特集2017年4月3日更新

「べっぴんさん」から「ひよっこ」へ…朝ドラ特集

「朝ドラ」の愛称でおなじみのNHK連続テレビ小説。芳根京子がヒロインを務めた「べっぴんさん」が4月1日に最終回を迎え、3日からは有村架純主演の「ひよっこ」が始まりました。そこで「べっぴんさん」を軽く振り返るとともに、「ひよっこ」はどんな作品なのかについてもまとめてみました。

4月1日「べっぴんさん」最終回

最終回に大反響

「チェッカーズ」がトレンドワード入り

4月1日、「べっぴんさん」が最終回を迎え、放送終了後にはTwitterで「べっぴんさん最終回」がトレンドワード入りするなど大きな反響が寄せられました。また、劇中でチェッカーズの「ギザギザハートの子守歌」を歌うシーンがあり、「チェッカーズ」もトレンドワード入りしたそうです。さらに「べっぴんさんロス」を訴える声も寄せられています。

「べっぴんさんおわってしまった…べっぴんさんロスが」「うちも大好きな番組です。べっぴんさんロスになりそうです…」「半年間完走!べっぴんさん ロスになってしまった」とドラマの最終回を惜しむ声も寄せられている。

「なんか、なんかなー」と辛口の評価も

半年間のドラマを見終えた印象は……すみれの口ぐせのフレーズそのもの。

「なんか、なんかなー」

一言でいえば、「キアリス」という企業の仕事ぶり、ものづくりへのこだわり、仕事と人、仕事と社会、仕事と街との関係について、描写が極端に少なくてものたりなかった。

朝ドラ史上初の試みを発表

本編で描かれないエピソードを紡ぐスピンオフドラマ3本と、関連番組2本を春の大型連休中に一挙放送することを発表した。なお、連続テレビ小説のスピンオフとして今回が初めてとなるラジオドラマ『たまご焼き同盟』を5月4日に(ラジオ第1)放送する。

最終回の視聴率は19.8%

2013年以降のNHK連続テレビ小説の全話平均視聴率において、「まれ」の19.4%に続く20.3%の低さでした。

女優の芳根京子(20)がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」(月~土曜前8・00)の最終回が1日に放送され、平均視聴率は19・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが3日、分かった。全151回を通じた期間平均視聴率は20・3%。

「ひよっこ」にバトンタッチ

3月23日、恒例のバトンタッチセレモニーが行われ、「べっぴんさん」ヒロインの芳根京子から次期朝ドラ「ひよっこ」ヒロインの有村架純へ、文字通りバトンが渡されました。

「寝られる時に寝てください」芳根から有村へアドバイス

長期にわたる撮影に際して、有村へのアドバイスを求められた芳根は「寝れるときにたくさん寝てください!(笑)」とコメント。「思うように台本を読む時間がなかったりとか、本当に苦しいなって思う瞬間もあったんですけど、でもやっぱり寝ないとだめだなって(笑)。人間、本当に睡眠大事だなって思ったので」と撮影の日々を振り返った。

「ひよっこ」はどんな話?

東京五輪の1964年から始まる波乱万丈青春記

『ひよっこ』は、東京オリンピックが開催された1964年から始まる物語。茨城県北西部のある大家族の農家に生まれたヒロインが、東京に出稼ぎに行ったまま行方不明になった父を捜すために、集団就職で上京を決意し、自分の殻を破って「幸せな家族を取り戻す大冒険」に乗り出していく姿を描く。

ヒロインのモチーフがいないオリジナル作品

上で紹介した「べっぴんさん」のように、ここ数年の朝ドラでは実在の人物をモチーフにした作品が目立っていましたが、「ひよっこ」はモデルとなる人物がいない上に原作もありません。人気脚本家の岡田惠和氏が手がけるオリジナル作品となっています。

朝ドラヒットの3原則ともいわれる〈戦争〉〈女性一代記の成長物語〉〈実在する人物がモデル〉の要素が、「どれも入ってない(苦笑い)」と自虐してみせた岡田恵和氏が手がけるオリジナルストーリー

見どころは…

見どころその1 「農家生まれ」だけに食卓に注目

第1週では根菜の煮物が数品並ぶ“真っ茶色”の農家の食卓が映され、当時はまだ珍しかった洋食屋のトンカツサンドを後生大事そうに頬張るヒロインが描かれる。しかも、家庭食、外食ともにプロの料理監修を立てるこだわりよう。視聴者のハートと胃袋をつかんで高視聴率に期待がかかる。

見どころその2 異例の“子役ナシ”で1話から有村が登場

脚本担当、岡田氏の「有村さんでやりたい」という意気込みが強く反映され、第1話のファーストシーンから最終回まで有村が出演。“子役ナシ”は朝ドラとしては異例のだといいます。

物語は、茨城を舞台とした物語と、東京を舞台とした物語に分かれており、子役の起用はなく1話から最終話まで有村がみね子を演じる。

見どころその3 「新しい有村架純」が見られる?

ヒロイン発表会見で岡田氏は「ここで有村架純の代表作を更新したい」と意気込みを語り、制作統括の菓子浩氏も「新しい有村架純をお見せできると思います」と自信たっぷりに語っています。演じる有村本人も「楽しみ」にしているという「新しい有村架純」は見られるのでしょうか?

