【総務省】「マイナンバーカード保険証」利用開始も 医療機関の準備に遅れ
財界オンライン / 2021年11月25日 11時30分
マイナンバーカードの健康保険証としての利用が10月20日に始まった。医療機関や薬局に設置された専用の機械でカードの情報を読み取り、本人資格を確認する仕組み。新型コロナウイルスの接種済み証明書の発行にも活用される予定。ただ、利用可能な医療機関・薬局はまだ全体の1割程度。カード普及の起爆剤と期待されるだけに政府は医療機関などの準備を支援する考えだ。
カードの健康保険証としての利用は当初、3月に開始する計画だったが、試行運用でシステムに不具合が見つかり、延期されていた。今のところ、カードで受診するメリットが世間に浸透しているとも言いがたく、政府は情報発信を強化する必要もありそうだ。
利用者側のメリットとしては、医療機関での受け付け手続きの簡略化が挙げられる。カードを読み取り機にかざし、顔認証するだけで本人確認ができるため、待ち時間の短縮につながる。個人向けサイト「マイナポータル」から医療費や薬剤、健診の情報が閲覧可能になるほか、確定申告の医療費控除も簡単に申請できるようになる。
マイナンバーカードの普及は、政府が重視するデジタル化推進の鍵を握る。しかし、2022年度までにほぼすべての国民にカードを行き渡らせる目標の達成に向け、もう一つの起爆剤として期待した「マイナポイント」事業には、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)から「効果が限定的」と難癖が付いた。
カード取得者に最大5000円分のポイントを還元する事業だが、財政審はカード取得の呼び水としての効果には限界があると指摘。金子恭之総務相は「一定の効果はあった」と反論しているが、カード普及率は全国でまだ4割弱にとどまり、説得力に欠けるのは否めない。
ただ、公明党は衆院選の公約に、1人一律3万円相当のポイントを付与する「新マイナポイント」事業を掲げている。新たな経済対策として実現すれば、改めてこの取り組みが注目を集めそうだ。
【総務省】デジタル庁発足も、マイナンバーカード普及はなおも課題
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