特集2017年1月19日更新

安らぎのひととき…カフェ・喫茶店特集

最近、ちょっとした喫茶店ブームが起きています。スタバやドトールなどの従来型はもとより、コメダ珈琲や上島珈琲といった純喫茶風のカフェ・チェーンが人気となり、さらには昔ながらの純喫茶もひそかな人気となっています。喫茶店業界の現状とその背景を特集します。

勢いを取り戻しつつある喫茶店業界

90~00年代にかけて減少傾向にあった喫茶店市場は、2010~12年を境に増加の傾向にあることがわかります。

ブルーボトルコーヒーの上陸に始まるシングルオリジンブームを経て、「コーヒービーン&ティーリーフ」の日本上陸、スターバックスの紅茶ブランド「STARBUCKS TEAVANA」のオープンなど、多様化が進むカフェチェーン。一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の統計・動向調査を見ても、喫茶店を含むコーヒーショップは、ここ数年で売り上げ・店舗数ともに微増のラインをたどっている。コンビニコーヒー、海外チェーン参入など話題も豊富で、全体として活況と言うことができるだろう。

最近のトレンドは「郊外型純喫茶風カフェ」

スターバックスを代表とする、いわゆる「シアトル系」に加えて、最近は落ち着いた雰囲気で気兼ねなく長居できる「純喫茶風」のコーヒーチェーン店が人気となっています。

コメダ珈琲店

回転率度外視で何時間でも過ごせる居心地の良さ

コメダはコーヒーでなくスペースを売っており、それが「コメダ中毒」「コメダ愛」を生み出す要因とみられる。
Wi-Fi があり、新聞雑誌があり、ゆったりとしたソファがあり、座席に高めのパーティションがある。地元に愛される親しみやすさ、ゆったりとくつろげるスペースが売りなのだ。コメダ珈琲店は回転率を度外視しているようで、何時間でも気持ちよく過ごさせてくれる。

無料サービスも嬉しい、充実のフードメニュー

珈琲店でありながら、フードメニューの人気も高い。
名古屋風のみそカツサンド、ハンバーガー、フィッシュフライバーガーはありえないぐらいデカい。小倉あんのトースト、シロノワールなどのスイーツ系メニューも充実している。
名古屋式ともいうのか、開店から11時までは全てのドリンクに「焼き立てのトースト」と「温かいゆで玉子」などが付く無料の「モーニングサービス」もうれしい。
こうした過ごしやすさ、フードメニューがファンの「コメダ愛」を育み、「コメダ中毒」者の心を奪う理由なのだろう。

看板メニュー「シロノワール」誕生秘話

シロノワールが生まれたのは1977(昭和52)年。もう40年になるロングセラーブランドです。その誕生には「危機感」がありました。
「1968年に名古屋市西区で開業したコメダ珈琲店の新店舗を、石川橋(同市瑞穂区。現在のコメダ珈琲店 本店)に出す時、周囲に相談したら『絶対に失敗するよ!』と猛反対されました。あまりにも反対されるから心配になって、『じゃあパンのメニューを増やそう』と決め、日清製粉の主催するパン教室に習いにも行きました。この時に、製パンメーカーのフランスパンにシロノワールのデニッシュパンを開発してもらったのです」

上島珈琲店

「古きよき喫茶店文化」継承する本格コーヒー

「上島珈琲店は、個人経営の喫茶店が衰退する中、"古きよき喫茶店文化を継承しつつ、新しい価値をつくる"というコンセプトのもと、2003年にスタートしました」(UCCフードサービスシステムズ上島珈琲店営業部の橋本吉紀次長)
同店の特徴は、ネルドリップによる抽出。特許取得した独自のネルドリップマシンは、街の喫茶店のマスターが1杯ずつ丁寧に入れるコーヒーの味わいを目指したものだ。

気合の入った季節限定商品も魅力

品ぞろえは他チェーンに比べれば少ないものの、季節限定のスイーツやドリンクなどにも力を入れている。そして、その注力度合いには並々ならぬものがある。筆頭が、数量限定の「日本蜜蜂のはちみつミルク珈琲」(Mサイズ700円)だ。定番商品のミルク珈琲は、ダブルネルドリップで淹れたクリアで濃厚な味のコーヒーに、ミルクを加えたもの。これに季節の素材を添えた商品が季節商品の柱となっている。

喫茶室ルノアール

長居するのに最適な「サラリーマンのオアシス」

『喫茶室ルノアール』といえば、サラリーマンのオアシス。せわしない雰囲気のコーヒーショップと違い、どんなに長居しても咎められることもありません。筆者も大好きで、都内各駅のどこにあるのか、ついついチェックしてしまいます。

しかし最近は高校・大学生にも人気。その秘密は…

 こうした状況を受けて、学生の間で注目度が上がっているのが、老舗の喫茶店チェーン『喫茶室ルノアール』だ。これまで、どちらかというと利用者はサラリーマン層が多いイメージだったが、学生たちの「穴場スポット」となっているのだという。卒業論文を執筆する際に、同店をよく利用していたという男子学生Aさん(22歳)は次のように話す。
「卒論を書くためにパソコンを使うのでコンセント完備のカフェを探していました。元々『スタバ』や『サンマルクカフェ』で作業していたんですが、どこも混み合っていて電源席の取り合いになっていた。そこで普段は利用しない『ルノアール』に出向いたのがきっかけ。

