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僕と同等に稼いでみなよ! 『夫の扶養からぬけだしたい』が描く“追い込まれる妻”と“居場所のない夫”

Woman.excite / 2019年3月7日 15時0分

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『夫の扶養からぬけだしたい』ゆむい著(KADOKAWA)


結婚もしくは出産をきっかけに仕事を辞め、専業主婦としての道を選ぶ女性たち。

「仕事もしないで気楽でうらやましい」

「家事と育児だけで大変だなんて甘え」

彼女たちがいかにも“お気楽”な存在として誤った批判を受ける反面、専業主婦として生きる現実は決して生ぬるいものではありません。

なかでも、「夫婦間のパワーバランスの乱れ」や「家事・育児への非協力体制」といった家庭内の問題に苦悩する専業ママたちは、決して少なくないはず。

「仕事をしていない」という理由から、妻に家事・育児を押し付ける夫。

夫の収入で生活することに負い目を感じているからこそ、心から反論できない妻。

そんな専業主婦家庭が抱える苦悩と闇を生々しく描き、Twitterでも波紋を呼んだWEB漫画『夫の扶養からぬけだしたい』(KADOKAWA)が、ついに書籍化を果たしました。

本作は、ウーマンエキサイトでも連載を持つ人気コミックライターゆむいさん「ママの求人」で連載していた作品。

そのあまりの衝撃的な内容から、公開されるやいなや大きな反響を呼んだ話題作でもあります。

専業主婦からの脱却をテーマに、夫婦それぞれの苦悩や親になった後も抱える人生への葛藤、結婚生活における幸せの定義について、思わず誰もが考えさせられるような深い内容に仕上がっています。

■僕と同等に稼いでみなよ! 専業主婦を生きる「ももこ」の日常

主人公の「ももこ」は、会社員で転勤族の夫「つとむ」と2歳の息子「たると」と暮らす専業主婦。

かつては漫画家になる夢を追っていたものの、子どもが生まれたことで家事と育児との両立が厳しく、夢を諦めた過去があります。

現在は専業主婦として、家事、育児を一手に引き受けているものの、毎日のワンオペ育児で心身ともに疲労困憊。

夫のつとむに協力を求めるも、「家事は僕の仕事じゃない」と一蹴され、逆に「甘えている」、「努力不足」と責め立てられてばかりいます。



『夫の扶養からぬけだしたい』より



つとむにとって、家事・育児は専業主婦なら完璧にできて当たり前のもの、“昼間にたっぷりあるはずなのに、できない理由がわからない…”と疑いもなく信じているのです。

ももこが助けてほしいと心からお願いしたところで、「働いて家族の生活を支えていること」を盾に、全く耳を傾けようとはしません。

そして、「収入の有無」を争点にももこに対して容赦ない言葉を浴びせかけます。



『夫の扶養からぬけだしたい』より



「努力が足りない」

「社会人失格」

つとむにとって社会から離れ、専業主婦として生きるももこは、社会の厳しさを知らない、まるで世間知らずのような存在。

社会に出て働いていないという一点で、夫婦の間に上下関係を持ち込み、厳しい言葉で妻をねじ伏せようとします。



『夫の扶養からぬけだしたい』より



そして、ももこはといえば、夫の収入で暮らしていることに罪悪感を感じ、「働いていないこと」、「収入がないこと」へのコンプレックスをどんどん増幅させていくばかり…。

ある日、夫と距離を取りたい一心で、思い切ってアパートを探してみるも、無収入の専業主婦では自分名義の物件は借りられず、ただただ無力感にさいなまれるのでした。

“私の社会的信用は夫の上に成り立っている”

