特集2018年1月11日更新

成人式当日にトラブル 「はれのひ」閉鎖騒動

新成人を祝う成人式が各地で行われた1月8日。振り袖の販売などを手がける「はれのひ」と「連絡がとれない」といった苦情が相次ぎ、横浜市や東京・八王子市などで騒ぎとなりました。警察などへの相談件数は述べ1000件超、被害総額数千万円とされる今回の騒動。現時点での状況をまとめました。

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晴れ着レンタル・販売会社「はれのひ」の社長だった篠崎洋一郎容疑者=2018年6月23日、和田大典撮影

融資金詐欺:はれのひ元社長起訴 別に数千万詐取疑いも

毎日新聞 / 2018年7月14日 5時0分

 成人式で新成人が振り袖を着られないトラブルを起こした晴れ着レンタル・販売会社「はれのひ」(横浜市、破産)が虚偽の決算内容を示して金融機関から融資金を詐取したとして、横浜地検は13日、社長だった篠崎洋一郎容疑者(55)を詐欺罪で起訴した。 同様の方法で別の金融機関から数千万円の融資をだまし取った疑いもあり、神奈川県警は近く、篠崎被告を再逮捕するとみられる。 [全文を読む]

目次

成人式当日に連絡取れず「着物難民」が続出

2008年に創業した「はれのひ(harenohi)」。女性スタッフによる提案や女性カメラマンによる撮影を売りに、横浜から福岡まで全国に店舗を展開していました。ところが1月8日の成人の日当日になり、横浜や八王子の複数の新成人から「『はれのひ』と連絡が取れない」「スタッフが1人も来ていない」との報告が続々と上がりはじめ、中には「はれのひ」に着物を預けていた人や数十万円近い着付け代、着物代を支払った人もいるとのこと。

騒動が知られるようになったのは成人の日の前日(7日)。この日に「はれのひ」を利用した客が、成人式に着付けが間に合わないなど納得がいかない対応をされたとして怒りのツイートをし、ネットで注目を集めたことが騒動の発端とされています。

ツイートによると、店側からは「7時半厳守」と言われていたが、着付けが終わったのは式開始時刻を1時間過ぎた12時過ぎ。店側に理由を問いただしても「すみません」の一点張りだったという。

また同日、着付け会場だった横浜のホテルから老舗着物屋に「はれのひ」の“異変”を伝える連絡があった模様です。

IWAKIYA:昨日(1月7日)の21時ごろに、新横浜国際ホテルさんから連絡があり、「はれのひ(harenohi)さんが準備にいらっしゃっていない」と聞きました。通常、着物業者は前日に会場で支度をするのですが、それにお越しにならなかったとのことで、もし何かあった場合に応援に来ることはできるかというお願いのご連絡でした。

――お話を聞いたときどう思われましたか。

IWAKIYA:ちょうど別のホテルさんで準備をしていたときでしたので最初は「まさか」と思いました。しかし、その時間を前後してTwitterでお嬢さん方から心配の声が上がっているのを確認し、「ひょっとしたら本当に……」と思いました。

成人式当日 「はれのひ」各店舗の対応

4店舗中、福岡店とつくば店は営業したが、福岡店のスタッフによると、篠崎社長とは今年に入って連絡が取れていないという。
式の当日、着付け場所にスタッフがひとりも現れず、本社と八王子店、横浜店はもぬけの殻だった。横浜のホテルでは約200人に着付けをする予定だったが、代替業者の手配が間に合わず、100人程度は晴れ着を断念。八王子の交番には約100人もが相談に駆け付けた。

横浜みなとみらい店

横浜市中区の店舗の入り口には8日、「『はれのひ』は店舗事情により本日の営業を休業させていただいております」との紙が掲示されていた。
店を訪れたものの、晴れ着が着られないことが分かり、ぼうぜんとした様子で立ち去る女性客の姿もあった。

福岡天神店

福岡市の店舗では従業員らが客の応対に当たった。40代の店の女性責任者によると、今年に入ってから社長と連絡が取れなくなったという。女性はこの日対応した理由について、「(成人式を迎える)女の子たちを泣かせるわけにはいかないと思った」と語った。

しかし、翌日(9日)には「営業困難」の張り紙が出され、店は閉じられていました。

来年以降の成人式などのために予約していた客も多いとみられ、「払ったお金は返ってくるのか」といった相談が9日夕方までに市消費生活センターに30件、福岡県警に11件寄せられた。

