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誰も教えてくれなかった産後のホント。むぴーさんが描く「育児の理想と現実」

Woman.excite / 2020年3月17日 14時0分

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母親の細かな心理を絶妙なタッチで描き、多くのママから共感を集める人気コミックライターむぴーさんの新作『母がはじまった』(PHP研究所)が発売されました。

本書は初めての出産・育児に戸惑う主人公「リサ」の産後7日間を描いたWeb連載『母、はじまりの7日間』を再編集し、多くの書き下ろしを加えた作品。

連載では描かれなかった夫「ショウジ」視点の子育てに加え、退院後の新生児育児に悩み苦しみながら親になることの意味を学ぶ母親の姿が描かれています。

■むぴーさん
ツイッターで17万いいね! を獲得し、子育て絵日記で大人気のコミック作家むぴーさん。
●Twitter:@mupyyyyy
●Instagram:@mupyyy
●ウーマンエキサイトの連載:あさひが丘の人々

■“母親なんだから”の一言に何も言えなくなる…

子どもが生まれたらとても自然に“お母さん”になれるものだと、多くの人は当たり前のように思っているかもしれません。

しかし実際は、生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこするのさえままならず、授乳にいたっては「おっぱいが出ない」「赤ちゃんが飲んでくれない」と悩み、絵に描いたような“幸福な母親像”はどこにも見当たらなかったりするのです。

本書の主人公「リサ」もまた、知り得なかった産後の現実に戸惑いながら、心身ともにギリギリのなかで、わが子のお世話に追われる日々を送ります。



『母がはじまった』より


出産の痛みを乗り越えたらとりあえず一段落……なんてとんでもない。

その先に待っている後陣痛に会陰切開の痛み、血豆で激痛に耐えながらの授乳など…誰も教えてくれなかった出産直後に直面する母親のリアルな風景がここに描かれています。

そして24時間体制の育児に本当は身も心も限界を感じ始めているけれど、「つらい」なんて言えるわけもなく……。



『母がはじまった』より


育児は母性だけで簡単に乗り越えられるほど甘いものじゃないはずなのに、“お母さんなんだから”の呪いの言葉が自分自身を追い詰めてしまう……。

お母さんなんだから、がんばらなきゃ

お母さんなんだから、子どもを優先しなきゃ

お母さんなんだから、強くならなきゃ


でも母親になった瞬間から、誰もが強くて、たくましい母親になれるものなのだろうか?

母親になったからといって、むしろ誰もが期待するような母親像を目指す必要があるのだろうか?



『母がはじまった』より


だから、ときに“お母さんだから”を脱ぎ捨てて、弱い自分をさらけだすことがどんな母親にとっても大切なことを、本書はリサの産後ストーリーをとおして教えてくれるのです。


■妻「私がやらないと…」、夫「俺がいなくても」

本書では主人公のリサが始まったばかりの育児に苦闘する裏で、夫のショウジもまた父親としてのあり方に思い悩む姿が描かれています。

『母がはじまった』より


『母がはじまった』より



子育てというフィールドにおいて、妻にどこか劣等感を抱えるショウジは自分に頼らず、ちゃんと“お母さん”をやっている妻を見て、父親としての自分の存在価値に疑問を感じ始めます。

しかし本当は妻と夫が見ている風景はまったく違うもの。そのことにようやく気付いたのはリサが限界を超えたときでした。

夜中泣き止まないわが子に「もう無理…」と追い詰められたリサの代わりに初めて一晩をとおして赤ちゃんのお世話をした夫。

あらためて妻がこれまで何気なくしていた育児がとんでもなく大変だったことを理解します。

母親の責任感と使命感で必死に育児をするリサ。本当は心の中は不安と孤独でいっぱいだったのに、夫に頼れないことでショウジは「自分にできることはない」と勝手に判断し、次第に妻に任せるようになっていたのでした。



『母がはじまった』より



誰のせいでもない産後の夫婦のすれ違い。「助けてほしい」と甘えられる“強さ”があったなら、大丈夫と言われても「俺がやるよ」とまっすぐ向き合える“勇気”があったなら…。これまでの夫婦関係があるからこそ、リサとショウジがすれ違い、そしてわかり合う姿は育児の重要なターニングポイントとしても描かれています。



