インターネット通販市場の成長と物流施設利用の方向性

ZUU online / 2019年7月29日 19時45分

前述の通り、宅配便ネットワーク体制の整備は進んでいる。一方、労働需給が極めて逼迫している中で、宅配便の現場では、取扱個数の急増も相まって深刻な人手不足となっている。人手不足の影響を受けて、2017年から2018年かけて、宅配事業者によるインターネット通販事業者に対する配送料金の値上げ要請や荷受け量の総量規制、時間帯指定配達の見直し等が行われた。「宅配便」の輸送指数(日本銀行「企業向けサービス価格指数」)は、企業物流の中心である「貸切貨物」や「積合せ(6)貨物」の輸送指数と比較して、大幅に上昇している。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「物流コスト調査」によれば、物流サービスが極めて重要な通販企業の売上高物流コスト比率は12%程度と、全業種平均(約5%)に比べて高い水準にある。ラストワンマイルを担う宅配便の配送料値上げは、通販企業の業績を悪化させることになる。

また、消費者がインターネット通販を利用する理由として、実店舗で購入するよりも安いという理由は上位に挙がる。配送料の値上げは消費者の負担増につながり、市場拡大の阻害要因として働くと考えられる。

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(4)林克彦・根本敏則『ネット通販と宅配便における物流革新』国際交通安全学会誌VoL41No.1、平成28年6月
(5)各企業がネットショップを出店するのではなく、商品を出品するビジネスモデルのモール型EC。商品のデータ管理はアマゾンを行っている。
(6)一台の車両に複数の荷主の貨物を積合せて輸送すること。

●人手不足対策

宅配便の取扱個数が急増する中、不在のために持ち帰る「再配達」が、宅配便事業者の更なる負担増を招いている。国土交通省は、「総合物流施策推進プログラム」(2018年1月)において、宅配便の再配達率を、16%程度(2017年度)から13%程度(2020年度)まで削減することを目標としている。また、国土交通省HP上では「再配達削減のために活用をお願いしたい3つの方法」が掲載されている。具体的には、1) 「時間帯指定の活用」、2)「各事業者の提供しているコミュニケーション・ツール等(メール・アプリ等)の活用」、3)「コンビニ受取や駅の宅配ロッカーなど、自宅以外での受取方法の活用」を掲げている。

大手宅配便事業者も再配達削減の取組みを開始している。ヤマト運輸は、宅配ロッカーサービスを展開するフランス企業のネオポストグループと、複数の事業者が共同で利用できるオープン型宅配ロッカーネットワークを構築し、運用するための合弁会社「Packcity Japan株式会社」を2016年5月に設立し、宅配ロッカー事業を開始している。

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