「狂騒の20年代」チャプリンは大暴落の前に株を処分 『金融の世界史』【書評】

ZUU online / 2017年10月13日 5時20分

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「狂騒の20年代」チャプリンは大暴落の前に株を処分 『金融の世界史』【書評】(写真=Thinkstock/Getty Images) (ZUU online)

日露戦時における高橋是清らの戦費調達と「桂・ハリマン事件」までの経緯をまとめた労作『日露戦争、資金調達の戦い』(新潮社)を2012年に上梓し、好評を博した著者が、「分かりやすい通史的な金融史が読みたい」との読者の要望に応えて執筆したのが本書である。ここには、日本を含む世界の金融の歴史が、数々の興味深いエピソードとともに綴られている。

一連の挿話を要領よくまとめ、時系列に沿って整理する著者の手さばきは見事である。本書は、全15章72話(一話3~4ページ程度)からなり、終章の「投資理論の展開」が専門的で、やや難解な点を除けば、総じて平易に語られており、金融の歴史や知識を飽きることなく学べる好著である。

『金融の世界史――バブルと戦争と株式市場』
著者:板谷敏彦
出版社:新潮社
発売日:2013年5月24日

■チューリップのバルブをめぐるバブル

史上最初の「バブル」としてしばしば語られるのが、17世紀のオランダで起こったチューリップ・バブルである。本書でも、第27話〈チューリップ・バブルとカルヴァン派と欲得〉で取り上げられている。チューリップの球根(bulb)をめぐって起こったバブル(bubble)だが、実は「チューリップ・バブル」という言い方はあまりせず、通常は「チューリップ狂」(tulip maniaまたはtulipomania)と呼ばれるらしい。

著者は、チューリップ狂について論じた主要な著作、チャールズ・マッケイの『狂気とバブル』、ジョン・K・ガルブレイスの『バブルの物語』、エドワード・チャンセラーの『バブルの歴史』、チャールズ・キンドルバーガーの『熱狂、恐慌、崩壊』、ピーター・ガーバーのFamous First Bubbles(未邦訳)を挙げ、これらのうち自分はガーバーに同情的だと述べている。

チューリップ・バブル(いや、バルブ)に踊ったのは「宗教改革の改革派であり、質素、倹約で通したカルヴァン派のオランダ人たち」だったというのは、なんとも皮肉な話ではある。「オランダが、スペインというカトリックに象徴される中世キリスト教的束縛から解放されたその直後に、欲得ずくのバブルが発生した」ことを興味深いと語る著者は、同時に繁栄がなければ、バブルは発生したりはしないとも述べている。

■狂騒の20年代
――チャップリンは大暴落の前年に持ち株をすべて処分

本書に紹介された数あるエピソードのなかでも特に興味深いのが、「狂騒の20年代」と呼ばれるアメリカのバブルについて語った第47話〈大暴落とチャップリンの『街の灯』〉である。ちょうどベーブ・ルースやルー・ゲーリッグ、リンドバーグ、アル・カポネらが活躍・暗躍していた時代の話である。

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