特集2018年1月28日更新

それ、間違っていません!? 敬語の正しい使い方

「日本語は難しい」と思わせる要素のひとつとも言える敬語。特にビジネスシーンで戸惑いやすい「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の使い分けを中心に、具体例を交えて敬語の正しい使い方を紹介していきます。

目次

敬語の基本

敬語は使い分けが必要

敬語には「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」「美化語」がありますが、むやみやたらに使えば良いものではありません。場合によっては相手を不快にしたり、誤解を招く可能性もあります。

「尊敬語」は相手または第三者に対して、これを高めて表現する言葉で「します⇒なさいます」等です。
「丁寧語」はデス、マス、ゴザイマスに代表される言葉で単独では意味を成しませんが、丁寧に言うことで相手に敬意を表します。
「謙譲語」は自分を低く表現する事により、相手を高める言葉で「します⇒いたします」等です。
「美化語」は自分の言葉を品良くするために使用します。

敬語は、相手に敬意を示す手段であることはもちろん、自分の品位を保つためにもなります。それではさっそく、よく耳にする間違った敬語の使い方や、実は正しくなかった使い方などを見ていきましょう。

相手に対応する際に使う敬語

「了解しました」

正解は「承知しました」のほか「かしこまりました」「承りました」など

近年、目上の人の依頼、希望、命令などを承諾する意に使う向きもあるが、慣用になじまない。(ぶっきらぼうで敬意が不足)『分かりました』『承知しました』のほか『かしこまりました』『承りました』などを使いたい

「参考になりました」

正解は「勉強になりました」

「大変参考になりました」という言い回しも良く使いますが、これも目上の人に対して失礼です。「参考」という言葉は、「相手のいうことや考えを自分の足しにする」という意味があり、自分のために利用するというニュアンスが強くなります。「おかげで学ぶことができた」という感謝の意を込めて、「勉強になりました」という言い回しを使うようにしましょう。

「すみません」

正解は「申し訳ございません」「申し訳ありません」

「すみません」は、前述したとおり丁寧語ではありますが、ビジネス上で謝罪したりお詫びの気持ちを伝えたいのなら、もっと丁寧な言葉を使うのが好ましいです。
その場合に使うのが、
・「申し訳ございません」
・「申し訳ありません」
です。「申し訳ない」は敬語ではないので、注意しましょう。

「とんでもございません」

正解は「とんでもないことでございます」

「とんでもない」という言葉は、「もったいない」と同じように、それ自体で一つの言葉。
なので「ない」の部分を丁寧にして「とんでもございません」というのは、実は日本語として間違っているのです。
正しく敬語にすると「とんでもないことでございます」ですが、ビジネスシーンでは少し使いづらいかもしれません。
そういう場合は「とんでもないことです」または「恐れ入ります」と答えましょう。

「お休みをいただいております」

正解は「お休みをとっております」

つい使ってしまいがちな、「お休みを頂いております」と言う表現はNG! 社員が休んでいる場合は、「お休みをとっております」と、自社をへりくだるの形をとるのが、正しい敬語の使い方なんだそう。

「参られますか?」

正解は「いらっしゃいますか?」「行かれますか?」

「参る」は、自分がへりくだるときに使う表現です。敬意を表すべき相手の行動に対しては、使いません。「参られますか」ではなく、「いらっしゃいますか?」「行かれますか?」が正解です。

相手に依頼する際に使う敬語

「申し出てください」

正解は「お申しつけください」

「何かあれば申し出てくださいね」と言うのは、「申す」という謙譲語を相手に使った変な敬語。お客様に不愉快な思いをさせないためにも、正しい言葉遣い「お申しつけください」を覚えておいてくださいね。

「そちらでうかがってください」

正解は「そちらでお聞きください」「そちらでお尋ねください」

自分がへりくだる言葉を相手に使うなど、尊敬語と謙譲語を混同しているケースもよく見受けられます。たとえば「そちらでうかがってください」はNGで、「そちらでお聞きください」「そちらでお尋ねください」が正しい表現になります。

