ロシア経済の見通し-停滞が続く経済。20年は内需の回復で加速も、緩慢な成長に留まるか。

ZUU online / 2019年10月17日 19時15分

■為替・物価・金融政策等の動向

●為替

18年のルーブルの為替レートは、原油価格が後半まで上昇基調であったものの、露米金利差の縮小と米国による追加制裁によって、年間を通してルーブル安が進行した。その後は、12月に米国による制裁の一部が解除されたほか、米FRBが緩和姿勢に、原油価格も上昇に転じたことで、19年に入ってルーブルは持ち直した。足元にかけては、米FRBが利下げを進める一方で、米中貿易摩擦の激化に伴うリスク回避姿勢の高まりによって、主要新興国通貨が総じて軟調である中、ルーブルは底堅く推移している(3)。なお、従来ルーブルは原油価格の変動に大きく影響されていたが、17年2月に経済の安定化を目的として導入された外貨買入・売却オペレーションによって影響度合いが縮小している(4)。

ルーブルの先行きは、原油価格の振れ幅が大きくないと予想されることから、原油価格変動による影響は限定的であろう。当研究所では20年にかけて、米国よりロシアの利下げ幅が大きいと見込んでおり、露米金利差の縮小及びロシアの貿易収支悪化によって小幅にルーブル安が進行すると予想する。

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(3)19年8月、9月に米国による追加制裁が発動されたが、為替への影響は限定的である。
(4)外貨買入・売却オペレーションとは、原油価格が政府の想定価格を上回った場合は外貨を買い入れ、下回った場合は外貨を売却するというもので、オペレーションの実施は中央銀行の判断に拠る。急激なルーブル高は輸出に悪影響を与える一方で、急激なルーブル安はインフレ率の高騰、さらには利上げによる経済の停滞を招くため、為替の安定を通じて経済の安定化を目指す。

●物価・金融政策

インフレ率は、18年半ばに史上最低水準まで低下したが、ルーブル安に伴う輸入物価の上昇によって、緩やかに上昇し、12月には再びインフレ目標の4%を上回った。19年に入ると、年初の付加価値税率の引上げによって一時的に5%台に達したが、ルーブルの持ち直しと内需の停滞によってインフレ圧力が後退し、9月には4%まで低下した。先行きは、内需が回復するも、緩やかなものに留まると予想されることから、目標水準の4%前後の穏やかなインフレが継続すると考える。

ロシア中央銀行は、米FRBの利下げ観測の高まり、インフレ圧力の後退、景気の停滞などを踏まえ、19年6月の金融政策決定会合で約1年ぶりに利下げを決定すると、その後2度の追加利下げを実施し、足元の政策金利は中立的金利水準(6%-7%)の上限である7%まで低下している。先行きは、9月の会合で追加の利下げが示唆されたことから、年内に1回利下げが実施され、19年末の金利水準は6.75%と予想する。また20年においても、インフレの高騰懸念が小さいことや、経済成長が緩やかなものに留まると見込まれることから、追加の利下げが実施され、年末の金利水準は6.5%と予想する。

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