コーヒーもいいけど昆布茶もウマい

ルノアールでお茶といえば、サービスで提供されるものを思い浮かべる人も多いだろう。お口直し的な感じで、席に提供されるアノお茶と、昆布茶は全然違う! 次元が違う!!
金額もさることながら、おかきが3個もついてくるところが、ゴージャスじゃないか!
一口飲むと、豊かな昆布の香りが、口から鼻にかけてふわりと広がる。そして、昆布特有の旨味に思わず「お!」と声が出そうになる。これは昆布茶舐めてた。

星乃珈琲店

落ち着いた雰囲気と本格コーヒーが魅力

例えば「ドトールコーヒーショップ」や「洋麺屋五右衛門」を展開しているドトール・日レスホールディングス。同社が展開している「星乃珈琲店」が順調に拡大している。「ドトール」は持ち帰りや短時間喫茶が主な対象顧客だが、「星乃珈琲店」はゆったりしたスペースで落ち着いた空間に特色がある。一杯ずつ淹れるハンドドリップコーヒーはスペシャリストが選んだ豆を使用するなどしてこだわり、単価はドトールの約2倍の400円程度。

名物「窯焼きスフレパンケーキ」は行列もできる大人気

星乃珈琲店の名物スフレパンケーキは、ふわふわの分厚いパンケーキを提供することで、チェーン店でありながら大人気♪特に季節毎に発売する、季節のパンケーキは発売したら行列ができるほどです。この秋発売されたのは、栗のスフレパンケーキ!星乃珈琲店定番のスフレパンケーキに、マロンクリームと大きな栗がトッピングされたマロン尽くしのパンケーキです。
スフレパンケーキはシングルとダブルがあり、もちろん季節のパンケーキでも枚数を選ぶことができまよ♪季節のパンケーキを毎回食べている筆者ですが、今回もダブルを選択しました。1枚でもボリュームがあるパンケーキ生地を2枚重ねると、とても迫力がありますね!

やはり強い、コーヒーチェーン

上記の純喫茶風カフェが注目を集める一方で、従来のコーヒーチェーンも相変わらず人気です。『VenusTap』が一般男女500名に実施した「好きなカフェチェーン」のアンケート結果によると、
1位:『スターバックスコーヒー』(20.6%)
2位:『珈琲所 コメダ珈琲店』(14.4%)
3位:『ドトールコーヒーショップ』(13.6%)
という結果になりました。そこで、1位の「スターバックスコーヒー」と3位の「ドトールコーヒー」の話題について紹介します。

スターバックスコーヒー

スタバが「ちょい呑み」タイプの新業態を開始

 ひとつのヒントになりそうなのが、スターバックス・イブニングスだ。コーヒーチェーンであるスタバは、働く女性をターゲットとしてアルコールも提供している。すでに本国アメリカでこの業態の店舗は約250店舗展開されており、アジアでは初めて日本で3月末にオープンした。
 日本1号店の東京の丸の内新東京ビル店では、ワイン・フラッジーノというフローズンのドリンク(900円)や、赤ワインとスイーツのセット(1200円)をはじめとして、ビールやラタトュイユなども提供されている。

ドトールコーヒー

若い女性の人気も上昇中のドトール

 また、最近では若い女性でドトールに通う人も増えてきているという。1か月間ほぼ毎日ドトールに足を運ぶというヘビーユーザーの女子大生Bさん(21歳)は、こう語る。
「私がいつも行っているお店には、若いオシャレな女性のお客さんも多いですね。最近新発売された『ブラウニー』や『フォンダンショコラ』など女性向けメニューも増えていて、周囲でも注文している女子が多いです。

インスタ女子に人気!純喫茶

ここまで紹介したチェーン店に押されて減少中なのが昔ながらの純喫茶。ただ、最近になってSNS女子を中心に「プチブーム」と言ってもいいほどの人気を集めつつあります。

最近、“塩顔男子”で注目の坂口健太郎さんが雑誌で紹介したり、同じく『MEN’S NON-NO』モデルの原修三郎さんがブログで紹介していたりするお店が、じわじわ人気を集めてるんです。
(中略)
純喫茶の魅力は2つ! 一つは店内の装飾や食器、コースターなどのデザインが凝っていて雰囲気があり、写真映えすること。インスタグラムに純喫茶の写真を載せると、一気にタイムラインのお洒落感がアップするような気がします。
そしてもう一つの魅力は、何と言ってもスイーツや飲み物などのクオリティが高いこと!スタバの新作フラペチーノも美味しいけど、チェーン店とは違って、純喫茶はそのお店ならではのオリジナルが味わえることも魅力なんです。

