インド経済の見通し~景気対策により年後半に底入れも、雇用悪化や輸出停滞で緩慢な成長が続くと予想(2019年度+6.0%、2020年度+6.7%)

ZUU online / 2019年9月5日 19時20分

外需については、まず輸出が財貨・サービス共に取引相手国の景気減速を受けて鈍化傾向が続くだろう。米中貿易戦争は9月に米トランプ政権の対中関税「第4弾」が発動されるなど激化の一途をたどっているほか、米トランプ政権が一般特恵関税制度(GSP)の対象国からインドを除外(3)するなど、インド自身も米国との通商摩擦に直面しており、輸出の停滞は長期化する恐れがある。一方、輸入は内需の底入れを受けて拡大傾向が続くため、純輸出の成長率寄与度は再び悪化しよう。

以上の結果、19年度は投資を中心に今後持ち直しに向かうものの、消費と輸出の回復が遅れるために実質GDP成長率が+6.0%となり、18年度の+6.8%から成長ペースがダウンするだろう。しかし、20年度は新政権の経済政策を通じた投資の持続的な拡大や輸出の底入れを受けて+6.7%成長まで回復すると予想する。

当面の注目ポイントは、これまでの利下げと景気対策効果の波及である。中銀は今年に入って積極的な金融緩和を進めてきたが、これまで貸出金利の低下には繋がってこなかった。このため、自動車販売の落ち込みに歯止めがかからず、7月の乗用車の販売台数が前年同月比30%減を記録した。また自賠責保険料の引き上げや2020年度に実施される排ガス規制「バーラト・ステージ6」を背景とする買い控えなども自動車の販売不振に繋がっている。自動車産業の不調が鮮明となるなか、販売店や工場は人員削減や操業時間の短縮などの対応を迫られている。

自動車産業は総雇用の8パーセントを占めるとされ、経済の影響が大きい産業である。産業界から迅速な景気刺激策を求める声が高まるなか、政府は8月23日に景気対策を公表した。政府は車両登録料の引き上げ時期の延期や古い公用車の買い替えを促すことで販売を後押しする公算だ。また政府は国営銀行に7000億ルピーの資本注入を実施することで資金の流動性を高めるほか、貸出金利を政策金利と連動するよう銀行に促す措置を盛り込んだため、これまでの利下げ効果の波及が期待される。

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(2)農家支援金の直接給付(通称:PM―Kisan)は総額7,500億ルピーを予算計上しており、1,000万を超える小規模農家に対し1世帯当たり年間6,000ルピーを3回に分けて支給される。昨年12月から遡って適用され、一回目の支給は3月末までに完了する見通し。
(3)5月31日、米トランプ大統領がインドを一般特恵関税制度(GSP)の対象から除外することを発表した。GSPは途上国の経済発展を促すことを目的に米国への輸入にかかる関税を一部免除する制度である。GSP除外により、インドから輸出される自動車部品や化学薬品、食器類に最大7%の関税が課されることになる。

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