4人で売上1.5億円、ヒット出し続ける出版社が選んだ戦略

ZUU online / 2019年10月17日 6時45分

写真

4人で売上1.5億円、ヒット出し続ける出版社が選んだ戦略(画像=Chinnapong/Shutterstock.com)

(本記事は、甲斐かおりの著書『ほどよい量をつくる(しごとのわ)』インプレス2019年9月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

■つくる量を減らすと決める

これまで量産していたものの「数を減らす」のはハードルの高いことだろう。ときには覚悟がいる。

ところが、思い切ってつくる量を減らしたことで仕事が楽になり、売上も変わらず、むしろ伸びて、つくり手にとってもお客さんにとってもいい結果になった例がある。

兵庫県の明石市にある出版社、「ライツ社」。4人で立ち上げた小規模の出版社ながら出版する本の数を業界の常識よりも減らして、仕事の質を高め、ヒット本を出し続けている。

代表の大塚啓志郎さんは、もとは100名規模の会社の出版事業で単行本の編集を行い、責任者を務めていた。結婚して子どもができたのを機に、同じ会社の営業担当と共に独立する。

「これまでに出した本の数は、平均して編集者1人につき年に3冊から4冊。3年間で21冊です。これは通常の出版社に比べてすごく少ないほう。自分も会社にいた頃は年に12〜15冊を手がけていました。それは時間的にもしんどかったし、やっぱり売れないものも増えるんです」

1年目は本の売上の回収時期がずれることもあり、6冊の出版で2000万円の赤字だったものの、2年目には9冊出して1年目の赤字を相殺。3年目は6冊で売上が1億5000万円にのぼり、十分な黒字を見込んでいる。

その重版率を聞いて驚く。業界平均がよくて10〜20パーセントのところ、ライツ社の本は71.4パーセント。3倍以上だ。

「それが実現できたのも、けして僕たちが優秀な編集者だったからではなくて、つくる本の数を絞ったからだと思っています」

出版点数が少ないぶん、時間をかけていいものをつくる。本当にやりたい企画しかやらない。締切もないから妥協がない。

営業面でも、出版点数が少ないことには大きな利点がある。通常、営業マンが書店員にもらえる時間は多くて5分。このとき、案内しなければならない本が5点あれば、1冊につき1分になる。それが、2カ月に1冊しか本が出ないとなると、1冊にまるまる5分はかけられる。書店員への伝わり方がまるで違うし、一緒に何か販促企画をやろうという話にもなる。1冊ごとのPRにかける力もおのずと違ってくる。

「出版業界は、とにかくたくさん出してどれか当たればいいというビジネスモデルに陥っています。1日に出る新刊が200点。一番負担がかかっているのは書店です。取次からダンボールが勝手に届いて、段ボールを開けないまま返品することもあると聞きます」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング