インド経済の見通し~景気対策により年後半に底入れも、雇用悪化や輸出停滞で緩慢な成長が続くと予想(2019年度+6.0%、2020年度+6.7%)

ZUU online / 2019年9月5日 19時20分

純輸出については、輸出が同5.7%増(前期:同10.6%増、)と、世界経済の減速や米中貿易戦争を背景に低下した。また輸入は同4.2%増(前期:同13.3%増)となり、輸出減速と国内需要の鈍化を受けて大きく低下した。結果として、純輸出の成長率寄与度は+0.1%ポイント(前期:▲0.9%ポイント)と改善した。

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(1)インドでは不良債権問題を背景に国営銀行の融資が厳格化するなか、ノンバンク金融会社(NBFC)がインドの中小企業や消費者向けの信用供与を拡大させてきた。預金を持たないNBFCは資本市場で資金調達を行うため、IL&FSのデフォルトをきっかけとする流動性逼迫により経営状況が悪化している。

■経済見通し: 景気は年後半に底入れも、回復は遅れる見通し

先行きのインド経済は、総選挙前の政治的な先行き不透明感を背景とする投資の下押し要因が解消されること、昨年から続くノンバンク金融会社の流動性悪化の影響が一巡することから7-9月期に景気が底入れするものとみられる。その後は南西モンスーンで十分な雨量が得られた農村部の所得が改善することや政府の景気刺激策とインド準備銀行(RBI、中央銀行)の金融緩和による押し上げ効果が広がるなかで、国内需要が次第に持ち直していくだろう。もっとも、これまでの貸し渋りを背景に自動車産業や中小企業の受けた深刻な打撃の影響が国内で広がりをみせるほか、海外経済の減速を背景に輸出が伸び悩むとみられるため、その後は景気回復が遅れ、19年度は+6%程度の勢いを欠いた成長を予想する。

需要項目別にみると、投資が持ち直す一方、消費と輸出の回復は遅れるだろう。まず足元で大幅に減速した民間消費は農家の所得改善や政府による国営銀行への資本注入とノンバンク金融会社に対する流動性供給策が支えとなり、下げ止まると予想する。今年の南西モンスーンは十分な雨量が得られたため、カリフ期の穀物生産が順調に推移すると見込まれる。また政府の農家に対する直接給付(2)も所得向上に寄与するため、農村部の消費需要は今後改善に向かうだろう。一方、自動車産業と中小企業を中心に雇用情勢は悪化しており、都市部の消費の冷え込みが続く可能性は高そうだ。全体としてみれば、民間消費は下げ止まった後も伸び悩み、L字型の回復を辿ると予想する。

総固定資本形成は、短期的な下押し要因となっていた総選挙前の政治的な先行き不透明感が払拭されたことから持ち直し、景気の下支え役となるだろう。7月には2期目に入ったモディ政権の来年度予算案が公表され、経済政策の継続性が確認された。企業は新政権発足まで見合わせていた新規投資に踏み切るものと予想される。しかしながら、昨年度発表された新たな投資計画は14年ぶりの低水準を記録するなど、企業の投資マインドに改善の兆しはみられない。政府は8月に景気対策を公表したが、国営銀行の不良債権問題とノンバンク金融会社の貸し渋りの悪影響は容易には解消しないこと、また先行きの輸出停滞が見込まれることを踏まえると、投資が昨年のような二桁成長に達するには暫く時間がかかるだろう。

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