私って“弱者”なの…? 自分の弱さを認めたがらないエリート女性【富永京子×上野千鶴子】 

ウートピ / 2019年7月16日 20時59分

富永:社会運動について話していると、学生さんから受けるネガティブな反応として、「かわいそうな人は、確かにかわいそうではあるけど、得している部分もありますよね?」みたいな言い方をする人が結構いるんです。

上野:「あなた自身はかわいそうじゃないの?」って聞いたらどうなる?

富永:どうでしょうね……。かわいそうだと認めたがらないかもしれないですね。というのは、最近(富永さんが准教授を務める)立命館大学も、ワーク・ライフ・バランスなどについて話をする、どちらかといえば女子向けの就活セミナーを開いてるんですけど、それに多くの女子学生が行くかというと、なかなか行かないわけです。

ただ、自分が学生でも行かなかっただろうと思います。先ほどの中野さんのお話と同じで、私も彼女たちも努力である程度なんとかなると思っているし、自分を弱者だと思ってない。これからも弱者になる可能性が薄いと考えているからかなと思うんです。

弱さを認めたがらない「ウィークネス・フォビア」って?

上野:中野さんが、大学4年生で就活を始めたとき、男子学生と同じく「生きがい」「やりがい」だけで就職先を選んで、「女が出産しても働きやすい職場かどうか」を考慮に入れること自体が「恥」だと思っていたと言っていました。

もう1つ面白い例が、東大経済学部を卒業した小沢雅子さんというエコノミスト。男子のご学友と一緒に「生涯賃金が一番いい」金融機関に入って、35歳になってみたら同期入社の男性と賃金に倍の差がついてたって。男性社員は地方支店などを異動して帝王学コースを歩んでいたのに、女性は調査部に固定された。自分のジェンダーをカウントしていなかったと笑っておられました。小沢さんはその後、大学教授に転職なさいましたが。

そういうふうに、エリート女性が自分にあるハンデを認めたくないっていう傾向を、ウィークネス・フォビア(弱さ嫌悪)と呼びます。

富永:学校という空間が、ジェンダー平等的な空間だという理由も背景にあるかもしれないですね。「みんな平等」だということを信じたがるようなところが、自分も含めてある。

上野:ウィークネス・フォビアが強いのは男性。「弱虫」「ひきょう者」というのが男を煽(あお)るには一番簡単な言葉。男は「自分の弱さを認めたがらない弱さ」を持っている。だけど、エリート女性も同じようにウィークネス・フォビアを持ってるのね。男性的価値観に洗脳されているから。

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