デジタルトランスフォーメーションで変貌する海外金融機関と2025年の次世代金融シナリオ

ZUU online / 2019年9月2日 18時40分

地域金融機関にとっては、これまで展開してきたリレーションシップバンキングをデジタル化した上で、何らかの付加価値を提供することが生き残り策になる。取引先の中小企業に対してデジタル化支援をサービスとして提供できる水準にまで、自らのデジタル化を高度化させることが求められる。顧客が人による対応を望む業務に特化し、地域密着型でニッチに生き残りを図る金融機関も登場することが予想される。

一般個人向け取引は、既存銀行が最も大きな影響を受ける分野になる。テクノロジー企業は、アリババのように、決済業務を起点に様々なビジネスを展開する。既存銀行はテクノロジー企業が構築したプラットフォームに銀行インフラや単発の金融サービスを提供するだけの存在になる可能性も否定できない。

富裕層向け取引は、特にメガバンクが最も死守したい分野であろう。メガバンクの近未来型店舗のレイアウトを見ると、一般個人向けはデジタル化で省力化する一方で、富裕層へ注力する明確な意思が感じられる。この分野で新たな銀行が生まれる可能性もあるが、ここを死守するために銀行全体でデジタル化を進めているように見えるところもあり、後発者には厳しい戦いになると考えられる。

以上のように、次世代金融のシナリオにはいくつかの重要な視点がある。顧客が法人か個人かの分類、顧客に商品・サービスを提供するプレイヤーの「サービス提供者」と「顧客接点」の分類、プレイヤーがテクノロジー志向か関係性志向か、プラットフォーム志向か否かという分類などである。ここで示した基軸は、金融機関にとっては早晩、どれに注力すべきかという選択を迫られる重要なものである。今こそ、「選択と集中」が求められている。

※ 本稿は『週刊金融財政事情』2019年7月8日号より5回にわたり連載された、「DXで変貌する海外金融機関」を再構成したものである。

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田中道昭
立教大学ビジネススクール 大学院ビジネスデザイン研究科 教授
ニッセイ基礎研究所

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