「正しさ」から解放されないと恋愛なんてできない…【鈴木涼美】

ウートピ / 2019年7月10日 20時59分

この本も、「正しさ」に非常に躍起になっているような人にとっては、すごくツッコミどこがいっぱいあると思います。まず私は、「男は〜」「女は〜」って乱暴に言いますし、「男はみんなクソなんで」とか言いますからね。

男だっていろいろいて、それこそポル・ポトからガンジーまでいるので、一概にはなかなか言えないのは当たり前です。

でも平場の言葉ってポリティカリー・インコレクトなことがほとんどじゃないですか。「正しさ」から自由な女の気持ちを文字にすると、もちろん隙だらけで脇も甘いけど、でもそうなんだもん、しょうがないじゃん、っていうのが正直なところ。だから、そっちに寄り添って書いているかなと思いますね。

それに『オンナの値段』(2017年、講談社)もそうなのですが、私は対面のインタビューで本は書かないんです。『オンナの値段』も基本、友達の友達とか、友達の後輩とか、自分の元後輩とか、その子たち同士でしゃべってるとか、私も含めてしゃべってるところから、情報を取ってくるタイプ。だから、新聞記者はそんなに得意じゃなかったんです。

——「得意じゃない」っていうのは?

鈴木:対面のインタビューがうまい人はいますよね、それこそ吉田豪さんみたいな。でも私はそういう枠組みの中で語られる言葉の中で面白さを追求するのはそんなにうまくない。

そもそもインタビューっていう枠組みをどうしても懐疑的に見ちゃう癖があるんです。それは多分、AV女優時代、自分が受ける立場としての経験がそこにあって、あまり大したことを言わないし、できあがっちゃってるし、言うことがある程度整理されちゃってるから、生身の言葉を引き出すのってとってもテクニックがいる。

普通にただ就活の面接みたいなインタビューをしたら、相手から出てくるのってそれこそ、デモで言ってるようなことになっちゃうんですよね。うまい人もいるけど、私にそんな技術はないし、向いていないなと思いました。

例えば、「うちの会社の制度はおかしいと思います」みたいなのを、対面で聞いてもそんなに面白くなくて、「こんな会社の制度だから嫌がらせでこんなことした」みたいな話をポロっと居酒屋で話してるほうが、私は面白い。

そっちに寄っているから、多分、正しさから自由なんだと思いますね。今の時代、インタビュー受ける人だってどうしてもインタビュアーに向き合ったら、正しくないことが言いにくいですしね。

——う、確かにそうですよね。居酒屋の話のほうがリアルだし面白いというのも分かります。まあ女友達との話をそのままテキスト化したら、「正しさ」からはほど遠いし、炎上しちゃうんでしょうけど。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング