SG会田アンダースロー(ワインドアップ)デフレ完全脱却のためには現在の財政政策は緊縮すぎ

ZUU online / 2019年9月24日 14時45分

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SG会田アンダースロー(ワインドアップ)デフレ完全脱却のためには現在の財政政策は緊縮すぎ(画像=PIXTA)

シンカー:財政政策が緊縮のままでは、ネットの資金需要(企業貯蓄率+財政収支)は消滅したままで復活せず、リフレサイクルは稼働せず、デフレ完全脱却にも失敗し、日本経済は再びデフレの闇に陥るリスクが残っていることになる。10月の消費税率引き上げは税収をすべて支出にあてる形であるため、財政政策として目先は中立である。しかし、経済分析として必要とはみられないこの時点の消費税率引き上げを政治的な理由で行う中で、デフレ完全脱却を確実にするためには、更なる経済対策を実施し、単年ではなく複数年での税収中立の下での大幅な所得減税などで消費者の不安を更に緩和し、企業貯蓄率をマイナスに正常化する企業の投資行動を促進する税制改革などとともに、自民党の公約にもある7兆円程度の「防災・減災・国土強靭化の3ヵ年緊急対策」と5%を含めた新たな構造の下でのインフラ投資などを加速させるなどして、総需要を下支えする必要があるだろう。ネットの資金需要は恒常的にマイナスでマネーが拡大する形となるのが管理通貨制度の下では普通であり、それが望ましく、教育の完全無償化や子育て支援金の拡大など、水準感としてGDP対比で3%程度の恒常的な財政支出の拡大余地があることを示す。景気が良い時にも財政政策は引き締められないという批判とは無縁だ。ネットの資金需要が消滅していることは、デフレ完全脱却のためだけではなく、長期的な経済成長のためにも、現在の財政政策は緊縮すぎであることを示す。

日銀資金循環統計の企業貯蓄率は2019年4-6月期には+2.7%(4四半期平均、GDP比率)となり(1-3月期同+2.5%)、アベノミクス前の2012年10-12月期の+5.5%から大きく切り下がり、ようやく2%台に定着してきた。企業貯蓄率の上昇は、デレバレッジやリストラが強くなるなど企業活動の鈍化を意味し、景気下押しとデフレ悪化の圧力となる。企業は資金調達をして事業を行う主体であるので、マクロ経済での貯蓄率はマイナスであるはずだ。しかし、日本の場合、1990年代から企業貯蓄率は恒常的なプラスの異常な状態となっており、企業のデレバレッジや弱いリスクテイク力、そしてリストラが、企業と家計の資金の連鎖からドロップアウトしてしまう過剰貯蓄として、総需要を破壊する力となり、内需低迷とデフレの長期化の原因になっていると考えられる。一方、企業貯蓄率の低下は、デレバレッジやリストラなど過剰貯蓄が総需要を破壊する力が弱くなり、企業活動の回復により景気押し上げとデフレ緩和の圧力となる。企業活動の動きが、景気サイクルを決めていると考えられ、企業貯蓄率はその代理変数となる。

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