インド経済の見通し~景気対策により年後半に底入れも、雇用悪化や輸出停滞で緩慢な成長が続くと予想(2019年度+6.0%、2020年度+6.7%)

ZUU online / 2019年9月5日 19時20分

■(為替の動向)ルピー弱含みが続く

インドルピー(対米ドルレート)は昨年、国営銀行による巨額の不正取引による詐欺被害や米国の金融引き締め、米中貿易戦争の過熱などから10月に一時史上最安値となる1ドル74ルピーをつけたが、その後は原油価格の急落や米FRBのハト派化に伴う新興国資金流出懸念の後退により、ルピーを含む新興国通貨を買い戻す動きが広がった。また総選挙でインド人民党が圧勝したことが好感されてインドへの資金流入が続くなかでルピーは安定して推移、RBIはドル買い介入で外貨準備を積み増していった。

しかし、7月には来年度予算案で金融市場が期待した景気対策が盛り込まれず、失望感からルピーが下落に転じた。そして8月には米中貿易戦争の激化を背景に新興国通貨の下落圧力が強まるなか、ルピー安が急速に進んだ。なお、8月下旬に政府の景気刺激策が公表されたことは相場の下支えに繋がった。

先行きは、ルピー弱含みで推移するだろう。原油価格は世界経済の後退懸念や米国でのシェールガスの生産拡大などが押し下げ要因となって停滞する見通しである。このことは貿易収支の改善に繋がるため、ルピーの下支え要因となるものの、既にBJP勝利を好感した資本流入は終息、足元の経済成長率が5年ぶりの低水準に落ち込むなどルピー買戻しの動きが続くとは考えにくい。パキスタンとの間でカシミール地方の領有権争いが再燃しているほか、米中貿易戦争の激化を受けて新興国に流れ込んできた大量のマネーが流出する恐れもある。インド政府・中銀による景気刺激策の効果が表れるまでには時間がかかるため、ルピーは軟調な推移が予想される。

■(物価の動向)景気回復の遅れから物価安定を予想

インフレ率(CPI上昇率)は、2018年初に一時+5%まで上昇したが、年後半からは国内需要の鈍化や食品価格の下落、燃料・光熱費のピークアウトなどからインフレ圧力が後退し、19年1月には+2.0%まで低下した。その後は食品価格のデフレ圧力が弱まり、インフレ率は7月にかけて+3.1%まで上昇してきたが、原油価格の停滞やルピー高、国内経済の更なる減速などからインフレ率は安定しており、RBIの中期インフレ目標(2.0-6.0%)の中央値を下回って推移している。

先行きのインフレ率はルピー安の影響で再び上向くものの、農業生産の拡大によって食品価格の上昇圧力が和らぐこと、景気回復の遅れで需給が引き締まらないことから、当面はインフレ警戒感の緩んだ安定した物価動向を予想する。CPI上昇率は19年度末には+3.7%、20年度末には+4.0%を予想する。

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