特集2017年2月1日更新

なぜその味?変わった味のカップ麺

「明太子クリーム」「ショートケーキ」「抹茶」…と言われたら、何を想像しますか?なんと、カップラーメンやカップ焼きそばの種類なんです。最近、こういった今までのカップ麺の味からかけ離れた商品が増えてきています。ここ最近の「珍味」とともに、メーカー側の「思惑」もご紹介します。

明星 「一平ちゃん夜店の焼そば」シリーズ

バレンタインにもオススメ!?のチョコソース味

甘じょっぱさがくせになる?!

バレンタインに向けて、“チョコ”をキーワードにした特別版カップ焼そば。めん、ソースに甘さと香りを増強。ココアパウダーを練り込んだ専用めんは、クッキーやビスケットのような香ばしさで、カカオバターとバニラ風味のオイルを合わせた塩ソースを合わせると、チョコ感のある甘じょっぱい味覚がクセになるとか。

「謎チョコキューブ」がアクセントに

また、今年は新たにココアパウダーと糖類を主原料にした“あとのせ”かやく「謎チョコキューブ」も付属。チョコ味のスイーツ焼そばに、サクサクとした食感を添える。

チョコと焼きそば、意外と合う?

あとのせかやくの謎チョコを振りかけます。
では早速頂きましょう。
う・ま・い!!!
カップ焼きそばの独特の油っぽさとチョコレートのコラボが意外と合うのに衝撃を受けました。

ここでもっと美味しくなるためのちょい足しレシピ。
もっとチョコチョコさせて甘々にさせるために謎チョコを追加投入。
更にチョコビームも大量噴射!
チョコまみれの焼きそばを頂きます。
これはもうバレンタインに意中の彼に贈って告白してもいいレベルにまで達したのではないでしょうか。

一方で「もっと甘くても」の声も

「なんだろなー、パンチが弱い・・!!甘くするならもっとガツンと甘くした方がいい気が・・」 「ごく普通、もう少しチョコを前面に出してスイーツ的にしても良いのではなかろうか」 「もっと内角高めを攻めてきてるかと思いきや、全然。シナモンの香りが強かったけれど、これは普通に食べられる」 など、やはり今年も「完食できた」との声が散見される。「もっとキワモノにしてくれてよかったのに」という気持ちがにじみ出ているようにも感じられる。

前代未聞のバニラ味!ショートケーキ味

明星食品は2016年12月5日、カップ焼きそば「明星 一平ちゃん夜店の焼そば ショートケーキ味」(希望小売価格、税別180円)を発売した。
クリスマスなどのパーティーシーズンに向けた季節限定、スイーツ感覚の斬新な焼きそばで、ビーフエキスがベースにフルーツペースト、マンゴーチャツネを加えた塩だれのソースに、バニラの風味を付けてケーキの雰囲気を演出。特製のマヨネーズもバニラの風味でケーキらしさを押し出している。

本家超えの辛さ?カラムーチョホットチリ味&すっぱムーチョさっぱり梅味

「カラムーチョホットチリ味」は、濃口しょう油にビーフの旨みとガーリック、シナモンを効かせ、チリ、オニオン、ガーリックオイルを合わせたソースと、カラムーチョ風シーズニングパウダー、唐辛子、フライドガーリック、ローストオニオンパウダー、アオサを組み合わせたふりかけが特徴。

なぜこんな商品を?明星食品に聞いてみた!

実験的を通り越して挑戦的とも言える商品を出し続ける「一平ちゃん」。なぜこんな商品を?どうしても気になったので、メーカーである明星食品さんに聞いてみました。

━━「チョコソース」「ショートケーキ」だけでなく、それまでにも「瀬戸内レモン」や「カラムーチョホットチリ味」など、変わった味の商品をたくさん出されています。そもそもなぜ、このような商品を出そうと思ったのでしょうか?

「一平ちゃん夜店の焼そばは季節や催事と連動した新商品をほぼ毎月のように発売しています。 狙いは幹であるソースの鮮度感を保ち続けるためで、バリエーション品が露出することでソース味を思い出すきっかけにしていただきたいと思っています」

━━今回発売された「チョコソース味」は1年前にも発売されています。発売に至った経緯を教えてください。

「“甘じょっぱい”味わいは肉じゃがや煮物、みたらし団子など日本人が古来から好む味覚です。お菓子だと塩キャラメルやチョコポテトチップ、柿チョコ、キャラメルポップコーン。これらは甘じょっぱい味わいで人気がありますよね。
そこで、“甘じょっぱい焼そば”があってもいいのではないかと。焼そばにチョコソースなど甘い系のものをかけて食べ比べまして、「チョコソース味」が誕生したわけです」

━━発売時期も、バレンタインデーを意識したんでしょうか?

「はい!チョコといえばバレンタインですから。バレンタインと連動する形で発売に至りました」

━━2016年の12月には、「ショートケーキ味」も発売。こちらも、予想もつかなかった組み合わせで、話題を呼びました。

「2016年1月にバレンタインと連動したチョコソースを発売した結果、賛否含めて大きな反響があり、「次はどうするんだ」という期待の声が社内、社外から次々とあがりました。12月といえば…クリスマス…クリスマスといえば…ケーキ。というわけで、クリスマスに向けてショートケーキ味でいってみよう!という流れで発売に至りました」

━━今までにない組み合わせの商品を、発売に至るまでの「決め手」はなんだったのでしょうか。

「品質について想像したイメージと完成した味わいが一致したことは大前提として、イベントと連動することで商品のイメージが伝えやすいだろうということ、そして経験したことのない新しい味わいのおもしろさ、という点が決め手になりました。ユニークな商品にチャレンジする社風やファースト・エントリー(誰よりも先に革新的な商品を開発・発売し、新しい市場を創造すること)を目指せという考え方が基本にあることも追い風になったと思います」

━━消費者の方からはどういった反応が?

「チョコソースとショートケーキ味はおいしい、まずいといった賛否双方の意見をいただいております。弊社としては賛否どちらにしても関心を持っていただき、反応していただけることはうれしいです。 みんなでわいわいやっていただき楽しんでいただければと思っていますし、どんどんディスっていただいても結構です

━━ディスってもいい!SNSなどの反応もチェックされているんですね。

「ただ単にまずいというだけでなく、細かく描写されて味のイメージがわかるような表現は学びが多く、比喩の表現など楽しませていただいております。
SNSを通して、家族や友人や職場の仲間とわいわい楽しくシェアして食べる等(時には罰ゲーム(笑))、コミュニケーションツールとして利用されている方が多いようです」

━━今後はどのような商品を?

「一平ちゃんらしい独自性を追求し、1年に1~2回はおいしいやまずいの世界を超越した、ユニークでわくわくするような新奇性がある味わい(経験したことがないような味わい)に挑戦していきたいと考えています。
常にチャレンジャーとしての姿勢を忘れずに攻めの姿勢を貫きますので、一平ちゃんらしい独自の楽しい世界観を共感いただければ幸いです」

業界全体のムーブメント?次々と出る「珍味」たち

明星食品だけでなく、各メーカーから次々とこれまでのカップ麺の常識を覆す商品が出ています。

バレンタインにぴっったり!? 「甘ーいきつねうどん」

通常のきつねうどんは、おあげにほのかに甘みを感じますが、そんなレベルじゃなく出汁も甘くなってるようです。

東洋水産が1月10日、カップ入り即席麺「赤いきつねうどん」を甘めの味わいに仕上げた「マルちゃん 甘ーいきつねうどん」(税別180円)を1月23日より期間限定販売すると発表。同社によれば“話題化を狙ったもの”で、パッケージは「赤いきつねうどん」をベースに可愛らしいデザインに仕上げ、「バレンタインのプレゼントにもぴったりな一品」とアピールしている。

うどんと焼きそばの“フュージョン” 「ドラゴンボール超 赤いきつね 焼うどん」

人気アニメとのコラボというだけでなく、「赤いきつねうどん」と「昔ながらのソース焼そば」を組み合わせるなど、二重の意味で“フュージョン”しているようです。

東洋水産から、カップめんの新商品「マルちゃん ドラゴンボール超 赤いきつね 焼うどん」「同 麺づくり 黒い豚カレー味」が、5月16日に発売された。
これらの商品は、人気アニメ「ドラゴンボール超」とのコラボレーションキャンペーンで実施された、「君の食べたいフュージョン麺コンテスト」から誕生したもの。同作品に登場する奥義「フュージョン」にちなみ、『マルちゃん』の人気ブランドを“合体・融合”させた“フュージョン麺”として、期間限定で販売される。

