特集2018年2月10日更新

「エランドール賞」新人賞受賞者の活躍を振り返る

先週2月1日に、日本映画テレビプロデューサー協会が主催する「エランドール賞」の授賞式が開催されました。新人賞に選ばれた俳優陣をはじめ、活躍をしたプロデューサーとその作品を紹介します。

目次

エランドール賞とは

エンタメ業界最高峰の賞

1956年より開催されているエランドール賞は、顕著な活躍をしたプロデューサーや将来有望な新人俳優に贈られる賞です。日本映画テレビプロデューサー協会が主催しています。

映画やドラマで活躍した俳優に贈られる賞

エランドール賞とは、年間を通して映画・テレビで著しい実績を残した俳優・女優・プロデューサーなどに贈られる、エンタメ業界最高峰の賞である。

2018年「エランドール賞」新人賞

高橋一生

アラフォー俳優の新人賞

高橋は、『カルテット』と『直虎』で受賞できたことを喜び、「いままでの仕事でいろんな出会いがあったからこそ、この2作品がある。心から感謝しております。かすまないように研鑽を積んで、こういう役をやらせてみたいと皆さんの想像力を刺激できるような俳優でいたいと思っております」とスピーチした。

お祝いゲストは『直虎』主演の柴咲コウ

『おんな城主 直虎』で主演を務めた柴咲は、同作での高橋との共演を振り返って「理路整然と物事をきちっとはっきり捉えて表現される方だなと思っていたんですけど、それを上回る情熱、ほとばしる情熱が役に投影されていて本当に私も感化されました」と告白。

門脇麦

「いつか作品を支えられる人間に」

「去年度の活躍ということでこの賞をいただきましたが、仕事をして7年の出会った人たちとの全ての積み重ねがあってここに立てているんだなと、出会いに恵まれているなと改めて感じた」と感謝し、「いつか作品を支えられる人間になれたらなという目標もみえてきた。現場にいる人たちに支えられる人でいられるように精進してまいります」とさらなる飛躍を誓った。

2011年ドラマデビュー

2014年の映画「愛の渦」では体当たりの演技に挑戦し話題を呼んだ門脇。映画「彼らが本気で編むときは、」「こどもつかい」「世界は今日から君のもの」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「KOKORO」と幅広い作品での活躍が評価され、同賞を受賞した。

竹内涼真

『ひよっこ』『過保護のカホコ』『陸王』などの演技で評価

「たくさんの作品と作品に関わっている皆さんに恵まれてこうした賞を頂けた。今年も僕を見たいと思ってくれる視聴者の皆さまのために、新しい表現をしていきたい」と笑顔を見せた。
NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、『過保護のカホコ』(日本テレビ)、『陸王』(TBS)、映画『帝一の國』、『LAST COP THE MOVIE』など大活躍だった竹内。

杉咲花

「ひとつ恩返しできたなという思い」

「昨年は貴重で夢のような体験をたくさんさせていただいて、そのほとんどが初めての経験だったのであわあわ失敗してしまうこともありましたし、反省の多い時期だったんですが、周りの皆さんが色々な場面で助けてくださって、そのおかげで一つ一つ乗り越えていけたと思います。ひとつ恩返しできたなという思いで、嬉しいです」と感謝。

木村拓哉と共演した『無限の住人』が大きな話題に

杉咲さんは、主に映画で話題作に続々出演。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』での熱演で「日本アカデミー賞」最優秀助演女優賞をはじめ、数々の映画賞で受賞したほか、木村拓哉さんと共演した『無限の住人』も大きな話題となりました。

ムロツヨシ

実力派俳優 最年長の42歳で新人賞

最年長の42歳で新人賞に輝いたムロさんは「役者を目指して23年くらい経ちますが、トロフィーを持ったことのない人生だったので、初めての賞です」と喜びのあまりスピーチが長めに…。エランドール賞は将来性が大いに期待される俳優に贈られる賞ということから「5年後の大河ドラマの主演はムロツヨシです!」と自ら猛アピールし、集まったテレビ局関係者やゲストを沸かせた。
ムロは「役者を目指して23年、はじめてのいただいた賞。選考基準はどうなているのかと確かめたところ、将来性が大いに期待されるものというのがあって、42歳にもなって将来性を期待される日が来るなんて」と感激。

2017年は話題作に相次いで出演

ムロは、俳優養成所から舞台活動での下積みを経て、2005年の映画『サマータイムマシン・ブルース』への出演をきっかけに売れだし、『勇者ヨシヒコ』シリーズなどの福田雄一監督の作品で注目された。2017年は映画『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』、ドラマ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』『おんな城主 直虎』『愛を乞うひと』『スーパーサラリーマン左江内氏』ら話題作への出演が続いた今回、“新人賞”に選ばれた。

吉岡里帆

ブレイクを果たした2017年は「がむしゃらな1年」

1月期ドラマ「カルテット」(TBS系)で“魔性の女”と化した怪演で話題を呼び、7月期ドラマ「ごめん、愛してる」(TBS系)で献身的なヒロインを演じるなど、ブレイクを果たした2017年を「チャンスをいただいた年。役をくださる人達の期待に応えたいって、がむしゃらな1年でした」と感謝しつつ回顧した吉岡。

『カルテット』怪演ぶりでブレイク女優の仲間入り

同作では“魔性の女”来杉有朱役を演じ、その怪演ぶりでブレイク女優の仲間入りを果たした吉岡だが、「私が演じた役はとても危険な悪魔のような女の子で受け入れてもらえるか不安なままクランクインしました」と当時の思いを振り返り、「面白いものを自由に作って皆様に届けようという、みなさんの熱い信念のもと、作品の一員になれているという喜びを噛み締めていた」と溢れる思いを伝えた。

