【医師監修】生理前に太る原因は何? 生理後にやせるための方法とは
Woman.excite / 2020年1月30日 8時0分
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「どんなに気を付けていても、生理前には体重が増えてしまう…」
そんな悩みを抱える女性は多いのではないでしょうか。そんなに食べていないはずなのに、生理前は体重がグッと増加…ため息が出てしまいますよね。
そこで今回は、生理前に太る原因と、生理後にやせるための方法をご紹介したいと思います。
成城松村クリニック院長 松村圭子先生
婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。
著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。
■生理前に太る原因は◯◯
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▼生理前に太る原因
生理前に太る原因は大きく分けて3つあると考えられます。
1つは「むくみ」です。生理前の女性の体は、赤ちゃんを育てる準備として、水分を蓄える働きがあるのです。排卵後から増加する女性ホルモンのプロゲステロンは、体内に水分を貯めやすくします。黄体期(排卵後から次の生理までの期間)では、通常の体重より2kg以上増加することも珍しくないことです。
2つ目は「食欲の増加」です。これも女性ホルモンのプロゲステロンが関わっています。プロゲステロンは、食欲を増進させる作用があるため、つい食べ過ぎて体重の増加につながってしまうのです。
また、プロゲステロンは血糖値をコントロールするホルモン・インスリンの効果も下げてしまうため、ごはんを食べると血糖値が急上昇しやすくなります。その後は、体内でインスリンが大量に作られ、血糖値は急降下。低血糖の状態になるため、甘いものを欲しやすく、おなかがすきやすくなるのです。
3つ目は「便秘」です。女性ホルモンのプロゲステロンは排卵後から生理直前まで出ていて、腸のぜん動運動を抑える働きがあるため、便秘を引き起こす原因になります。また、この時期は体が水分を蓄えるために、便の水分も吸収するため、お通じが硬くなりやすいのです。
参考サイト:
ヘルスケアラボ「基礎体温」
e-ヘルスネット「セロトニン」
▼エストロゲンとプロゲステロンとは?
女性の体はホルモンバランスによって大きく左右されます。その女性特有のリズムを作り出しているのが2つの女性ホルモンで、卵胞ホルモンのエストロゲンと、先に紹介した黄体ホルモンのプロゲステロンです。それぞれの分泌量は約1カ月のなかで変動し、生理や排卵を起こしたり、基礎体温を上下させたりしています。
エストロゲンは生理や生殖に関わるホルモンで、女性らしい体をつくり、肌をつやつやにし、骨粗しょう症や高血圧などの生活習慣病から守ってくれます。
・排卵前に、精子が通りやすくなるように子宮頸管の分泌液を増やす。
・妊娠時におっぱいが出るのを抑える。
・コラーゲン生成を助けて肌をつやつやにする。
・女性らしい丸みのある体を作る。
・血管をしなやかにする。
・髪にツヤを与える。
・骨密度をキープ。
・善玉コレステロールを増やし、悪玉を減らす。
プロゲステロンは子宮内膜を整えてくれるホルモンで、妊娠には欠かせないものです。しかし、このプロゲステロンがたくさん出てしまうと、体がむくみやすくなったり、甘いものが食べたくなったり、便秘を起こしたりすることがあります。
・体内の水分量をキープ。
・食欲を増進。
・基礎体温を上昇させる。
・眠くなりやすい。
・イライラしやすい。
・憂鬱(ゆううつ)な気持ちになる。
・子宮内膜や子宮筋の作用を整える。
・乳腺を大きくさせる。
生理の周期は約4週間で1サイクルと考え、生理後の約1週間は「卵胞が育ち、排卵するまでの期間」でエストロゲンの分泌が増えます。その後の2週間は排卵後から次の生理までの期間で、プロゲステロンの分泌が増えるのです。
参考サイト:
e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」
■生理周期によって太る時期、やせる時期がある?
約1カ月の生理周期のうちで、太りやすい時期とやせやすい時期があります。
▼排卵後〜生理前
実は生理周期によって、太る時期とやせる時期があるということを知っていますか? 生理前は、特に「太りやすい時期」といえます。なぜなら、この時期は黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌が増加するため、体は自然と「水分や栄養分を蓄えやすく」なっているからです。
プロゲステロンは排卵後から増加しはじめ、生理前まで分泌されます。このホルモンが増加しているときは、食欲が増したり、甘いものを食べたくなったりする時期でもあります。
▼生理中
生理中は、運動がなかなかできず、やせにくい時期といえます。これから卵胞が育ち始める時期でもあるので、ダイエットなどで過度なストレスをかけるのは禁物。のんびり過ごすことが大切でしょう。
▼生理後〜排卵まで
生理後から排卵までの時期は、一番やせやすい時期です。この期間は卵胞ホルモンのエストロゲンが多く分泌されます。エストロゲンは、脳の満腹中枢を刺激して満腹感を得やすくする「レプチン」というホルモンの分泌をうながすため、少量食べただけで満足できます。
この時期は、まさにやせやすい時期といえます。この期間を逃さずにダイエットをはじめると成功しやすいでしょう。
▼排卵日前後
排卵日前後の妊娠のしやすい時期は、最も多くのエストロゲンが分泌されます。ということは、先にもお伝えしたように、食べても満腹感を得やすい時期になります。この時期は代謝が増えて、体内の水分貯蓄も減るので体重も落としやすいでしょう。
■生理前に太った分、生理後にやせるための方法
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▼生理前はどのくらい太ってもOK?
