日本最古の旅行会社・日本旅行社長が語る「顧客の課題を解決する“ソリューション企業”に」
財界オンライン / 2021年10月11日 7時0分
こやの・よしてる
1958年埼玉県生まれ。82年慶應義塾大学法学部卒業後、日本国有鉄道(当時)入社。分割民営化に伴い87年西日本旅客鉄道入社。2001年日本旅行に入社し、02年経営管理部長、12年営業企画本部長、15年代表取締役常務、16年専務、20年副社長、21年3月社長。営業企画本部長と万博推進室長を兼務。
「従来の旅行代理店業からソリューションビジネスへと転換しなくては生き残れない。社内で”覚醒”と呼んでいるが、ゼロベースから自分たちのできることを考え、異業種企業と共創し、顧客や地域の抱える課題を解決できる企業を目指す」
旅行需要の回復が見通せない中、116年の歴史を持つ日本で最も歴史ある旅行会社の舵取りを担う。非旅行業分野への注力が柱の一つ。成果が国や自治体におけるワクチン接種事業だ。その数は200を超える。「会場での運営や人員・設備の手配、コールセンター設置、そしてホスピタリティの行き届いた接客。旅行業で培ってきたトータルコーディネート機能が生きた」
2021年6月期中間決算では単体で1億円超の黒字を達成。一方、22年度までは194あった店舗数を約90に縮小し、新卒採用の抑制や出向で社員数も3割減らすなど構造改革が続く。
個人向け旅行でも手を打つ。「少しでも料金を安くという風潮があったが、SDGsなど社会性のあるテーマに絞った商品を造成することで、多少割高でもその価値を感じ取ってもらいたい」。例えば、国内旅行ブランド「赤い風船」のJRセットプランを購入した際、新幹線等のCO₂排出量相当額を旅行者自身が別途支払い、それが森林整備に充てられる商品を開発して好評を博す。
また、オンライン化への対応とし、若年層の海外旅行販売に強い旅工房と合弁会社を設立。国内旅行販売のノウハウや全国各地のネットワークによる仕入力を生かしてZ世代の旅行需要を掘り起こす。「OTA(オンライン・トラベル・エージェント)とは共存できる。OTAと連携し、アクセス(移動手段)等の旅行に関わる付加価値は当社が担う」
JR西日本では人事、経営管理などを歩み、近畿日本ツーリスト(当時)との統合構想では準備作業に奔走。統合は白紙化したが、節目に立ち会えたことは大きな経験になったと振り返る。
コロナ禍で控えているが、「妻とのドライブや近隣の商店街巡り」が憩いの時間だ。
『JAL』3000億円規模の資金調達 コロナ禍長期化への備えに注力
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