「岡田さんとお話した時には、『今までの私じゃない姿が見れるんじゃないか』とおっしゃていて。確かにみね子は喜怒哀楽がとにかく激しくて、いろんな表情ができたらいいなと思いながらやっているんですが、ここ最近では見せていない顔がたくさん映っているんじゃないかな」と楽しみにしている。

見どころその4 主題歌は桑田佳祐の書き下ろし

ドラマの主題歌は桑田佳祐が書き下ろした新曲「若い広場」。NHKのドラマに楽曲を提供するのは今回が初だそうです。主演の有村も「どこかしら懐かしく感じる」とコメントを寄せています。

4月3日(月)スタートの連続テレビ小説「ひよっこ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15NHK総合ほか)の主題歌に、桑田佳祐の「若い広場」が決まった。

オーディションなしで有村架純をヒロインに抜擢

有村本人が「“朝ドラ=オーディション”と、選ばれた方だけが出られる作品という印象があった」と語っているように、NHK連続テレビ小説のヒロインオーディションは熾烈なイメージでおなじみ。しかし、今回のヒロイン役はNHKからのオファーで選ばれ、オーディションなしで選ばれたのは2014年前期「花子とアン」の吉高由里子以来だということです。

「有村ありき」の作品だった!?

脚本を担当する岡田氏の希望でキャスティングされたということですが、「有村ありき」の作品だったという記事もあります。

有村とデビュー当時から親交があるという岡田氏の希望もあり、今回はオーディションではなくキャスティングによりヒロインが決定した。
そこで有村を高く評価する脚本家・岡田惠和氏に、有村ありきのオリジナル作品をオファー。こうして決まったのが『ひよっこ』主演だった。

数字で見る朝ドラオーディションの熾烈さ

朝ドラオーディションの熾烈さを数字で見ていくと、応募者数が最多だったのは波瑠が選ばれた「あさが来た」(2015年後期)で2590人。続いて高畑充希主演「とと姉ちゃん」の2564人だそうです。
見事ヒロインに選ばれた女優たちの応募回数を見ると、「ウェルかめ」(2009年後期)の倉科カナが5回、続いて「べっぴんさん」の芳根と「あさが来た」の波瑠が4回で並んでいます。
ヒロインに選ばれるということは、もともとその程度の素質があることには間違いありませんが、“朝ドラのヒロイン”というだけでブレイクがほぼ約束されるので、2000人を軽く超える人たちが応募するのも当然といえるでしょう。しかも朝ドラは撮影スケジュールの過酷さも有名で、そんな現場で演技力とともに体力、精神力も鍛えられるとなれば、これだけ競争が激しくても受けたくなるのでしょうね。

有村架純が語るヒロインの覚悟と責任

放送開始に向けて多くの「ひよっこ」関連記事が配信されてきています。その中から有村架純のインタビューを中心に、印象に残った記事や言葉などを紹介していきましょう。

「あまちゃん」から4年…成長を披露する場

「あまちゃん」以降、売れっ子女優として順風満帆に女優人生を歩んでいるように見える有村ですが、「正統派で素直な女の子」役が続いて行き詰まりを感じていた時期があったといいます。そういった苦労も乗り越えて着実に成長し、本作では主役として作品を背負う気持ちを持って挑むようです。

「放送が始まれば視聴率のことも言われるだろうし、そういう日々が待っているんだろうと。作品を背負っていることは常に感じています」とも。演技の幅だけはなく、座長として大きくなった覚悟や責任感。今作は4年の成長を披露する場にもなる。
「あまちゃん」時代とは注目度も違うことは重々承知している。「周りが変化していることを理解して、責任も持たなければいけない」

役作りで体重5キロ増

この日の会見に出席した有村は、日焼けメークにもんぺ姿の農家の長女を演じるにあたり、撮影前に体重を5キロ増量して臨んだことを告白。「(現在撮影中の)東京編では身も心もどんどん締まっていくのを表現したくて減量していますが、挑戦して良かった」と充実した様子で振り返っていた。

この“ぽっちゃり化”に対してファンから様々な反応があがっています。

なんとこの彼女に絶賛の声が上がっている。「有村はこういうダサいのがいいんだよ」「弁当を持って公園デートしたい」という声に加えて、「ぜひ嫁にしたい」という意見も多い。
「すごい女優魂!」「これぞプロ根性」といった称賛の声が上がる一方、中には厳しい反応もあったようだ。「5キロぐらい努力しなくても増えると思うけど」「3日で5キロ増えたことがある私も女優魂あるってことか」「たったそれだけで自慢? 5キロじゃ見た目も変わらないんじゃ?」と、SNSなどにはシビアな見方をする女性からのコメントが上がっていた。

キャスティングでのヒロイン抜擢に驚きと不安

オーディションではない形でヒロインに抜擢されたことに対し、当初は不安を抱えていたそうです。

当初は「このような形でやらせていただくので、うれしさより驚きの方が大きくて。世間の方からも“なぜ有村架純なの?”って思われてしまうのではと…」と不安ばかりが募ったという。それでも「朝のヒロインは元気を与えられる存在」と、腹をくくった。

有村「いろんな気持ちになってもらえる作品」

最後に有村は「大きな出来事があってどんどん展開していくという物語ではありませんが、笑えるところもあったり、だけど胸にぐっとくるところもあり、見てくださるみなさんにいろんな気持ちになってもらえる作品と思います」とアピールした。

15日には「ひよっこ」第1週の試写会が行われ、日頃は辛口のイメージがある(?)「日刊ゲンダイ」の記事に、「面白い」「質の高いドラマを予感」「お薦めしたい」といったべた褒めの言葉が並び、「あちこちですすり泣く声が」あったということで、内容に期待がふくらみます。
主演の有村架純は「次のステップに進むためにも、ひよっこが終わった時に“ひよっこ”でいてはいけない」と決意を述べているだけに、「新しい有村架純」や「成長していく有村架純」にも期待できそうな半年となりそうです。