「いじめられる非があるから」とみんなが思った途端、正義が暴走する…【ブレイディみかこ】

ウートピ / 2019年7月31日 20時45分

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「こいつはいじめていい人」と思った途端、正義が暴走する…

イギリス在住の保育士でライター・コラムニストとして活躍するブレイディみかこさんによるノンフィクション『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)が6月に発売され、発売1カ月で累計3万6000部を突破*しました。
*2019年7月24日現在。

本のタイトルにもなっている「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」は、イギリス南部の都市・ブライトンに暮らす、日本人の母(みかこさん)とアイルランド人の父の間に生まれた「ぼく」がノートに書いた言葉。

名門小学校に通っていたものの、元・底辺中学校に進学した「ぼく」が、貧困や格差が絡み合った複雑な人間関係や自らのアイデンティティについて悩んだり迷ったりしながらも軽やかに壁や分断を乗り越え、成長していく姿がテンポ良く描かれています。

ブレイディさんに3回にわたって話を聞きました。

【第1回】子供の「節操のなさ」を見習いたい

「正義」を手にした途端、暴走する

——息子さんの友達にハンガリー移民の両親を持つダニエル君という少年が登場します。たびたび差別的な発言をして息子さんともけんかしますが、なんだかんだ付き合っている。

ブレイディみかこさん(以下、ブレイディ):この本を読んだ文筆家の方々は、なぜかみんなダニエルが好きです(笑)。みんな一番気になるらしいです。

——そうなのですね(笑)。ダニエル君は差別的な発言をするせいで大人も目を光らせるようになり、そんな空気を子供も察知して彼をいじめるようになったというエピソードがありました。よく考えたら「日本の社会でもよくあることじゃない?」と思いました。差別的な発言をした人に注意するのは当然だと思うのですが、その先に行ってしまうっていう……。

ブレイディ:ダニエルの場合は「レイシストが言うような何十年も前のオヤジみたいなことを言ってるんじゃないよ」というのが暴走してしまったというね。

「この人はレイシストです」って“正しくない人認定”されてしまって、それが「いじめられる非があるから」「どれだけいじめてもいい」と暴走してしまって、結局いじめられる側になってしまう。

——しかもダニエル君をいじめたのは直接彼に何か言われたり、被害を受けたりした人じゃないんですよね。

ブレイディ:ダニエルにいろいろ言われた本人は、例えばうちの息子なんかは友達になっていくんですよ。友達になってみんな同じグループにいるんだけど、全然関係ない人がいじめているっていう、日本のネット空間みたいですよね。

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