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<Wコラム>500円タクシー料金とK-POPアイドル、韓国旅客船沈没事故と日韓の交通運送文化

Wow!Korea / 2014年5月1日 13時50分

目当てのアイドルのコンサート会場などで出待ちをし、個人タクシーに乗って彼らのバンをどこまでも追跡してしまうのだ。中には「サセンペン」を専門に運ぶタクシー・ドライバーもいるようで、通称「私タク」と呼ばれている。もちろん「サセンペンタクシー」の意味だ。

ソウルの中心街では信号無視や割り込み運転、高速道路では時速160kmを超えるレーサー級の運転も彼らにとっては当たり前。追跡の出来具合で料金が上下することもあるからだ。

K-POP界を代表する人気アイドル「JYJ」のジェジュンの場合は、実際にこの「私タク」による追っかけ行為などがきっかけで、自身のSNSでは、「タクシー宣伝のために『ジェジュンを見つけたよ』とファンにウソをついたり、1日中アイドルを捜しまわりながらファンに結果を報告したりする悪質なドライバーもいる」とコメントしたこともある。

さらには、「サセンペンの中には、僕らの顔を近くで見たいがために、タクシーに乗ってわざと接触事故を起こした人もいる。」と暴露したアイドルもいる。

ある芸能事務所の関係者も、「『私タク』の存在がまだ幼い『サセンペン』たちの行動をエスカレートさせている。ソウルだけで100人を超える悪質なドライバーがいると思われる。未成年者がほとんどであるアイドルファンに寄生するドライバーたちを取り締まるべきだ。」と明かした。

そんな中、ある「私タク」のドライバーは、「良くない行為とは分かっているが、5時間で20万ウォン(約2万円)ももらえるので、なかなか断れない。」と現状に甘んじている様子。

戦後の韓国は急速な経済発展の中、「急げ急げ」と「安く安く」がモットーになった。その代わり、戦前に伝わっていた「ゆっくりでも確実に」の日本文化は大部分「日本の残滓」としてタブーになってしまった。この69年間の韓国には必要な方法だったかもしれない。同じ69年間、日本の社会文化は「コストがかかっても安全と安心」がモットーになっている。

今回の韓国旅客船の沈没事故でも、「韓国の交通運送文化はまだまだ先進国とは程遠い」、「日本から『安全と安心』を習え」などの声が出て来ている。しかし、日本の交通運送文化は、韓国が得意としてきた「安く」の問題に直面している。毎日1万人以上の大衆が日韓を行き来しているなか、日韓両国の文化は、相手側を見ながらバランスをとっているかもしれない。

K-POPアイドルとサセンペンたちの攻防は今日もどこかで繰り広げられている。そして、韓国旅客船沈没事故の原因究明と責任は、船長個人から運航会社や新興宗派に拡大し、学校や修学旅行に、警察や軍隊に、行政や大統領までにと拡大しつつある。しかし、その背景は、戦後69年の韓国文化、安全より効率を重視してきた社会システムである。いわゆる「戦犯」である船長は、奇しくも69歳だ。

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