【財務省】官邸の意向でバラマキ色強く 歳出改革は忘却の彼方に?
財界オンライン / 2021年12月8日 15時0分
財務相は歴代首相の登竜門として最重要ポストであり、前任の麻生太郎・現自民党副総裁が首相経験後に就任するなど、時の政権の経済・財政運営に一定の影響力を持つ立場。だが、岸田文雄政権が決めた約56兆円規模の経済対策では鈴木俊一財務相が主導した形跡は薄い。
財務省内では鈴木氏を「非常に紳士」「元首相を父親に持つだけあって安定感は抜群」(幹部)など歓迎する声が多いが、経済対策の調整は事実上首相官邸と与党にゆだねられ、鈴木氏は「追認しただけ」(主計局幹部)に終わった。今回の経済対策は来夏の参院選を踏まえた”バラマキ”の様相が強く、結果的に財政再建を担う財務相が看過したことになれば、その責任は重い。
典型的なのは国民への10万円支給をめぐる線引き。政府は迅速な支給を重視し、住民税非課税世帯への10万円支給と同時に、年収960万円以下の所得制限を設け、18歳以下への10万円支給も決めた。だが、住民税非課税世帯は生活保護受給者や年金生活者が含まれる一方、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う解雇や休業に直面したと思われる年収200万円程度の国民は対象外。
鈴木氏は11月24日の記者会見で困窮世帯への支援を「新型コロナの影響が長期化し、様々な困難に直面した方々の生活支援が重要」と強調したが、納得感は今一つだ。
さらに960万円の所得制限では共働き世帯の合算収入が1800万円程度でも支給対象となったため、「バラマキ」批判がつきまとうことに。永田町では、与党から「社長(大臣)がバラマキを容認しているのだから部下は黙って従えばいい」(閣僚経験者)との声も出ている。歳出改革は忘却の彼方となり、次世代へのツケがさらに重くのしかかれば本末転倒でしかない。
【財務省】次官の「バラマキ批判」余波 予算編成は給付金が焦点に
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