別居しても離婚はしない、夫婦を続けるために一緒に住まない選択【ココロで読み解く「ママのお悩み相談室」 第12回】
Woman.excite / 2021年1月3日 21時0分
イラスト:中村こてつ
こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。
これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。
そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする連載「ココロで読み解く『ママのお悩み相談室』」。
今回は、「うちの夫婦は仲良い? 悪い? 明暗分ける5つのチェックポイント」という記事に寄せられたお悩みです。
記事では、5つの項目において夫婦仲の良し悪しをチェックするポイントをご紹介しましたが、「別居して距離を置いたほうが夫とうまく付き合える」という方からのお話です。
■質問:別居して距離を置いたほうが夫と仲良くできるのはどうして?
夫とは、籍を入れたままですが、別居中です。記事にあった仲の良い夫婦のチェック項目は、全く◯がつきませんでした。やっ ぱり、夫とは離れて良かったんだと痛感しました。
悲しいけれど、毎日顔を合わせず、たまにメールするくらいの今の距離のほうが、思いやりをもって相手に接することができるようになりました。
■回答:離婚しないための別居が選択肢の一つになってもいい
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ご相談者様は現在すでに別居をされていて、その結果、一緒に住んでいらしたときよりも夫に思いやりを持てるようになったことに気がついたのですね。
その決断にいたるまでは、おそらくいろいろな葛藤や迷いがあったと思います。しかし、実際に距離を置いた現在、お互いに快適な状態に落ち着いたようで、まずはその点については良いご判断だったといえますね。
かつて、女性にとって結婚が永久就職先であり、極端な話、それ以外には生きていく道がないかのような風潮でした。一旦結婚したら女性は夫の家族の一員となり、子どもを生み育てて生涯を共にするため、「お嫁にいく」「嫁をもらう」といわれていたのでしょう。
しかし、女性が仕事をすることが普通になり、実に女性(15歳以上)の2人に1人が働いています(厚生労働省「平成29年版働く女性の実情」)。女性ひとりでも生活を自分で支え、経済的に自立できるようになった今、妻は「夫の家に就職する」以外の選択肢も選べるようになりました。
そのため、お互いが納得し快適と感じていれば、夫婦の生活スタイルは必ずしも同居にこだわらなくてもよくなったといえるでしょう。おそらくご相談者様もそういう背景があり、夫婦を続けるために別居という選択肢を選んだのだと思います。
■コロナ禍で見えてきた「夫婦別々で過ごす幸せ」
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夫婦の生活における快適な距離感は本来、結婚から数十年経ち、夫婦共に定年を迎え第二の人生にさしかかるころに顕在化するものです。
しかし、今年はコロナ禍でいつも以上に夫婦一緒に過ごす時間が増え、今まで我慢していた夫との生活や考え方の違いが浮き彫りになり、今さら妥協したりすり合わせたりするのも難しいでしょう。
夫婦によっては、夫の仕事で忙しすぎてこれまではワンオペ育児だったけれど、今は2人で家事育児を分担できうまくいくようになったケースもある一方で、これまで日中は別々であったからほど良い距離が取れていたのに、今は在宅勤務で一緒に過ごす時間が長くなり、息苦しさからギスギスして仲が悪くなったケースもあります。
結婚や夫そのものに不満はなくても、生活するうえでどうしても合わないこと(例えば、朝型・夜型の生活習慣、暑がり・寒がりといった体質の違いなど)はあると思います。それをお互い主張して妥協点がみつかればいいですが、生活状況や夫の性格によっては難しい場合もあります。
どちらかが我慢して相手に合わせてもいつかその不満は爆発するでしょうから、いっそのこと違いを認め合って、別々に過ごしたほうが快適ですし円満な関係を築けます。もしそのように感じていたら、今はお互いの快適な距離を模索するいい機会ととらえ、夫にいろいろと提案してみてもいいのではないでしょうか。
そうはいっても、子どもがまだ小さかったり、妻の経済的自立が難しい場合、いきなり別居はハードルが高いでしょう。例えば、週末は交代で一人の時間をもつ、部屋に仕切りを立てて一人でこもる、寝室を別々にしてみるなど、夫の希望も聞きつつ手軽に試せるところから取り入れてみてください。
もし、夫が常に一緒にいたがるタイプであったら、一人の時間を認めてもらうかわりに、夫とじっくり付き合う時間を別に設けます。そのときは割り切って夫にやさしく接するなど、メリハリをつけた生活がストレスを軽減させるコツです。
今後、時間を経ていき、夫婦の状況や考え方も変わっていくこともあるでしょうが、現在お互いが納得のいく状態であるなら、たとえそれが一般的な夫婦像と違った暮らし方であってもいいのではないかと思います。
■離婚はしない別居結婚の期限は5年が目安
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ご相談者様は現在の別居状態に納得はしつつも、悲しい気持ちもあると書かれています。別居にいたった直接の理由がわからないのでその悲しさが何に起因するのか、どう対応していくかお答えするのは難しいですが、この機会に「自分は結婚に何を求めているか」「夫と2人でどんな人生を過ごしたいと思っているか」を考えてみてください。
そして、もし今は離婚を望んでいないのなら、別居でも夫とコミュニケーションをとる努力はして、「去る者日々に疎し」の状態にはならないように気をつけましょう。一緒に生活していなければ、相手をこれ以上嫌いになることはありませんが、必要と感じなくなる可能性は高まります。自分のためにも夫のためにも、つながりを保つために連絡はこまめにとることが大切です。
ここで一つ注意して欲しいのが、別居の期間です。結婚を継続するための別居生活であっても、その期間が長くなりすぎるのは別の問題を生みます。
もしどちらかが離婚を主張して裁判になった場合、別居が5年以上となると、離婚が認められやすくなるリスクがあるからです。そのため、5年の期間をめどに今後どうするかを決めてもいいかもしれません。
結婚生活が長くなると、お互いの「快適」の基準や価値観の違いが表面化してきて、生活のズレが生じるのはどの夫婦にもあることです。歩み寄りが必要なときもあれば、別の人生を選択するという決断もあるでしょう。
「夫婦は一緒に住むもの」「別居したら離婚するもの」といった世間の常識や周りの目など気にすることなく、自分の未来は自分で選んでいきましょう。自分にとってどんな結婚生活がベストなのか、ひとりの時間にゆっくり自分と対話してみてください。
これからも皆さんのお悩みに答えていきたいと思います。お気軽に、下の読者アンケートにお寄せください。お待ちしております。
(佐藤栄子)
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