「壊れるまで頑張らなくていい」自分に優しくできるようになったのは…【大木亜希子】

ウートピ / 2019年7月10日 20時45分

——「過去の自分よりキラキラしなきゃ」「今までより幸せにならないと」と考えるあまり、その言葉に縛られてしまうこともありますよね。大木さんは体を壊したあと、どうやって過去と向き合うようになったんですか?

大木:過去は過去として受け入れて、自分に優しく接するようになりました。本書にも登場する元AKBCafeっ娘で女性バーテンダーになった小栗絵里加さんのように、失敗した先に自分のやりたいことが待っている可能性もあると思います。その経験が人生を生きる糧になっていくことも。

一方で、元SDN48で現在は振付師の三ツ井裕美さんの「『人として幸せになる』感情を大切にしてほしい」という言葉も、一つの真実だと感じているんです。三ツ井さんは、「自分が壊れるまで頑張る必要はないし、途中で夢を諦めたほうが幸せかもしれない。もし違う世界に行っても、その道を楽しんでほしい。どんなときでも心の余裕は大事だし、その時のポジションや人気に一喜一憂しないで、人として小さなことにも幸せを感じられる心を持ってほしい」と話していました。

これは現代社会において、生きづらさを抱えている人たち全員に対するメッセージだとも思っているんです。自分自身に優しくなれないと、どこかでひずみや影響が出てしまう。私も余裕を失い体を壊した経験を踏まえて、どんなに過酷な状況でも心が満たされている状態でありたいと思うようになりました。

失敗しても、どうにでも生きていける

——今後はどんな仕事をしていきたいと思いますか?

大木:華やかな世界に飛び込んでみたけれど、そこでは願っていた結果は出せなかった。でも、セカンドキャリアで自分らしく輝いている。そんな女性たちにインタビューをしていきたいですね。一回で成功するのも素晴らしいけれど、実際は何度も失敗したり、夢を間違えたりすることもあるじゃないですか。それでも大丈夫だよって伝えていけるライターになれたら幸せです。

でももう、「絶対にそうならないといけない」とも思わないんですよ。本を書くに当たり8人の元アイドルにセカンドキャリアの話を聞いて、「たとえ失敗しても、どうにでも生きていける」と学んだので。

——『アイドル、やめました。』を執筆して、未来に対する目線の向け方が変わったということでしょうか?

大木:そうですね。職を失い、明日からどうやって生きていこうか悩んだとしても、いつか自分の好きなことで食べていけるようになるから大丈夫、って思えるようになりました。アイドルという究極の女性性を武器にして働く芸能界で生きづらさを抱えていたけれど、ライターになって東京で生活する分はなんとか稼げている。「夢を叶えて、年収も高くて、素敵な彼氏がいる」という世の中の理想論が、ときに強迫観念に感じてしまっていたとしても自分と他人を比べず、そういう考え方とは違う世界で生きていくのもいいんじゃないかなっていうのが、今の私の持論です。

【第1回】元アイドルが気づいた、いまを肯定する力
【第2回】グループ卒業生100人のその後を調べた理由

(取材・文:華井由利奈、撮影:面川雄大、編集:安次富陽子)

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