不眠大国からの脱却ー健康経営における睡眠の視点

ZUU online / 2019年4月6日 20時10分

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不眠大国からの脱却ー健康経営における睡眠の視点(写真=PIXTA)

■日本は不眠大国

日本は「不眠大国」と呼ばれることがある。平均睡眠時間はOECD加盟国の中で一番短く、近年においても睡眠時間の短縮は止まらない。

厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査」によると、働く世代(20~59歳)の約3割が慢性的な睡眠不足に陥っている。

不眠は、生活習慣病や精神病など様々な病気の原因となることが指摘されている。世界保健機関(WHO)が2018年6月に公表した国際疾病分類の第11回改訂(ICD11)では、新たに「睡眠・覚醒障害」が新章として追加され、世界的に睡眠が重要視されている。しかし、日本人の睡眠に対する理解は決して進んでいるとは言えない。日本人は不眠であっても医療機関を受診せず、アルコール飲用により対処している割合が高いという調査もある。

■不眠に対する企業の取り組み

従業員の睡眠改善に取り組もうという企業の動きが広がりつつある。ある研究[*1]では、従業員1人当たりのプレゼンティズム(出勤していながらも、体調不良やメンタルヘルス不調などが原因で、パフォーマンスが低下している状態)による損失は年間約34万円に達し、そのうちの2番目に大きい要因が不眠であることが示された。企業は従業員の睡眠改善に取り組むことで生産性向上、不眠を原因とした病気の予防により業績向上を図る。

確かに、厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」によると、働く世代における睡眠の妨げとなっている最大の原因は「仕事」であり、睡眠改善には企業の協力が必須であると言える。しかし、企業が従業員の睡眠改善に直接取り組むことは難しい。睡眠は完全に業務時間外のことであり、プライバシーの点から企業が管理することは容易ではない。さらには、理想的な睡眠は個人によって異なるため、禁煙などのようにこうしたほうがよいという明確な解が示しづらい。

そうした中、企業は、長時間労働の是正などの働き方改革を通じて、従業員の睡眠改善へ取り組もうと試みる。厚生労働省「平成29年版過労死等防止対策白書」によると、労働時間が長くなるほど睡眠時間の充足状況が悪化することから、長時間労働の是正は睡眠改善に一定の効果が見込めるだろう。しかしながら、組織一律の働き方改革による間接的な取り組みだけでは不十分だ。睡眠改善のためには、職場でのストレス軽減、通勤時間の短縮に向けた環境整備(在宅勤務の導入など)、業務量の平準化等、多岐にわたる取り組みが必要だ。また、育児や介護など従業員ごとによって生活環境が異なるため、よりきめ細やかな対応が必要となる。一律にここまで労働時間を減らせばよいという基準はない。

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