日清も看板商品の「どん兵衛」「カップヌードル」で攻めてます。

“創作系”どん兵衛 「明太子クリームうどん」

うどんにクリームスープ?ちょっと想像のつかない組み合わせですが、明太子との相性バツグンのようです。

和風カップめん『日清のどん兵衛』シリーズの新商品「明太子クリームうどん」が9月5日、日清食品から発売される。想定価格は205円(税別)。
これは、“創作系うどんメニュー”をモチーフにした新シリーズの第1弾。パスタソースのような味わいのスープでうどんを食べる“明太子クリームうどん”をカップめんで再現してある。

創作系第2弾はカルボナーラ!どん兵衛 「カルボナーラうどん」

明太子クリームのつぎはカルボナーラ。パスタじゃだめなのか、という気もしないではなかったのですがこれが意外とうどんに合うんです。

日清食品は、和風カップ麺のトップブランド「日清のどん兵衛」から「カルボナーラうどん」を2017年1月16日に発売する。
16年9月発売の「明太子クリームうどん」に続く、創作系うどんシリーズ第2弾。主に若者に人気のメニューで、パスタソースのようなスープでうどんを楽しめる。どん兵衛らしいもっちり感とつるみのある麺がスープに良く絡み、絶妙な一体感を実現する。

カップヌードルも攻める! 「抹茶 抹茶仕立てのシーフード味」

カップヌードルからはなんと抹茶!業界初の緑色の麺はものすごいインパクト。

カップヌードル史上初となる“茶そば風”の、緑色の麺を採用。クリーミーで濃厚なシーフード味のスープに抹茶の風味を加えた、まろやかで味わい深いカップめん。具材はイカ、キャベツ、ねぎ、たまご、ニンジン。

渋い!日清焼そばU.F.O.「梅こぶ茶の旨み広がる塩焼そば」

抹茶に続いては梅こぶ茶!焼きそばに梅??梅の酸味がさっぱりしておいしい、かも…?

和の代表的な素材である「梅」と「昆布」を使ったカップ焼そば。“梅こぶ茶”のうまみと酸味をベースに、ごま油の香りを加えたソースが合わされている。具材は梅フレーク、キャベツ、きざみのり。

ペヤングよおまえもか 「チョコレートやきそば ギリ」

商品名の「ギリ」は「義理チョコ」とかけてるそうですが、どう考えても「焼きそばとしてギリギリ」の方だと思いますよね…

まるか食品から、バレンタインデーに向けた新商品「ペヤング チョコレートやきそば ギリ」が2017年1月16日に発売される。想定価格は185円(税別)。
これは、“本格的なチョコ”の味付けで仕上げられたカップ焼そば。

なぜこんな「冒険」を?メーカーの思惑は

発売してしばらく経つと飽きたり他の商品に目移りしたりしやすいのが消費者というもの。単に「美味しい」だけではそんな浮気性の消費者をつなぎとめておくのは難しい。だからこそ、味の予測のつかない商品を出すことで、消費者の「食欲を満たすこと」プラス「ワクワク感」を満たす必要があるのかもしれません。

そこでメーカーは、常に商品をリニューアルし、消費者に「あのブランドは面白い」と認識してもらう必要があるのです。これはコンビニ等の小売り業者にとっても有り難い話。いま、消費者はコンビニに「必要なモノを買いに行く」のでなく「エンターテインメント」も求めています。筆者の私も、正直、仕事の休憩時間などに「何か面白いモノないかな?」とコンビニに行きます。そんな思いに応えられる「え! 何これ!」という商品は、小売り業者も求めているのです。

定番商品といえ、話題にならなければ忘れられてしまうこのご時世、そうならないための各メーカーの涙ぐましい戦略…プラス、麺類の新たな「定番」を探すための壮大な実験なのでは、という気もします。カップヌードルの「チリトマト」とか、最初はびっくりしましたけど今では定番ですものね。ひょっとしたら、クリスマスにケーキ味の焼きそばを食べ、バレンタインにはチョコ味のラーメンをプレゼント…が、新たな風物詩になる時代が来るかもしれません。また、商品名だけ聞くとキワモノのように思えても、実はそこに一流メーカーの意地と技術と遊び心が詰め込まれていることが多いので、食わず嫌いせずに一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。