神奈川県だけでも被害総額が数千万円

神奈川県警に寄せられた被害相談が100件を超え、被害総額が数千万円に上るとみられることが捜査関係者への取材で分かった。
県警によると、これまでに「約40万円で購入した着物が届かない」「来年の成人式のために既に予約していたのに、どうすればいいのか」などの相談があった。金額は1人当たり30万~40万円のケースが多いという。2年先の成人式に向けて代金を払った人もおり、相談件数は今後も増えるとみられる。

1月9日、「はれのひ」事業を事実上停止

民間信用調査会社の東京商工リサーチは9日、「はれのひ」が同日までに事業を事実上停止したと発表した。

「はれのひ」の経営実態

売上急成長も内情は…

はれのひは2008年に創業し、11年に法人を設立した。12年9月期の売り上げ4000万円が、16年には4億8000万円に。急成長しているように見えるが、内情は火の車だったようだ。

表向きにはイケイケの成長企業

直近では横浜、八王子、つくば、福岡の4店舗で展開していたが、同社のサイト(現在は閉鎖)では、《2020年までに100店舗を出店させていく目標》と大言壮語し、《数年後の株式上場も視野》としていた。転職サイトでは財務・経理経験者の募集も行っていた。今年3月の卒業生を対象に新卒採用も募集するなど表向きにはイケイケの成長企業という雰囲気だった。

15年9月期以降は赤字 資金繰りも厳しく

「新規出店に顧客獲得が追いつかず、採算を確保できない」(関係者)として、15年9月期以降は赤字だった。レンタル衣装の在庫負担など運転資金の不足分を金融機関からの借り入れで補っており、資金繰りも厳しかったとみられる。

さらには、1年以上前から着物の卸会社やコピー機などのリース会社への支払いや従業員の給与の支払いも滞っていたようです。

晴れ着などを販売していた着物卸会社への同社の支払いが1年以上前から滞り、未回収額が3社で約5000万円に上ることが分かった。従業員への給与支払いが同じころから遅れ始めたとの証言もあり、同社の資金繰りが悪化していた可能性が浮上した。
同社と取引があったリース会社は「資金繰りが厳しいと話していた」と証言。昨春ごろから支払いが遅れ始め、昨年11、12月分のコピー機などのリース代金は未納という。

転職サイトの口コミ欄には元社員からの不評コメントも。

元社員から《給与の遅配や取引先からの支払いの催促があった》《離職率が高い》との声が寄せられていた。経営者について《遠く先のことしか見ておらず、目の前の社員をないがしろにしてはいませんか》という指摘もあった。

約3億2000万円の債務超過

信用調査会社の東京商工リサーチは「はれのひ」が2016年9月期末時点で約3億2000万円の債務超過に陥っていたと発表した。同期の売上高を4億8000万円と公表していたが実際には3億8000万円で、負債総額は約6億1000万円だったという。また、一部求人サイトなどに資本金を1000万円と公表していたが、9日時点で登記簿に記載されていた額は150万円だった。

被害者への支援の輪広がる

横浜 創業約120年の老舗着物屋もSNSで“着付け”呼びかけ

――結局当日の朝どうなったのでしょうか。

IWAKIYA:(新横浜国際ホテルにはれのひは現れず)何も準備ができていないとのことでした。弊社としても何かできることはないかということで、SNSで「数名さまに限り、ヘアメーク着付けを実費にて承れます」と呼び掛けました。

――問い合わせはありましたか。

IWAKIYA:相当数ありました。中にはパニックになっていらっしゃる娘さんもおられて本当にお気の毒でした。ただ弊社の方でも着物の準備は厳しかったことから、「草履だけ」などの部分的なレンタルや着物を持参していただける方のみの対応となり、実際に着付けやヘアメークをしたのは10人程度でした。

東京・八王子 松任谷由実の実家「荒井呉服店」などが急きょ着付け対応

同店によると、この日は100人以上の着付けの予約が入っており、準備のために午前5時過ぎに店を開けたところ、「振り袖を貸してもらえないか」との飛び込みの来店があったという。「事情を聞いていると『他にも同じ状況の人がいる』と知って『これは大変だ』と思いました」。店のインスタグラムで急きょ着付けの受け付けを呼び掛け、レンタルの振り袖も用意。
「はれのひ」に対しては「お付き合いがない店で、私どもが何か言う立場ではございません。とにかく困っている新成人の方を助けたいと思っただけなので」と話していた。

