特集2018年2月6日更新

芸能界にも余波…過去最高レベルのインフル大流行

1月22~28日に報告されたインフルエンザの患者数が過去最多を更新し、今期の累計患者数が1000万人を突破するなど、インフルエンザが大流行しています。これまでのインフルエンザの感染状況と、今からでもできる予防法をまとめました。

目次

インフルエンザが大流行 過去最多の患者数に

2018年第4週の1医療機関当たりの患者数52.35人

全国約5千カ所の医療機関から1月22〜28日に報告されたインフルエンザの患者数が、1医療機関当たり52.35人となり、過去最多だった前週(51.93人)よりさらに増加したと発表した。この1週間に全国の医療機関を受診した患者は約274万人(前週比9万人減)と推計され、今期の推計患者数の累計は1111万人と1千万人を突破。

都道府県別の患者数トップは77.35人の福岡県

都道府県別の定点報告数は福岡(77.35人)、大分(74.76人)、埼玉(65.41人)、神奈川(63.36人)、千葉(63.24人)の順に多い。前の週と比べると、東日本で感染が拡大しているが、主に西日本の25府県は減少に転じた。

年齢別では5~9歳の約61万人が最多

0~4歳が約28万人、5~9歳が約61万人、10~14歳が約42万人、15~19歳が約18万人など。
第4週にインフルエンザ様疾患により休校した保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校は全国で141施設。学年閉鎖は2,253施設、学級閉鎖は7,745施設。いずれも前週より増えている。

島根や岐阜の病院では死亡者も

大流行の原因は「A型」「B型」の同時流行

直近5週間の検査では、B型の患者がもっとも多く、次いで21年に新型として流行したA型。B型の流行が早く始まった結果、A型と同時に流行している。

例年より早く流行しているB型ウイルス

例年はA型が12月から2月にかけてB型に先駆けて流行するが、国立感染症研究所の調査では今年はすでにB型の流行が拡大している。感染研の砂川富正室長は「B型がこれだけ早く出るのはあまりないことだ」と驚く。

早い時期にB型ウイルスが流行したことによって、A型とB型両方のウイルスに感染してしまうケースも。

砂川富正・第二室長は「A型にかかった後にB型に感染するなど複数の型にかかる人もいる。一人一人が周りに感染を広げないよう、手洗いなどの対策に取り組むことが大切です」としている。

国立感染症研究所のサイトでは、最新のインフルエンザ患者数やインフルエンザウイルス検出状況などが確認できます。

また、「MLインフルエンザ流行前線情報データベース」のサイトでは有志医師たちが自院でのインフルエンザ診断状況を速報で伝えています。

海外でもインフルエンザ大流行

アメリカでは3州だけでこれまで248人が死亡

米疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、アメリカでは今年のインフルエンザ大流行により、1月20日の時点では50州中ハワイ州を除く49州で感染が拡大しているという。
CDCの統計によると、2017年10月1日から2018年1月20日までの間でインフルエンザが原因の入院患者数は、カリフォルニア、コロラド、コネチカット、ジョージア、メリーランド、ミネソタ、ニューメキシコ、ニューヨーク、オレゴン、テネシー各州の計10州70郡のみで11,965人を数えた。

数千人規模の死者が出る可能性も。

3州だけでこれまで計248人が死亡しているということは、50州全体を合わせると死者数は最終的に数千人以上の規模になる恐れもありそうだ。

中国でも過去3年間に比べて陽性反応確認例が大幅に増加

中国疾病予防コントロールセンターによると、中国南部の医療機関で1日から8日までにインフルエンザの疑い例と診察された人は受診者の6.0%だった。2015年同期の3.0%、16年の3.2%、17年の3.3%に比べて倍増近い状況だ。
検査により感染の陽性反応が出た人は41.0%で、15年から17年にかけての13.2%、15.8%、20.2%と比べてやはり倍増以上の状況だ。

北朝鮮では8万人超の感染者 死者も

国際赤十字社が26日に発表した「北朝鮮A型インフルエンザ発病報告書」は、19日に北朝鮮保健省が世界保健機関(WHO)の平壌事務所に報告した内容として、昨年12月1日から1月16日までの間に12万7000件のインフルエンザが疑われる事例があり、うち8万1640件の感染が確認されたとしているという。実際の感染数は、これより多いものと思われる。

芸能・スポーツ界にもインフルエンザの余波広がる

芸能界

関口宏

俳優の関口宏(74)が4日、インフルエンザのため、司会を務めるTBS系の情報番組『サンデーモーニング』(毎週日曜 前8:00)を欠席した。代役を務めた同局の松原耕二キャスターによると、関口の病欠は番組開始から30年で初めてだという。

久本雅美

20日に放送された『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)で、MCの久本雅美がインフルエンザで欠席。番組が始まって22年経つが、番組を休演するのは初めて。

国分太一(TOKIO)

TOKIO・国分太一は人生初の罹患で『ビビット』(TBS系)を1月5日の生放送から欠席(8日に復帰)。

小山慶一郎(NEWS)