古き良き香りの残る東京の純喫茶

純喫茶のリアルタイム世代ではない20~40代の人たちが興味を持ち始めているのは、SNSの普及により、あまり知られていなかった純喫茶の魅力が伝わりやすくなったこともきっかけのようだ。
「最近、若い女性のお客さまは確実に増加しています。マスコミで取り上げていただけた事も大きいですし、Facebookなどで写真を中心に料理や店内を発信していることも、みなさまの理解をいただけていると思います。そういう意味では、男女若い方へのハードルは下がってきているように感じています」
日々新しい情報やモノが生み出される東京。モダンなカフェもいいけれど、たまには昭和の香りを残す、時が止まったかのような純喫茶はいかがでしょうか? 今、昔ながらのレトロな喫茶店がまた注目されています。今回はどこか懐かしく、タイムスリップした気分になるような純喫茶をご紹介します。

極上タイムが過ごせる京都の純喫茶

高台寺や清水寺など、京都屈指の紅葉スポットの、行き帰りにアクセスしやすい河原町付近には、近代日本の歴史を物語る純喫茶が集中している。この秋、紅葉散策のお供に、京都の古き良き空間で、“ゆったり、まったり”な極上タイムが過ごせる店を、編集部が厳選して紹介。

現在は「第3次コーヒーブーム」

19世紀後半から1960~70年くらいまで続く、コーヒー豆の流通による「安くてうまいコーヒー」を求めるようになった時代が「第1次コーヒーブーム=ファーストウェーブ」。60~70年代ころからの、スターバックスコーヒーに代表される、深煎り豆を使った「シアトル系コーヒー」がブームとなった時代が「第2次コーヒーブーム」。そして今は、豆の生産地や焙煎方法などの「コーヒーの個性」こだわって一杯ごとに丁寧に作るコーヒーがブームとなっています。これが「第3次コーヒーブーム=サードウェーブ」です。

一杯にこだわる上質なコーヒーは日本人好み?

 APは、日本のブルーボトルで、4時間待ちの行列が出来ていると報じ、人気の理由は、日本文化にも繋がる、その細部へのこだわりだと分析する。また、スターバックスが作り出した紋切型のコーヒー文化から脱し、さらなる上質を求める人々が現れたことも、もう一つの理由だと述べる。

「日本では喫茶店が昔からやってきたこと」

「ただし、サードウエーブの流れはこのまま続くと思います。サードウエーブと聞くと、いかにも新しい動きのような気がしますし、実際、アメリカでは珍しいのですが、実は日本では多くの喫茶店がずっとやってきたことですから。
1杯500円前後と少し高価なブルーボトルコーヒーも確かにおいしいですが、正直に言えば行列に並んでまで飲むべきとは思いません。そのくらい日本には個人経営のおいしい喫茶店が多いのです」(前出・K氏)

純喫茶こそ本来の日本のサードウェーブ

「僕もBくんと一緒で、純喫茶に注目しています。浅煎りで酸味が効いたシングルオリジンのスペシャルティ・コーヒーもいいですが、こぞって『自称おしゃれ男子』が食いついている感じがダサい。新聞や週刊誌を読みながら、ジャズのかかった純喫茶で飲むコーヒーのほうが美味しく感じますし、ていねいに一杯を提供するという意味では『純喫茶こそ本来の日本のサードウェーブ』と言えるのではないでしょうか」

「ブルーボトル」の次に来るコーヒーは?

新たなアイスコーヒーの定番に?「コールドブリュー」

コールドブリューコーヒーとは、お湯ではなく水で12~16時間かけてゆっくり抽出する水出しコーヒーのこと。アメリカのスターバックスコーヒーでは20時間かけてゆっくり抽出しているそう。
発売以来大人気で売り切れるお店もあるほどで、アイスコーヒーの定番となりそうです。

人気急上昇中、カフェインレスコーヒー(デカフェ)

今、昼間は普通のコーヒー、そして夕方以降はカフェインレスコーヒーを選ぶといったイメージでコーヒーを選択する「飲み分け」の動きが出て、カフェインレスが第4次コーヒーブームを牽引している。スターバックスやタリーズコーヒーなどの大手チェーンでもカフェインレスコーヒーを提供するほか、おいしく飲む講座などもコーヒー愛好者の人気を集めている。
最近では夜の睡眠への影響もあり、覚醒作用のあるコーヒーのカフェインは少々遠ざけられているところもある。そこで注目されているのが、カフェインレスのコーヒー「デカフェ」である。
 デカフェとは、水に浸すなどしてコーヒー豆からカフェインを取り除いたもの。実はこのデカフェが「第4次コーヒーブーム」を巻き起こしているのだ。

サードウェーブコーヒーがブームになった時に、実は元々日本の純喫茶がもともとやっていたことで、結果的に昔ながらの純喫茶の再評価につながっている、という分析は面白いなと思いました。とあるコーヒーチェーン店が次々と店舗展開を拡大しだした当初、周辺の純喫茶が次々と潰れていって、「我々が1店舗出店するごとに、周辺の100店舗に影響すると豪語していたのですが、今になってそのチェーン店も純喫茶風の店舗展開をしている…という話を思い出しました。
とかくせわしない日本人、ゆっくりくつろげる喫茶店がもっと増えるといいですね。