SG会田アンダースロー(クイック)日銀はフォワードガイダンス変更による緩和バイアスの明確化と事実上の長期化に踏み切った

ZUU online / 2019年10月31日 14時50分

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SG会田アンダースロー(クイック)日銀はフォワードガイダンス変更による緩和バイアスの明確化と事実上の長期化に踏み切った(画像=PIXTA)

シンカー:日銀は10月31日の金融政策決定会合で、「海外経済の減速の動きが続き、その下振れリスクが高まりつつあるとみられるもとで、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れについて、より注意が必要な情勢になりつつある」と判断した。そして、「海外経済については、成長ペースの持ち直し時期がこれまでの想定よりも遅れるとみられる」と判断した。海外経済の持ち直しの遅れなどを理由に、フォワードガイダンスを変更した。新たなフォワードガイダンスは、「「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」とされた。グローバルな景気持ち直しのシナリオを維持しながら、金融緩和効果の自律的な拡大が、2%の物価目標の達成へのモメンタムを強くするまで、フォワードガイダンスの下、日銀は辛抱強く金融政策の緩和バイアスを維持しようとしている。フォワードガイダンスの期限は削除されたが、緩和バイアスが明確化された分、事実上、期限は延長されたことになる。2020年夏の東京オリンピック後の一時的な景気下押し圧力の不確実性が後退するまで、政策スタンスが維持されることを示唆するとみられる。メインシナリオとしては、実際には海外経済の持ち直しがいずれ進み、日銀が追加金融緩和に追い込まれることはないと予想する。2021年度には、設備投資サイクルの一段の上昇などで企業貯蓄率が正常なマイナスに転じ、総需要を追加的に破壊する力が一掃され、政府のデフレ脱却宣言とともに、日銀はまず長期金利の誘導目標を引き上げていくと考える。日銀は、「海外経済の減速の国内需要への影響は、限定的なものにとどまると見込まれる」と判断している。リスクシナリオとして、この判断が、国内需要の下振れのリスクが大きくなっていると変更された場合、フォワードガイダンスに示唆される追加金融緩和が実施されるとみられる。

10月30・31日の日銀金融政策決定会合では、「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで」、目標からの短期的なオーバーシュートの許容とマネタリーベースの拡大方針を含む「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続し、日銀当座預金の政策金利残高の金利を?0.1%、長期金利を0.0%程度とする政策の現状維持を決定した(7対2)。一方、フォワードガイダンスは、「「物価安定の目標」に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」へ変更した。これまでは、「海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも 2020年春頃まで、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」としていた。政策スタンスが緩和バイアスにあることを明確にした。期限は削除されたが、緩和バイアスが明確化された分、事実上、期限は延長されたことになる。

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