小山は今月5日、インフルエンザのためキャスターを務める情報番組「news every.」(日本テレビ系/毎週月曜~金曜15時50分)を欠席。グループでMCを務める「ザ少年倶楽部プレミアム」(NHK BSプレミアム/毎月第3水曜よる8時)の19日放送回でも小山は不在となった

ローラ

片瀬那奈

俳優の哀川翔とタレントの高田万由子が17日、東京・スウェーデン大使館で行われた、ロボット掃除機『PUREi9(ピュア・アイ・ナイン)』新製品発表会に出席した。高田は、本来出席する予定だった女優・片瀬那奈がインフルエンザで欠席したため、代役として登壇。

絢香

藤原基央(BUMP OF CHICKEN)

SUGIZO(LUNA SEA)

岡野昭仁(ポルノグラフィティ)

男性2人組ロックバンド「ポルノグラフィティ」が2月5日に予定していた東京・オリンパスホール八王子公演と7日の神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールでの公演中止を4日、公式サイトで発表した。岡野昭仁(43)がインフルエンザに感染したため。

なお、昨年12月に福島県郡山市で予定していたライブも岡野のインフルエンザ感染により中止になっていました。

角田晃広(東京03)

お笑いトリオ「東京03」の角田晃広(44)が23日、インフルエンザのため生出演予定だった日本テレビ「火曜サプライズ」(火曜後7・00)を欠席した。

橋本直(銀シャリ)

橋本はその後、インフルエンザを発症。12日に出演予定だった午前中の番組「よ~いドン!」(関西テレビ系)を欠席。さらに14日に大阪・よしもと西梅田劇場で予定していた公演にも欠場し、相方の鰻和弘が1人で出演することになった。

望月理恵

海老原優香アナ(フジテレビ)

同17日にはフジテレビの海老原優香アナウンサーが『とくダネ!』(フジテレビ系)を欠席

大家志津香(AKB48)

アイドルグループ・AKB48の大家志津香が、きょう24日に放送されるテレビ朝日系バラエティ番組『くりぃむクイズ ミラクル9』(毎週水曜20:00~)の収録をインフルエンザで欠席。

梁川奈々美・段原瑠々(Juice=Juice)

三森すずこ

転校少女歌撃団

アイドルグループ『転校少女歌撃団』ではメンバー7人中4人が発症または感染の疑いにより、11日に予定していた定期公演を中止しました。

池田美優

佐野勇斗(M!LK)

スポーツ界

田中大輝(野球・巨人)

巨人は3日、3軍那覇キャンプに参加している田中大輝投手(25)がインフルエンザB型と診断され、この日の練習を休むと発表した。

愛斗(野球・西武)

西武は2日、高知県春野キャンプに参加している愛斗外野手(20)がインフルエンザB型に感染したと発表した。

中尾輝(野球・ヤクルト)

ヤクルトは28日、1軍キャンプメンバーに選ばれていた2年目の中尾輝投手を2軍スタートに変更することを発表した。中尾は27日にインフルエンザを発症していた。

近藤真市 投手コーチ(野球・中日)

中日は29日、近藤真市投手コーチ(49)がインフルエンザB型を発症したと発表した。

照ノ富士(相撲)

インフルエンザの豆知識

変異して何度も感染する恐れあり

A型、B型、C型があり、人に強い症状が出るのはA型とB型。A型ではH1N1亜型とH3N2亜型が、B型では山形系統とビクトリア系統がこれまで人の間で流行を引き起こしてきた。
新型は流行を繰り返すうち季節性インフルになり、平成21年に流行した新型は現在、A型H1N1亜型として、同タイプのAソ連型に代わって季節性として流行。H3N2亜型はA香港型と呼ばれて流行を繰り返している。複数の亜型がある上、増殖を繰り返す過程で変異しやすいため、一度かかっても何度でも感染することがある。

症状が分かりにくい「隠れインフル」の正体はB型

「A型を発症した患者がほぼ高熱が出るのに対し、B型は発症しても37度台の微熱で済む、あるいは熱が出ない場合がある」と説明するのは山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏。
池上総合病院(東京)の辻祐一郎小児科長は「B型はせきや鼻水などの症状はあるのに、熱があまり上がらず微熱程度ということがある」と話す。

ウイルスの感染力と潜伏期間

インフルエンザは潜伏期間が短いので、朝に発熱したまま学校や会社に行くと、集団感染してしまうことも十分あります。また、発熱前から感染力があるので、学校では学級閉鎖をしても集団感染を完全には予防できません。
インフルエンザは法律で定められている「感染症」です。普通の風邪と違い、感染した人は集団感染を予防するために出勤や登校をしてはいけない等と定められています。小児や高齢者の場合は、重症になることもあるからです。

インフルエンザの主な症状

・時間帯を問わず、38℃を越える高熱がある
・寒気・震え(特に発熱する直前)
・倦怠感
・頭痛
・関節痛・筋肉痛
・喉の痛み
・咳(ない場合もある)
・鼻水(ウイルスが含まれるので感染性あり)
・くしゃみ(ウイルスが含まれるので感染性あり)

