インターネット通販市場の成長と物流施設利用の方向性

ZUU online / 2019年7月29日 19時45分

国土交通省「平成29年度土地白書」では、「近年は物流施設内の従業員の確保が重要な問題となっており、これを念頭に郊外住宅地の近くや通勤利便性の高い駅に近いこと等も重要な要因となっている」と指摘されている。物流施設内で流通加工や仕分け等を行う施設で増える中で、作業員の確保のしやすさが重視されている。ネットスーパーの配送センターでは、ピッキングや梱包等の作業を行うため多くの人手で必要となる。労働需給が逼迫した状況が続く中で、施設内作業員が確保できる立地は特に重視されるだろう。

また、前述の荷主企業および物流企業を対象としたアンケート調査では、物流施設の立地条件として、1) 「輸送の始点(生産地)および終点(消費地)へのアクセス」、2) 「自動車輸送における交通利便性」(高速道路ICおよび主要幹線道路へのアクセス)を重視するとの回答が多かった。

ネットスーパーでは、レスポンスの速さが重視されることから、配送センターの立地には、消費地(消費者)に近いことが求められる。一方、前述の通りネットスーパーの配送センターでは、遠距離配送は想定しておらず、高速道路ICへのアクセス等はさほど重視されない可能性がある。

■おわりに

首都圏では、2019年から2020年にかけて、年間約300万㎡の大規模賃貸施設の大量供給が予定されている。物流施設の借り手側からみると、以前よりも施設選択の幅が広がっているといえる。

一方、物流施設に求める条件は、インターネット通販市場の拡大等に伴い変化している。例えば、本稿で取り上げたネットスーパーの市場成長に伴い、最終消費者に直接貨物を運ぶ配送センターが増えることで、消費地の近くに立地し、中小規模で温度管理が可能な物流施設へのニーズが高まる可能性がある。これまで以上に設備や立地条件により、需給格差が拡大する可能性があると思われる。

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吉田資 (よしだ たすく)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員・総合政策研究部兼任

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