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「親にされたことを、わが子にしたくない」そんなママに限界がきたら…【毒親連鎖を防ぐ「後悔しない子育て」 第1回】

Woman.excite / 2020年1月23日 16時0分

写真


©hakase420 - stock.adobe.com


「親のことを、手放しで『大好き!』と言える人って、案外、少ないんだな」と、そんなふうに筆者は感じています。

仕事仲間やママ友の多くが、自分の生育歴のどこかは、納得していない…。言い換えれば、「親にされて、嫌だったこと」は、誰にでも、ひとつや、ふたつあるんです。

それでは、自分の子育てで繰り返さないためには、どうしたら良いのでしょうか? 原宿カウンセリングセンター所長であり、母子論の第一人者の信田さよ子先生が、初の育児論を書かれたというので、お話しを伺ってきました!
信田 さよ子さん(のぶた さよこ)
臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。親子・夫婦関係、暴力、ハラスメントなどの問題に関するカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)ほか多数。


■親にされたことを、自分の子どもにはしたくない!


© zilvergolf - stock.adobe.com


信田先生は、言います。「私のところにカウンセリングに訪れる人たちの多くが、自分が親たちから受けた育児態度やしつけ、もっと具体的に言うなら虐待に近い経験を子どもに対して繰り返したくないと考えています」。

日本では、いまだ「虐待」という響きから、殴る蹴るといった残酷な行為のことをイメージしがちです。けれども、虐待とは次の4つのことを指すことを、まずは知っておいて欲しいと思います。

<「4つの虐待」の定義>
●身体的虐待:殴る、蹴るなど身体的な暴力を行う
●心理的虐待:「ばか」「お前なんかはいらない」といった、言葉の暴力や、DVを見せること
●性的虐待:子どもに対して性的な言葉を浴びせたり、性的行動を見せたり、行う
●ネグレクト:子どもの心身の健康な成長・発達に必要な世話・対応をしない

(筆者作成)


身体的な暴力はもちろんのこと、「子どもの心になんらかの傷を負わせる行為は虐待である」という知識があると、親との間にあった「納得のいかない感情」を、俯瞰(ふかん)しながら突き放して眺めることに役立つのではないでしょうか?  

「カウンセリング現場からの声を逆算していくと、『これだけは子どもに対してやってはいけない』というものが見えてきます。それをしないようにするだけで、虐待の防止になります」(信田先生)

■家族が機能するために大切なことは?


© taka - stock.adobe.com


信田先生のカウンセリングは、「家族の中で生じる問題は、原因があるわけではない」というスタンスです。

「私たちカウンセラーの仕事は、原因を見つけ、犯人を摘発することではないのです。考え方としては、因果論ではなく循環論に近いのかもしれません。『原因によって問題が起こっているのではなく、悪循環が起こっているのだ』と考えています」(信田先生)

では、その悪循環は、どう断ち切れば良いのでしょうか?

キーワードは、世代間境界です。わかりやすい例としては、夫との関係がうまくいかない母親が、子どもとタッグを組んで、夫の存在を疎外してしまう…。「適度な世代間境界の形成と尊重が、家族関係を適度に機能させるんです」(信田先生)



■母親は子どもに嫉妬していないか?

適度な世代間境界の形成の第一歩として、意外かもしれませんが、「子どもに嫉妬していないか?」というチェックが必要です。
<「子どもに嫉妬していないか?」チェック例>
□私は親からそんなことをしてもらったこともないのに、この子は、私という親からいい思いをさせてもらっているんじゃないか
□同性である娘がキラキラとして幸せそうな顔をしていると、「いい気になるんじゃない」などと、透明な水に真っ黒な墨を一滴垂らすような一言を投げつけたくなる。
でも、私は親心から慢心をたしなめていると思い正当化する

「こんな気持ちになることがあったら、親が子どもに嫉妬している、と言い換えても良いのではないか?」と、信田先生は言います。

「親にしてもらえなかったことを、子どもにはやってあげようとは思いながらも、それはすんなりといくわけではないのです。誰かに支えてもらったり、そんな自分を認めてもらいながらでないと、限界が来てしまいます。

まずは、『私は子どもに嫉妬している』と、自分で気がつけるようになることが大切ですね」(信田先生)

■虐待する親たちが例外なく言うこと


© polkadot- stock.adobe.com


私は子どもに嫉妬している。
そんな自分の醜い気持ちに、自分で気がつけるようになる! なかなかヘビーな作業です。でも、筆者は、子育てはキレイごとだけではやっていけないとも思うのです。

「自分の醜い気持ち」から目を背けないでいようとする気力や勇気。それは、やっぱり必要なのではないか? そんなふうに思います。なぜなら…。

「虐待をする親たちは例外なく『子どもが言うことをきかなかった』と言います。自分が腹を立てたことを『自分の問題』ではなく、『腹を立てさせた子どもの問題』であるとする思考回路です」(信田先生)

こう言われて、思い当たらない人の方が少ないと思います。筆者も、思い当たり過ぎて胃が痛くなりました…。でも、こんな時に、「自分で気がつけるかどうか?」は、大きな大きな分岐点だと思うのです。

「親を怒らせないように、母親が何を期待しているかを瞬時に察知して、そのとおりの言動をする癖が子どもについてしまう。そうなると、いつもびくびくして、母親の表情を伺うことになってしまいます」(信田先生)
 
要は、子どもに、甘えないこと。筆者は、このお話しを伺って、子どもに、自分の醜い心を背負わせるのではなく、自分が向き合える人になりたいと感じました。それは、とてつもなく難しいことだと、途方のなさに溜息が出てきますが……。

<親にされたことを自分の子に繰り返さないために>
1)家族が機能するためには世代間境界が大切
2)世代間境界を意識するために、「子どもに嫉妬していないか?」をチェックする
3)自分の負の感情を、子どもに背負わせない


次回は、ママの永遠のお悩み。「ついつい子どもに対して感情的に怒ってしまう」について考えてみましょう。

■今回、取材を受けてくださった信田さよ子先生の最新作
『後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと』


(¥1,400円(税別)/講談社)

信田 さよ子さん
臨床心理士。原宿カウンセリングセンター所長。駒木野病院、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室を経て1995年に原宿カウンセリングセンターを設立。アルコールなどさまざまな依存症、摂食障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)、子どもの虐待などに悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。著書に『母が重くてたまらない』(春秋社)、『母・娘・祖母が共存するために』(朝日新聞出版)、『母からの解放 娘たちの声は届くか』(集英社)『タフラブという快刀』(梧桐書院)など。


(楢戸ひかる)

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