「花瓶に水を入れてあげてください」

正解は「花瓶に水を入れてください」

「花瓶に水を入れてあげてください」
「制服には黒のパンプスを合わせてあげましょう」
「美容液を肌によくなじませてあげていますか」
のように、人ではなく物に丁寧語の「~あげる」が使われているケースを耳にします。これらも敬語の使い方としてNG。下記のように、言い替えて差し支えありません。
「花瓶に水を入れてください」
「制服には黒のパンプスを合わせましょう」
「美容液を肌によくなじませていますか」
敬語は敬意を表す“人”に使うものであり、物には使わないことを覚えておきましょう。

「教えてください」

「教える」には、教える内容のレベルや期間によって3つの段階があります。

段階1 「教えてくださいませんか」

→ 相手の知らない情報を提供する

これは、道を教える、スケジュールの空いている日を教えるなどの「教える」の場合です。この場合の敬語表現は「教えてください」です。
「お教えください」が基本形ですが、今度は固すぎる印象があります。そこで、敬語の常套手段「疑問形」で解決。
お教えくださいませんか。
お教えいただけませんか。
お教え願えませんか。
また「お教え」を「教えて」に直すのもOK

段階2 「ご教示ください」

→ 相手の知らない知識、技術を分かりやすく説明し、それが身につくようにしてやる

実は、ビジネスの世界では、このレベルの話が一番多いと思います。後輩の面倒をみる、新しい機器の使い方を教える、それこそ「敬語の使い方を指導する」なんていうのもこのレベルです。
このレベルの場合、「教えてください」の敬語は「ご教示下さい」です。

段階3 「ご教授ください」

→ 相手が十分に認識していない事について、本当はこう考えるべきものだ、こういうことを言ったものだ、こういう事情などだと説明し、知覚・認識を高めてやる

これは、もう少し深いことがらについて指導をあおぐ、という場合に使うと良いでしょう。講演や講話を聞いて、非常に感銘を受けた、そんな方と知り合い、これからもお付き合いをお願いする、そういう場合にも使います。

「目を通していただけますか」

正解は「ご覧いただけないでしょうか」

「目を通す」とは「ざっと見ておく」「一通り見ておく」という軽い意味の言葉です。内容から言っても「敬語にはなりにくい」言葉なのです。
「見る」の敬語は何でしょう?そう、小学生でも知っています。「ご覧になる」です。
つまり「見てください」は「ご覧ください」でいいのです。

上の記事では「ご覧ください」のほかにも、「ちょっと見ておいてほしい」という気持ちを伝える際には、「ご一読ください」「ご確認ください」というシンプルな敬語も使えるとしています。

「お試ししませんか」

正解は「お試しになりませんか」

「試す」のは相手なので、相手を主語とする尊敬語「お~になる」を用い「お試しになる」とし、その問いかけの形として「お試しになりませんか」とするのが適切です。
「お試しになりませんか?」のほかに「お試しになってください」「お試しください」としてもよいでしょう。

バイト敬語

「1万円からお預かりします」「メニューのほう、お下げします」など、コンビニやファミレスなどでよく耳にするアルバイト店員による独特の言葉遣いは、俗に「バイト敬語」と呼ばれています。

普段、敬語に接していない若い従業員たちが、より“敬語っぽい”言葉を使おうという意識から、不必要に「から」や「ほう」を付け加えてしまうという説もある。一方で、これらバイト敬語は文法としては間違っていないとする説もあるが、バイト敬語を不快と感じる人は少なくないようだ。

この「バイト敬語」は接客のみならず、ビジネスシーンや生活の中でも聞かれるフレーズです。これらについても見ていきましょう。

「よろしかったですか」

正解は「よろしいですか」

今、まさに対応している電話のやり取りに過去形の言い回しで確認するのはNG。「よろしかったですか」ではなく「よろしいですか」を使うのが適切です。
この方向でまとめて、よろしいでしょうか。
私どもの方でご用意する形でよろしいでしょうか。
ご注文は、〇〇でよろしいでしょうか。
ね。ちっとも、違和感がありませんよね。むしろ、聞いている方の不安感が綺麗に消えます。
つまり、「よろしかった」という過去形の言い方を「よろしい」に直せば良いのです。

「~になります」

「~にございます」とするのが適切

バイト敬語にはほかにも「~になります」というのもあります。「添付の資料が見本になります」とか「当社は、東郵便局の左隣になります」のように使われています。
「~になる」は、「信号が青になります」「深夜は通行止めになります」のように、ものや状態が変化することを表す言葉です。上記の文例では添付の資料が見本に変わるわけではないので「添付の資料が見本です」。
場所の説明の際も、建物の場所が変化するわけではないので「当社の場所は、東郵便局の左隣です(にございます)」とするのが適切です。