「生理前は太りやすい」とはいいますが、体重増加はどのくらいまでが許容範囲なのでしょうか。
実は体質によっても異なりますが、ホルモンによる水分貯蓄のむくみや便秘による体重の増加は、1kgから3kgまでが一般的です。これ以上になると、体重を戻しにくくなってしまうかもしれません。
なかなか体重が元に戻らない場合は、塩分の取りすぎによってむくみを解消できていない、食べすぎによって体脂肪が増えてしまった、などが考えられます。食生活を見直してみる必要があるでしょう。
▼太りやすい時期にやるべき「食事、運動、食欲抑制法」
太りやすい時期に体重増加を抑えたいなら、まず「よくかんで食べる」こと。この時期はどうしても食欲が出てしまうので、つい食べすぎてしまいがちです。よくかんで食べると満腹中枢を刺激でき、自然と満腹感が出て食べすぎを防止してくれます。咀嚼(そしゃく)回数は30回以上を目安にするといいでしょう。
次に、間食するなら「満足感が出やすい」食品を選ぶこと。ここでいう満足感とは、かみごたえがあるものや食べごたえがあるものをさします。例えば、かみごたえのあるナッツ類をはじめ、リンゴやナシ、ドライフルーツ、するめ、煮干しなど。
特に煮干しは、生理前のイライラを軽減してくれるカルシウムがとれておすすめです。そのほかも栄養がしっかりあるおやつなので、健康的におなかを満たしてくれます。また、例えばこんにゃくを使ったようなダイエット食品を一時的に利用するのも一つの手でしょう。
さらに「暴飲暴食に走りそう!」と心配な人は、香りの効果を利用するのもいいでしょう。例えば、グレープフルーツの香りにはヌートカトンやリモネンという成分が含まれていて、ヌートカトンには交感神経を活発にし、食欲抑制効果が期待できます。また、リモネンにはリラックス作用があると言われており、オレンジの香りにも多く含まれています。
食べすぎ防止に関しては「食事の回数」を多くすることも効果的です。食事の回数が少ないほど、一度に一気に食べてしまうため、ドカ食いしやすくなる傾向があります。特に生理前のような、イライラして一気食いをしやすい時期は、普段1日3回食事をする人なら、1日5回から6回に小分けして食べることをおすすめします。
運動に関しては、有酸素運動がおすすめです。早朝のジョギングなどは朝日を浴びることでストレスに効くセロトニン分泌が増えるため、一番適した運動かもしれません。
▼やせやすい時期にやるべき「食事、運動」
生理後〜排卵までのやせやすい時期は、食事の量を普段の8割に抑えるのがいいでしょう。この時期に増加するホルモン・エストロゲンの作用で満腹感も感じやすくなっているため、通常より食事量は減らしやすいです。
ただし、カロリー制限のし過ぎはいけません。過度なダイエットは体にとって負担になり、ホルモンバランスが乱れ、逆にやせにくい体質になる可能性があります。
激しい運動を特別しなくても、この時期は構いません。食べすぎないように味付けに変化を加えるなどの工夫をし、食事の量を普段の8割にすれば、効果も実感しやすいでしょう。
また、やせやすい時期に限らず、例えば「耳つぼを刺激して食欲を落ち着つかせる」など工夫してみるのもおすすめです。自分で「飢点(きてん)」というツボを押すだけで、食欲を抑えられる効果が期待できます。
場所は「耳穴の前の、顔寄りにある小さな軟骨突起のつけ根」の部分。指か綿棒、もしくは爪よう枝の後ろで押すのもいいでしょう。
■まとめ
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「生理前に太ってしまうのが長年の悩み」という女性は少なくないでしょう。しかし、女性にはホルモンの影響で、心も体も多少は変化するもの。「体重が増えた、減った」で大きく一喜一憂するのではなく、自分の体のリズムを知り、健康かつ快適に過ごすことが大切です。
もし、生理前に太ってしまったら、生理後に元に戻すように微調整するのがいいですね。そのためには、ホルモンの影響で「太りやすい時期」と「やせやすい時期」があることを理解し、日ごろから自分に合った工夫をしていきましょう。
(斉藤カオリ)
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