同じ八王子市の美容室でも、今回の騒動を受けて着付けなどの対応を行っていました。

「式の始まりには間に合わないけど、みんなと写真を撮りたい」。目を腫らして涙を流す新成人の女性に「急いでやるから大丈夫だよ」と加藤順子店長(52)は声をかけながら着付けとヘアメイクを行った。
「昨日の夜には電話が通じたらしい。計画倒産なのだろうか。どのような事情があったのか知らないが、あと一日だけでもやれなかったのだろうか。同業者として信じられない」と驚いていた。

そのほか多くの同業者が支援の手を差し伸べる

成人式当日の手助けや後日のフォローも含め、多くの同業者が被害者に対してSNSで支援を表明しています。

着物業界誌が「被害者の会」を立ち上げる

着物の業界誌を発行する「きものと宝飾社」(京都市)は「はれのひ株式会社被害者の会」を発足。9日夕までに26人から問い合わせがあり、京都の着物卸会社など全国十数社が協力を申し出ているという。松尾俊亮編集長は「風評被害になりかねない。業界全体で被害に遭った方々を支援できれば」と話した。

関係自治体が相談窓口などを設置

横浜市

市は9日、消費生活総合センター(港南区)に特別相談窓口を設け、電話と予約なしでの来訪による相談を開始した。
林文子市長は9日の定例記者会見で「一生に一度の日にあり得ないことが起き、激しい怒りを感じている」とし、「被害者のケアに全力で取り組みたい」と述べた。特別相談窓口は同センター((電)045・845・6666)。

八王子市

神奈川県

東京都

横浜市が成人式のやり直しを検討

横浜市が、被害を受けた新成人を対象にした式典の開催を検討していることがわかった。
すぐに振り袖を用意できない新成人もいることから、市は今後、被害者の意向を確認した上で、開催時期や会場について検討する方針。

このニュースに対して、「素敵なこと」「ありがたいこと」と前置きしながら、さまざまな声があがっているようです。

ネット上で話題を集めた転売疑惑や風評被害

メルカリに振り袖など大量出品で騒ぎに

とあるユーザーが振り袖を大量に出品し、格安で販売しております。この時期に振り袖を販売するというのは確かに何となく勘ぐってしまいそうではありますが、明確な根拠もなく出品者と今回の騒動を結びつけるにはまだ証拠が乏しい状況です。

行方不明になった振り袖をネットで探す人も

ネットでは未だに振り袖の帰りを待つお客さんもいるようで「はれのひで購入した振袖、帯、長襦袢を探しています。もし売られていたり、情報ご存知の方は、ご連絡よろしくお願いします。」と、振り袖を何処かで見たら呼びかけるツイートもあるようです。

1月10日、メルカリ「そのような事実は確認されていない」とコメント

メルカリは1月10日、「出品アカウントがはれのひの関係者ではないかという憶測がされているが、現時点でそのような事実は確認されていない」とコメントした。
メルカリは、指摘されているアカウントが出品している商品を一時的に非公開にした。「法人利用の禁止という利用規約違反の疑いがある。商品の入手先や本人確認を行っている」としている。

同名の企業「ハレノヒ」が風評被害を告白ツイート

コメントを出したのは、佐賀市の古民家をリノベーションして写真館をオープンさせた株式会社ハレノヒ。ひらがなとカタカナの違いはあるが、騒動になっている「はれのひ」(横浜市)と音が同じで、成人式の撮影も行っている。写真館によると、「まったく違う会社なので、特に(「はれのひ」の関連の)問い合わせはない」という。
現在のところ嫌がらせのような被害はないようですが、事前に早急な対策をすることで拡散防止につながり、風評被害を最小限に食い止める効果に繋がります。
結果、コメント欄にも「心中お察し致します」「お気の毒です」などハレノヒを気遣うコメントが殺到しており、2万以上のリツイートとなっております。

「晴レの日」にも問い合わせやいたずら電話が300件

神社仏閣での和装挙式の専門会社「晴レの日」(東京都港区)は10日、問題となっている「はれのひ」と社名が似ていることから、成人の日(8日)以降に約300件の問い合わせやいたずら電話があり、対応に追われていると発表した。

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