場合は病院での治療が必要になります。
■近い将来、小児喘息が治る病気に?
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最後に、食物アレルギー以外の子どものアレルギーについても、最近の傾向や対策などもあわせてうかがいました。
――今年の春も花粉がひどかったですね。子どもの花粉症も増えている印象があります。
佐藤先生:確かに、花粉症に悩むお子さんは増えてきています。ダニやハウスダストに悩むお子さんも目立ちますね。学童期に特徴的なのが、花粉症を引き金に、果物を食べると口のかゆみや唇のはれをうったえる「口腔アレルギー症候群」を発症するお子さんもいることです。
――「口腔アレルギー症候群」は、どんなアレルギーなんですか?
佐藤先生:花粉症のお子さんが果物や野菜を食べた時に、唇や口の中がかゆくなったり、違和感を感じたり、唇がはれたりします。軽い症状の人が多いのですが、一部の人は呼吸困難や全身のじんましんなど、ひどい症状が出ることもあります。
口腔アレルギー症候群は一度発症すると、なかなか治りにくいのが特徴です。残念ながら今のところ予防策はありませんが、規則正しい生活やバランスのとれた食事を心がけ、免疫力を正常に保つことが大切ですね。
――現代に生きている限り、アレルギーは避けられそうもありませんね。
佐藤先生:否定はできません…。ただ、医療は急速に進歩していますので、良い治療法も出てきています。アレルギーの一種である喘息(ぜんそく)が、医療の進歩により優れた薬が開発され、ひどい症状にならずに生活できるようになってきていることです。
きちんと治療すれば、症状をコントロールできるようになるので、スポーツ選手にもなれるくらい運動しても大丈夫ですし、完治して薬をやめられるお子さんもいます。
免疫の誤作動によって突然起こる食物アレルギー。いつ、誰が発症してもおかしくない病気だからこそ、基本的な知識は身につけておいた方が安心ですね。そして、万が一の時に備えて、小児のアレルギー疾患や食物アレルギーにくわしい医師が在籍している近くの病院を調べておきましょう。
たとえお子さんがアレルギーと診断されても、落ち込む必要はありません。適切な治療について信頼できる医師に相談し、前向きな姿勢でお子さんと一緒に過ごせるといいでしょう。
取材・文/長谷部美佐
(ライターチーム123)
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