【家計を直撃!】油や小麦粉から肉類、野菜まで値上げに苦悩する食品・外食企業
財界オンライン / 2021年7月19日 11時30分
「ポイントは肝になる店頭価格は守り切ること。それ以外のメニューや業態で値上げするなど、自助努力するしかない」──。外食チェーンの首脳は語る。食用油や小麦粉などの加工品から肉類や野菜まで……。食卓を囲む原材料価格が高騰している。
まずは食用油。J―オイルミルズは「原料調達価格が急激かつ大幅に上昇し、過去に類を見ない水準になっている」として、8月2日から家庭向け油を1㌔あたり50円以上値上げする。高騰の原因は中国国内の豚肉生産が回復し、搾りかすがエサになる大豆の輸入量が急増していることが一因と言われる。
その中国や米国での肉類の消費急増が値上げにつながっている。6月下旬から米国産バラ肉で1㌔当たり1300円から1500円に引き上げられるケースが出てきた。豪州産の輸入牛肉の各部位も軒並み上昇中だ。
豪州産と米国産とでは需要の急増とは別の背景もある。豪州産は一昨年からの干ばつによって供給が制約された。一方、米国産は中国が関係の悪化した豪州から輸入しなくなった代わりに米国産を輸入している影響などもあると言われる。
他にもキユーピーと味の素が原料に油を使うマヨネーズの値上げを発表。大豆の価格高騰を受けて小麦の相場も上昇し、日清フーズが小麦粉やパスタの値上げを発表済み。野菜ではほうれん草や小松菜が雨による日照不足で大幅な値上がりを見せる。
外食チェーンでは4月にモスバーガーや串カツ田中がメニューの大半を値上げ。丸亀製麺やリンガーハットなどでも一部メニューの値上げを実施している。
足元で高騰しているのは食品だけではない。コロナ禍で米国、中国で住宅ブームが起き、木材価格が高騰。「ウッドショック」と呼ばれているが、日本でも大手住宅メーカーは販売価格を値上げ。さらには地場の工務店は木材が手に入らず、倒産するところも出てきている。
長らく川上でのインフレ、川下でのデフレが続いている日本。「他国より販売価格が安すぎる」(冒頭の首脳)といった声もある。食料、木材とも自給率の低い日本として、いかに確保するかという戦略が問われる。
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