夫という存在がなければ、個人として社会から認められないという厳しい現実をつきつけられたももこは、自分自身の人生について自問します。

そして、再び自らの生き方を取り戻したいという強い気持ちを持つことで、専業主婦からの脱却を目指すのです。



■「つらさを知らないくせに…」背負いすぎて壊れていく夫と妻

心ない言葉でももこを追いつめ、“モラハラ夫”として、その言動がネット上でも反響を集めたつとむ。

しかし本作は、ワンオペ育児に苦しむ専業主婦ももこの姿だけでなく、仕事のストレスで追い込まれ、居場所を失う、つとむの姿にもスポットライトを当てています。

業務過多による長時間労働、理不尽な上司、押し付けられる責任とプレッシャー、育児に無理解な職場環境。

夫もまた、仕事と家庭の狭間で悩み、ストレスのはけ口を見出せないまま、日々をやり過ごしているのです。

妻と夫、どちらも決してラクをしているわけでもないのに、大変さの種類があまりにも違うことで、夫婦2人の言い分はすれ違っていきます。



『夫の扶養からぬけだしたい』より



『夫の扶養からぬけだしたい』より



母親として、父親として「自分が頑張らないと…」という責任感がいつしかプレッシャーに変わることで、「なんで自分ばっかり…」という不公平感にさいなまれるようになる夫と妻。

社会的にまだまだ根強く残る男女の役割の違いを押し付けられ、夫婦それぞれが無理をしながらも責任を全うすることで、家庭内にしわ寄せが生まれているという事実は決して否めません。

ももことつとむも、苦しみを1人で抱え込み、相手の事情など想像すらできない状況にまで追い込まれることで、ますます溝が深まり、争いの渦にのみ込まれていくのです。



■強くなりたかった…“ふよぬけ”で妻が手にしたかったもの

その後は「自立する」と決めたももこがさまざまな現実に直面しながらも、奮闘する様子が描かれていきます。

“仕事にやりがいを求めるなんて贅沢だ”
“母親なのに、何夢見てるの?”


批判的な言葉にさらされるなか、ももこが最終的にたどり着いた答えとは?

そして、そんな夫婦を襲う、思いがけないトラブルとは…!?

最後の1ページまで目が離せない展開が待っています。

■本書が問いかける「結婚生活」と「生き方」の問題

結婚とは、ときに自分の人生を変えてくれるような幸せの象徴として描かれることもあるけれど、実際は、いかに現実と折り合いをつけながら、他者とともに人生を歩むか…というまるで修行のような時間。

自らの心の安定を手にいれるためにも“自分自身を飼いならす術”を学び、人生の満足度はあくまで自分自身の手の内にあることを自覚する必要があるのです。



『夫の扶養からぬけだしたい』より



そんな結婚生活を踏まえて、本書はあなたに「どう生きるか?」を問いかけ、1人の女性として、母として、妻としてたくましく生きるためのエールを送ってくれるのです。



■作者ゆむいさんからスペシャルメッセージ

夫つとむの衝撃的な言動や思わぬストーリー展開で大きな反響を集めた『夫の扶養からぬけだしだい』。作者であるゆむいさんから作品への想いについてなどをお伺いしました。


「夫の扶養からぬけだしたい」
ご興味を持ってこの記事を読んでくださった皆様、ありがとうございます。

タイトルと帯のコピーを始め、作中にも破壊力強めのセリフが出てきますが、
大きなテーマは「働くこと」です。
どう働くかは、その人の生き方、家族のあり方に直結します。

つとむの叫びは日々の苦しみから滲み出てきた本音でもあるし
ももこの不安や悩みも人によっては「甘ったれ思考」と捉えられるかもしれません。
でも当事者にならないと見えてこない問題ってたくさんあるんですよね。

この物語は、読む人の立場によって感想がガラッと変わってくると思います。
立場が違っても、最終的にはどこに行き着くのか?
何があればいいのか?

夫婦だけでなく、就活中の学生、これから結婚を控えた男女にも
働き方、生き方を考えるキッカケとして、読んでいただければ嬉しいです。

ゆむい

『夫の扶養からぬけだしたい』
ゆむい著(KADOKAWA)1,050円(税抜)


出産・育児を機にマンガ家になる夢を諦めた過去を持つ専業主婦のももこ。収入がないことに引け目を感じ、言いたいことを我慢する日々を贈っている。家事・育児の大変さを理解しようとしてくれない夫の態度や発言に傷付き、すれ違っていく夫婦の関係。扶養から抜け出し自立することを決意するももこだが…。WEBサイト「ママの求人」連載され、Twitterで波紋を呼んだ話題作が待望の単行本化。


●ゆむいさんのブログ:ゆむいhPa
●ゆむいさんのTwitter:@yumuihpa
●ゆむいさんのInstagram:yumui_hpa
●ウーマンエキサイトの連載:みつ&みの すくすく兄弟劇場


 
 
(倉沢れい)

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