「人助けは快感である」 反人身取引運動の活動家ソマリー・マムの辞職騒動から“正しい社会運動”を考える

ウートピ / 2014年6月10日 15時0分

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人助けは快感?“正しい社会運動”とは

>>【前編はコチラ】ヒラリー・クリントンも騙された…… 人権活動家ソマリー・マムの人助けは自作自演の行き過ぎた嘘だった

マム氏と AFESIP の活動に対しては、以前から多くの批判が寄せられていました。反人身取引運動を牽引している団体が出す性人身取引被害者の女性の数や年齢の統計や事例報告には、実は統計上あり得ないようなものがいくつもあります。マム氏もカンボジアでは3才の子どもが売春宿に囚われていると発言していますが、別の活動家はその信憑性に疑問を挟んでいます。

「救出」ではなく「拉致」でしかない

更に、 AFESIP による「救出」の方法にも多くの活動家が批判を寄せています。この「救出」とは、警察による強制捜査に同行し、売春宿にいる女性を拉致するというものです。「救出」され「保護」された女性は、警察による尋問を受けます。警察が許可している強制保護期間が終わった後も、 AFESIP の判断で延長されることがあります。

保護について AFESIP は強制性を否定していますが、 AFESIP のシェルターから逃げ出した女性が多数いること、彼女らが不当に勾留されていたとして AFESIP に対して訴訟を起こしていること、 AFESIP を支持している米国政府に対し米国大使館前で抗議活動を行っていることなどから、 AFESIP にとっての「救出」と「保護」が女性らにとっては「拉致」と「監禁」でしかない可能性が高いことが、ジャーナリストやセックスワーカー、活動家たちから指摘されてきました。

また、 AFESIP と明言してはいませんが、リーラ・ニーナさんは「私は人身取引の被害者ではなく救出団体の被害者だった」と主張し、マム氏を名指しで批判しています。反人身取引運動のこうした「救出」「保護」のやり方については、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティー・インターナショナルなど人権団体も危惧を表明しています。

性産業にいる女性は全員被害者?

これらの批判に対して、マム氏は一貫して、 AFESIP に来るような女性たちは「壊れている broken」のだと弁明しています。2012年7月に開催され筆者も参加した国際基督教大学でのワークショップでも、ゲストとして参加していたマム氏は、性産業にいる女性は全員被害者であり、自分を被害者だと思わない女性はその自覚が生まれないほど「壊れている」のだ、と主張していました。この論理によれば、女性たちによる抗議の声や AFESIP を去りたいと感じる女性の声は「壊れている被害者」の声であり、そのような女性の自己決定は尊重しない、する必要はないのだという主張が可能になってしまいます。

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