下積み時代を回顧

周りの人達への感謝を語り、「東京に通いながらお仕事をさせていただいたときは、共同シャワーの1泊2000、3000円ほどのホテルに(泊まっていた)。少し冷たいシャワーにあたっていると、『この世界で生きていけるんだろうか』と不安になり、その日々の連続の中で、与えてくれる役が背中を押してくれていたと思います」と下積み時代を回顧。

2018年「エランドール賞」プロデューサー賞

松崎薫(フジテレビ)

映画『三度目の殺人』

2017年9月9日全国公開された法廷心理ドラマ

『三度目の殺人』は、前科のある三隅(役所広司)が、殺人を自供。死刑確定が確実となっているなか、三隅の弁護を担当する弁護士重盛(福山雅治)は、無期懲役の減刑を勝ち取ろうとする。簡単に片付くはずだった案件だったが、三隅に接見した重盛は、三隅の証言の曖昧さに疑問を抱く。
果たして三隅は本当に殺人を犯したのだろうか。というのがストーリー。

出演していた斉藤由貴が「第60回ブルーリボン賞」の助演女優賞を受賞したこともあり、再び話題になりそうな作品です。

土井裕泰 佐野亜裕美(TBS)

テレビドラマ『カルテット』

謎めいたストーリー展開が視聴者を魅了

SNSや独自調査を集計してテレビの流行に迫る、ザテレビジョンの指標「視聴熱」では、2017年冬ドラマの平均視聴熱において圧倒的な数値で1位となりました。

「カルテット」は「東京ラブストーリー」「最高の離婚」(共にフジ系)などの名作を作り出した坂元裕二が脚本。作品では、ルームシェアする4人の会話劇が好評を博し、さらに4人それぞれに秘密があるなど、謎めいたストーリー展開も視聴者を魅了し、視聴熱の伸びにつながった。

2018年「エランドール賞」プロデューサー奨励賞

北島直明(日本テレビ) 小出真佐樹(ロボット)

映画『22年目の告白 -私が殺人犯です-』

韓国映画をリメイクしたサスペンスミステリー

2012年に韓国で制作されたクライムサスペンス映画「私が殺人犯です」を原作に、日本社会性や時代性に照らし合わせ、日本ならではの脚色を加えたサスペンスミステリー。

公開直後の映画興行成績

藤原竜也の“クズ役”がハマっていると話題の『22年目の告白 -私が殺人犯です-』。土日2日間で動員18万7,000人、興収2億6,200万円をあげ、2週連続での首位を獲得した。公開からの累計動員は69万人、興収は9億2,000万円超えを果たし、最終興収20億円も狙えそうな勢い。

菓子浩(NHK)

テレビドラマ『ひよっこ』

「連続テレビ小説」96作目となる本作は、岡田のオリジナル作品。'60年代の高度経済成長期の日本を舞台に、茨城の北西部で生まれたヒロイン・みね子が、帰ってこない父親を探して集団就職で東京に上京し、父を探す中でさまざまな試練を乗り越えていく物語だ。
菓子氏は、この受賞について「私の中では、この賞は『ひよっこ』というドラマを評価していた作品賞だと思っています」と語り、作品に関わった全員のおかげだと発言。「『ひよっこを一緒に作り上げていただいたすべてのスタッフ、すべてのキャストのみなさんい感謝します。ありがとうございました」と感謝した。

枝見洋子(日本テレビ)

テレビドラマ『奥様は、取り扱い注意』

水曜ドラマ『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)は、ワケありの過去を持つ主人公・菜美(綾瀬はるか)がひょんなことから主婦となり、街で起こるトラブルを解決していくストーリーです。
お祝いに駆けつけた綾瀬は「この作品はアクションもあり、普通のドラマより3ヶ月早くアクションの稽古を積んだりして、(枝見氏と)一緒にいる時間が長かったんですが、元気に明るく現場を盛り上げてくださって。同世代のプロデューサーとして一緒に頑張っていきたいと思います」と意気込み。

2018年「エランドール賞」特別賞

『精霊の守り人』制作チーム(NHK)

綾瀬はるか主演のNHK大河ファンタジー

2016年3月から放送された「精霊の守り人」シリーズは、橋菜穂子氏原作の「闇の守り人」「天と地の守り人~第二部・カンバル王国編~」「天と地の守り人~第三部・新ヨゴ皇国編~」を元に、国境を越えた壮大なドラマを展開。
「綾瀬演じるバルサは短槍の名人でもある女用心棒だけに、撮影半年前から筋トレに取り組み、3カ月くらい前からは短槍の素振りはもちろん、ボクシングのパンチやキック、受け身などのレッスンを受けたといいます」(テレビ誌記者)

『やすらぎの郷』制作チーム(テレビ朝日)

倉本聰がシニア世代に贈る大人のための帯ドラマ

舞台は“テレビ界に貢献した人間だけ”が入居できる高齢者ホーム「やすらぎの郷」。昭和のテレビ黄金期に一時代を築いた脚本家の菊村栄(石坂浩二)を取り巻き、往年のスターたちがあれこれ騒動を巻き起こす。
石阪浩二(75)、浅丘ルリ子(76)、加賀まりこ(73)など豪華出演者の共演が話題となっているが、いちばんの見どころは脚本家の倉本聰さん(82)が編んだストーリー。過去の蒸し返しや芸能界とテレビ業界のタブーや風刺など、数々の爆弾がぶち込まれている。

続編が2019年に放送決定

テレビ朝日系の昼の帯ドラマ枠「帯ドラマ劇場(シアター)」にて、2019年度に脚本家・倉本聰氏のオリジナル作品「やすらぎの刻(とき)~道」の放送が決定。テレビ朝日開局60周年記念番組として、1年間放送することが分かった。