米通商政策-二国間交渉重視の姿勢を明確化も、依然として通商政策の不透明感が強い

ZUU online / 2017年4月21日 20時10分

写真

米通商政策-二国間交渉重視の姿勢を明確化も、依然として通商政策の不透明感が強い(写真=Thinkstock/GettyImages) (ZUU online)

■要旨

1.トランプ大統領は、選挙期間中から保護主義的な通商政策を主張していたことから、世界的な保護主義政策の広がりを懸念する声が強まった。通商政策が選挙の主要な争点となった背景は、米国の貿易赤字が長期間持続しているほか、米国民の間にも中国を中心に製造業雇用が奪われているとの不満がある。

2.トランプ政権発足後、閣僚人事で保護主義的な政策を主張する閣僚が任命されたほか、3月初に発表された通商政策課題報告書では、多国間通商交渉の枠組みである世界貿易機関(WTO)を軽視し、超大国である米国の国益をより反映させ易い二国間交渉を重視する米国の姿勢が鮮明となった。

3.もっとも、政権発足から3ヵ月が経過したものの、通商政策で中心的な役割を果たす米通商代表部(USTR)で通商代表が未承認となっているほか、政権スタッフの任用は大幅に遅れており、通商政策の立案能力には疑問符が付いている。実際、先日の日米経済対話でも、具体的な政策に踏み込むことが出来なかったことが示されている。

4.一方、対中国政策では、為替操作国認定が見送られたほか、NAFTAの見直しについてもトーンダウンしており、これらの通商政策では選挙公約からの軌道修正もみられる。このため、トランプ政権の通商政策は、当初懸念された貿易戦争の可能性は、現状では低下しているものの、通商政策の政策立案はこれから本格化するため、今後の動向には依然として不透明感が強い。

■はじめに

トランプ大統領は、選挙期間中から中国の為替操作国認定や、中国、メキシコの輸入品に対する大幅な関税率引き上げなどを掲げてきたほか、TPPからの離脱やNAFTAの見直しなど、多国間交渉ではなく、二国間FTAなどの二国間交渉を重視する姿勢を示してきた。このため、選挙期間中から米国発で保護主義的な通商政策が世界全体に拡がることへの懸念が高まっていた。

昨年の大統領選挙で通商政策が争点化した背景には、米国の貿易赤字が長期間持続している中、中国の不公正な貿易慣行などにより、製造業を中心に雇用が喪失されたとの国民感情が一部で高まってきたことが挙げられる。実際、自由貿易協定に米国民の懐疑的な見方が強まっており、トランプ大統領だけでなく、民主党の大統領候補であったヒラリー・クリントン氏までもTPPに反対せざるを得なくなった。このため、以前に比べて通商政策への関心は高くなっていると言えよう。

一方、トランプ政権発足後、保護主義的な政策を主張する閣僚を登用したほか、公約通りにTPPの離脱を決定したものの、通商政策運営は円滑に進んでいるとは言えない。政権スタッフの不足などから、4月18日に行われた第一回日米経済対話では、具体的な政策に踏み込むことが出来なかったことが示されており、同政権の政策立案能力には疑問符が付いている。さらに、中国やNAFTAに対する政策スタンスに変化がみられるなど、通商政策の一部方針転換がみられていることも、政策の予見可能性を低下させている。

ZUU online

トピックスRSS

ランキング