なぜ、『三菱商事』の次期社長に“本命” 常務の中西氏が選ばれたのか?
財界オンライン / 2022年1月6日 18時0分
「新型コロナウイルス感染症の影響で生活様式が大きく変化し、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのDX(デジタルトランスフォーメーション)革命、カーボンニュートラル(炭素排出実質ゼロ)社会に向けた動きなど、あらゆる分野で環境変化が加速度的に起こっている。こうした重要課題に対し、自ら先頭に立って取り組んでいく覚悟だ」
こう語るのは、三菱商事常務執行役員の中西勝也氏(61)。
三菱商事は今年4月1日付で社長の垣内威彦氏(66)が会長に、常務の中西氏が社長に昇格する人事を発表。会長の小林健氏(72)は相談役となる。
中西氏は1960年10月大阪府生まれ。85年東京大学教養学部卒業後に三菱商事入社。電力畑が長く、コロンビア、メキシコ、ニューヨーク、ドバイと4度の海外駐在を経験。ドイツの海底送電事業をゼロからやり遂げた自信を胸に、ヨルダンの太陽光発電やカタールでのガス火力発電・造水プロジェクトへ参画。2019年から常務執行役員として、電力ソリューショングループのCEO(最高経営責任者)に就任。かねてから次期社長の本命と言われてきた。
垣内氏はトップの要件として、時代の流れを見極めて構想する力、パートナーとの信頼関係を構築する人間性、そして、時に反感を買いながらも決断し説明する力という3つを挙げる。
「日本の課題でもあるカーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素と経済合理性という一見、相矛盾するような課題を抱えながらも、具体的な施策を打っていかないといけない。非常に難しい決断を強いられると思うし、酷な要求をしている気もするが、彼ならやれると思う」(垣内氏)
今期(2022年3月期)の純利益は前期比4・3倍の7400億円と、過去最高益の更新を見込む三菱商事。今後は既存の火力発電事業などのポートフォリオの入れ替えを図りつつ、30年度までに再生可能エネルギーや水素・アンモニアなどの事業に2兆円規模の投資を行う考えで、中西氏はこの計画の策定に深く関わってきた。
20年には蘭エネコの買収プロジェクトをまとめ上げた中西氏。決断力や実行力が評価されての社長就任となったようだ。
【三菱商事】2030年度までに 再エネに2兆円の巨額投資
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