米金融政策見通しと注目点-当面は様子見も、当研究所のメインシナリオは次の政策金利変更が「利上げ」との見通しを維持

ZUU online / 2019年5月11日 19時0分

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米金融政策見通しと注目点-当面は様子見も、当研究所のメインシナリオは次の政策金利変更が「利上げ」との見通しを維持(画像=PIXTA)

■要旨

  1. FRBは18年に4回政策金利の引き上げを行った後、19年に入ってからは政策金利を据え置いている。直近5月のFOMC会合でも、当面は政策金利に関する意思決定を先延ばしする方針が確認された。実際にFOMC参加者の政策金利見通し(中央値)は、19年内の政策金利が据え置きとなっている。
  2. FRBは金融政策の意思決定を先延ばしする理由として、欧州や中国を中心に海外経済の減速懸念、通商政策などの国内政治の不透明感、金融環境の引き締り、などの米経済に対するリスク要因を挙げたほか、インフレ率が目標水準を下回り物価上昇圧力が抑制されていることを指摘している。
  3. 一方、足元で米国の堅調な経済指標が増えているほか、FRBの金融政策目標の達成状況からは、金融市場が織り込むような政策金利を引き下げる状況ではないとみられる。
  4. 当研究所は、海外経済の大幅な減速や、米中貿易戦争の小康、資本市場の安定を前提に次の政策金利変更は利下げではなく、利上げとの予想を維持している。もっとも、足元で米中貿易戦争の激化懸念が再浮上しているほか、FRB理事の人事も含めて利下げに対する政治的な圧力が高まっているため、利上げのハードルは上がっている。

■はじめに

FRBは、15年12月に政策金利の引き上げを開始し、18年には4回の利上げ(合計1%ポイント)を実施した。しかしながら、18年12月の利上げを最後に、政策金利を据え置いているほか、当面は政策金利に関する意思決定を先延ばしする方針を示している。

FRBはその理由として、欧州や中国を中心に海外経済に減速懸念があるほか、通商政策などの国内政治の不透明感、金融環境の引き締り、などの米経済に対するリスク要因を挙げたほか、インフレ率が目標水準を下回り、物価上昇圧力が抑制されていることを指摘している。

一方、足元では海外経済の減速懸念が幾分後退しているほか、金融環境の緩和に加え、米経済の底堅さを示す経済指標が増えているため、米経済に対する過度に悲観的な見方は修正されてきた。もっとも、インフレ率が予想外に低下しているほか、トランプ大統領がFRBに対して公然と利下げ圧力をかけていることもあって、金融市場は年内の利下げを相当程度織り込んでいる。

本稿では金融政策の見通しや注目点について整理した。当研究所は海外経済の大幅な減速回避、米中貿易戦争の小康、資本市場の安定などを前提に、足元の米経済や金融政策目標の達成状況などを考慮すれば、次の政策金利変更は金融市場が織り込むような利下げではなく、利上げとの見通しを維持している。もっとも、足元でインフレ率の低下基調が持続しているほか、欠員となっているFRB理事の人事も含めて政治的な利下げ圧力が高まっているため、FRBが利上げをするハードルは上がっていると言わざるを得ない。

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