■完璧じゃなくていい。あなたらしく歩む「母親の道」

わが子が生まれてきてくれてこのうえなく幸せなはずなのに、胸に込み上げる不安

産後のリサもうれし涙なのか不安の涙なのかよくわからない涙をぬぐいながら、母親になることの責任の重さを漠然と感じるシーンが描かれています。



『母がはじまった』より


産後育児はとにかく眠れず、赤ちゃんの一挙手一投足が気になって神経がはりつめた状態。トイレにさえ自由に行けず、ゆっくり食事をとる時間さえない。

そんな出産前の生活から変わり果てた日常を前に、今まで自分自身が持っていたもの、そして築いてきたものをすっかり奪われたような気持ちになることさえあるでしょう。

しかし眠れない長い夜を泣きながら越えていくなかで、ふとした瞬間に感じる柔らかであたたかい幸福の感触に心癒されることもあるのです。

『母がはじまった』より


『母がはじまった』より


育児とはまるで人生をかけた巨大プロジェクトのよう…。もしかしたら子育てをとおして失うものだってあるかもしれません。

しかし一方で私たちは親になることでたくさんの気づきにも出会えるのです。

ただただ当たり前に生活することのかけがえのなさ、子育てをとおして知る弱くてもろくてかっこ悪い自分

ときに母親という役割の重みを実感しながら“すこやかなる時も病める時も”、それぞれの「母親の道」を歩んでいくのかもしれません。


■むぴーさんへのスペシャルインタビュー

新米ママ・パパの心に寄り添うのみならず、かつてそんな経験をしたママ・パパにも過ぎ去ったあの頃をじんわり思い出させてくれる「母がはじまった」。このたび著者のむぴーさんに本書にまつわる質問にお答えいただきました!

―― 産後、「赤ちゃんがかわいいと思えない」と感じていた時から、どのように気持ちが変化していったのでしょうか? もしきっかけとなる出来事があれば教えてください。

かわいい〜!!!という気持ちが湧いてきたのは、生後3ヶ月くらいのときでした。

私も育児に慣れてきたのと、子どもも成長してこちらの動きに反応してくれたり、笑いかけてくれるようになったのが大きかったと思います。

―― 夫の気持ち、大変さはどうやって理解したのでしょうか? その作業を行うことで、あらためて知った夫側立場での発見があれば教えてください。

周りの父親にインタビューしたり、担当編集の方の意見も参考になりました。また夫と当時を振り返りながらお互いどのように感じていたのか話し合ったのが一番大きかったと思います。

マンガの中で、ショウジくんとリサの退院日の夜泣き対応のすれ違いエピソードがあるんですが、あれは我が家での経験が元になっています。

私はずっと「こんなに泣いているのになんで夫は寝てられるんだろう。なんで私ばっかり夜泣き対応してたんだろう」と不満に思っていたんです。

でも今回夫と話し、あらためて思い出すと、はじめの頃に夫は夜中に一緒に起きて「俺はなんかできることある?」って聞いてくれてたんですよ。

でも、どうせ授乳だし、明日仕事の夫に手伝ってもらうのもなんだか悪いし、きっと夫じゃ子どもは泣き止まないから大変だろうし…と思い「今は特にないかな。大丈夫」って答えたんです。

そんなことが数回続いてから夫は子どもが泣いても起きなくなりました。私の中では夫に気を遣っていたんですが、夫からすると夜泣き対応の戦力外通告された感じですよね。

今思うと、もっとお互いの気持ちや状況を伝えていたら、こんなすれ違いは起きなかったんだろうなと思っています。

―― 「母がはじまった」をとおして、あらためて当時の自分自身を振り返った時、今だからこそかけてあげたい言葉はありますか?

「大丈夫だよ」と言ってあげたいです。

大丈夫、ちゃんと子どもは元気に育つよ。

大丈夫、子どもが泣いてもやることやれるようになるよ。

大丈夫、その子は自分にとってかけがえのない存在になるよ。

大丈夫、あなたはなんだかんだちゃんとお母さんになれるよ……と。



むぴーさんの言葉どおり、いつか必ず母親としての自分を自然体で受け止められる日がくるのだと思います。

その後続く子育て期間は本当に大変なことばかりで、この日々がまるで永遠に続くかのように感じることもあるでしょう。

しかし子どもが自分のそばにいてくれる時間は振り返ればあっという間の時間。そのことをあらためて知ったとき、真夜中にわが子を抱え孤独に泣いた夜もかけがえのない大切な思い出として、懐かしく温かな気持ちで振り返ることができるのかもしれません。

『母がはじまった』
むぴー著(PHP研究所)1,200円(税抜)


初めての出産・育児に戸惑う出産直後の新米ママに焦点をあて、Web連載で多くの母親の共感を呼んだマンガ「母、はじまりの7日間」を、書籍用にリニューアル。これから出産する人、かつて、そんな日々を通り過ぎてきた人、今現在、眠れない夜を過ごしている人、すべての新米ママ・パパにそっと寄り添ってくれる物語です。


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(倉沢れい)

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