「~させていただく」

相手の承認・了承が必要なければシンプルな言い回しに

この「させていただく」について、文化庁の見解があります。

相手側、または第三者の許可を受けて行う場合
そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合

この2つの条件がある場合だけ「させていただく」が適切だとしています。
「○○プロジェクトのリーダーをさせていただいております、佐藤です」
名乗る本人は、相手に自分の立場を丁寧かつへりくだって伝えようという気持ちで「~させていただく」を使っているのでしょうが、この言い回しでは相手の承認・了承を得てプロジェクトのリーダーにならせてもらっている、ということになります。
したがって、上記の一文は
「○○プロジェクトのリーダーの佐藤です(と申します)」
と名乗るのが適切です。

二重敬語

「ご覧になられたい方」

正解は「ご覧になりたい方」

「パンフレットを見る」の「見る」の尊敬語は「ご覧になる」。「見たい人」を尊敬語に変換する場合「ご覧になりたい方」とするのが適切です。しかし、上記の文例は「ご覧になられたい方」と、尊敬語の「ご覧になる」にさらに尊敬の「~られる」が付け加えられています。このように尊敬語に尊敬語を余計にくっつけたうっかりミスをよく見かけます。

「お見えになられる」

正解は「お見えになる」

ビジネスシーンで「お見えになられる」という表現を耳にすることがありますが、これは「お見え(尊敬語)になる」「られる(尊敬語)」が重なった二重敬語なので、正しくは「お見えになる」です。

「~を拝見させていただき」

正解は「~を拝見し」

1行目の「拝見させていただき」で伝えたいのはあなたの会社のホームページを見ましたということ。「見る」の謙譲語は「拝見する」なので、1行目は「ホームページを拝見し」とすればよいのですが、「拝見する」に、謙譲語「~させていただく」が付け加えられています。

「お聞き逃された方」

正解は「お聞き逃しになった方」もしくは「聞き逃された方」

例えば相手を高める言い方で、直接的に敬意を表す場合の「尊敬語」は、
お・ご~になる お・ご~ください
れる・られる
特別な形(いらっしゃる、召し上がるなど)
の3つのパターンです。
今回の「お聞き逃された方」というのは、ルールでいえば「お・ご~になる」で通すのなら
お聞き逃しになった方
でいいですし、「れる・られる」なら
聞き逃された方
です。

「おっしゃられました」

正解は「おっしゃいました」

>「おっしゃる」=尊敬語
>「れる」=尊敬の助動詞
つまり、この敬語は二重敬語になっており、敬語の過剰表現なので日本語として美しくありません。ビジネスなどで使用するのは避けましょう。

敬語やマナーを学べるアプリ

最後に、敬語やビジネスマナーをゲーム感覚で気軽にチェックできるアプリを紹介しておきます。

知らないと恥ずかしいビジネスマナー

○×で楽しく診断

本当に必要な厳選されたマナーや敬語が、ゲーム感覚で気軽にチェックできますので、マナー本をじっくり読むのが面倒な人や忙しい人にぴったりです。

社会人常識マナー ビジネス 一般常識 アラサー常識100

幅広いジャンルを網羅

ビジネスマナーや敬語などは言うに及ばず、冠婚葬祭、県庁所在地や首都・国旗など、社会人として身に付けておきたい雑学知識までもを網羅してクイズ形式で確認させてくれます。「えっ、今さら?」と思っていたようなジャンルでも、改めてチャレンジしてみると意外と知らなかったようなこともたくさんあるはず。

敬語力検定

アプリで勉強をしたら、次は在宅で受験可能な敬語力検定はいかがでしょうか。

正しい敬語が使えないと、「この人大丈夫かな?」と不安に思われてしまうかも。正しい言葉遣いは最低限のマナーなので、改めて覚えておきたいところ。インターネット受験なので、あなたのライフスタイルに合わせて検定取得ができちゃうのも嬉しいですね。

さらに手軽な「検定」アプリも

自分で手軽に敬語力の検定をしたい方には、そういったアプリもいくつかあるようです。