業績好調の中でリコーが約2千人の人員削減
財界オンライン / 2024年9月26日 11時30分
リコー(大山晃社長)が、グループ全体で2000人規模の人員削減に踏み切った。海外のグループ会社における構造改革に加え、国内で新たに約1000人の希望退職を募る。
近年、リコーは従来の複写機を中心としたビジネスモデルから、オフィス周りのITサービスを拡大し、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業への変革を目指している。そうした過程の中で、「最大の課題は収益性の改善」(同社)と判断。各事業のビジネスモデルに適した収益構造の確立を急ぐ。
今年3月末時点で、リコーグループ全体の従業員数は約8万人。2024度中に約160億円の一時費用を計上する予定で、25年度に90億円の費用削減効果を見込んでいる。
今期(25年3月期)は売上高2兆5000億円(前年同期比6.4%増)、営業利益700億円(同12.9%増)、純利益480億円(同8.7%増)の見通しで、足元の業績は悪くない。しかし、主力の複写機事業はペーパーレス化やテレワークの普及を受けて、今後はこれまでのような成長が見込めないと判断し、人員削減を決めたようだ。
複写機事業を巡っては、コニカミノルタも2400人の人員削減計画を発表しており、リコー同様、苦戦が続く。
一方、富士フイルムホールディングス(HD)やキヤノンは、10年近くをかけて構造改革を実施。M&A(合併・買収)などで医療分野を強化。今期は富士フイルムHDが5期連続最高益の見通し、キヤノンも最高益を狙える水準まで来ている。
リコー、コニカミノルタの2社と、富士フイルムHD、キヤノンの2社を分けたのは、市場の変化を先読みし、いかに早く手を打ってきたかにある。市場をいかに読み、どう手を打っていくか。リコー・大山氏に突き付けられた課題である。
大和総研副理事長・熊谷亮丸の視点「岸田政権の成果と積み残された課題」
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