高齢者のインフルエンザ感染は「肺炎」の合併症に注意

高齢者がインフルエンザにかかった場合、怖いのは肺炎球菌による肺炎の合併です。
ペニシリンなどの抗生物質で治ると思われていますが、抗生物質は肺炎の病期を短縮するものの、肺炎の死亡率自体を下げる結果は出せていません。

インフルエンザの予防法

ウイルスになるべく触れないことが重要

インフルエンザウイルスは感染力が高く、予防にはウイルスになるべく触れないことが重要となる。厚生労働省は、体調に不安がある場合は人混みを避けるほか、外出後は手洗いとうがいをするよう呼びかける。
インフルの感染経路には、患者のせきやくしゃみで飛んだウイルスを吸い込むことによる「飛沫(ひまつ)感染」と、ウイルスのついたドアノブなどを触った手で口や鼻に触れることでウイルスを取り込む「接触感染」がある。患者がマスクをしてウイルスを飛ばさないようにすることは重要だ。

一番効果的なのは「手洗い」

全国で流行中のインフルエンザに関して、最も効果がある対策は「手洗いをする」だと、10万人の医師が所属する専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」が発表しました。
「MedPeer」に参加する医師1007人中639人が「手洗い」が最も有効だと思うと回答しました。理由としては「触れたものから口の粘膜にウイルスが移行する頻度が一番高いと思うから」「接触感染のほうが飛沫感染より頻度が高い」などがあげられており、「病院でも感染予防の第一は手洗い」という意見もあります。

ウイルスの嫌いな環境(室温・湿度)を保つ

前出の中原氏は「インフルエンザウイルスは寒ければ寒いほど、また湿度が低ければ低いほど活性化する」と解説する。
かぜやインフルエンザのウイルスは、低温と乾燥が大好きです。温度22℃程度・湿度50%以上でインフルエンザウイルスの生存率は2~4%に低下したという論文もあります。患者さんのせきやくしゃみが飛び散る診療室は、ウイルスが嫌うそういった環境を保つようにしています。部屋の湿度が保たれると、鼻やのどの粘膜の保湿につながります。

体内も水分補給で乾燥を防ぐ

ウイルスが体内に入っても、のどの粘膜や鼻毛といったバリア機能が働けば、そこで一部は侵入を食い止めることができます。バリア機能を十分に引き出すには、粘膜を乾燥させないことが重要です。ですから、水分補給をいつも心がけましょう。冷たい水ではなく白湯を飲むと、体温をキープすること、また体温のキープは免疫力の活性化につながります。

インフルエンザワクチンによる予防

インフルエンザワクチンを接種しても注意が必要

予防効果が期待できるのは、接種した2週間後~6カ月程度と考えられているのだ。さらにインフルエンザのウイルス型は大きくA型、B型、C型の3種に分類され、どの型が流行するかは毎年違う。特にA型は毎年少しずつ変異しながら流行を繰り返す。

「ワクチンを毎年接種すると免疫力が高まる」という研究結果も

健康な成人でも繰り返しインフルエンザワクチンを接種すると免疫が低下するのかどうか調べたという。Cox氏らによる研究の詳細は「The Journal of Infectious Diseases」3月号に掲載されている。
その結果、ワクチンを接種した人では接種回数にかかわらずインフルエンザウイルスの感染を予防できるレベルの抗体価が維持されていた。また、接種歴が1回だけの人と比べ、毎年接種していた人ではヘルパーT細胞の活性が高く、ウイルス感染と戦う能力が高いことが示された。

インフルエンザ予防に適した食材

腸内環境を整えて免疫力を高める

免疫の力を高めるには「腸内環境を正常に保つ」「粘膜を強くしてウイルスの侵入や炎症を防ぐ」という2点が大切となってくる。
良好な腸内環境のためには、納豆やヨーグルトといった発酵食品、根菜やキノコ類などに多く含まれる食物繊維を意識的に摂(と)るようにするとよい。
まずは、ビタミンAの含有量が多い食材を食べる心掛けをしよう。ビタミンAは緑黄色野菜(ブロッコリー、かぼちゃ、にんじん、ピーマンなど)やレバー、卵などに多く含まれている。また、近年は野菜の皮、種などに含まれているファイトケミカルをスープに煮出して摂取することで、免疫力を高められると言われている。

ウイルス予防に適したマスクを選ぶ

マスクには「ウイルス対策用」「花粉対策用」など、それぞれ適したマスクがあるようです。それらを見極めるにはマスクの商品パッケージに「VFE」「PFE」「BFE」の遮断率試験の数値が記載されているそうなので、購入時に確認してみましょう。

48. VFE(ウイルス濾過効率)はウイルスなど飛沫を捕集する割合。数値が高いほど遮断効率が高いことを表す
49. PFE(微粒子ろ過効率)は、試験粒子(0.1μm)が除去された割合(%)を示す
50. BFE(細菌ろ過効率)は、細菌を含む粒子(約3μm)が除去された割合(%)を示す
51. VFEとPFEが高いマスクはインフルエンザ予防や風邪予防に効果的。BFEが高ければ花粉症対策に適している
56. 厚労省はインフルエンザ予防対策のひとつとして「咳エチケット」を提唱。「症状のある人からの感染防止用としてのマスク使用の効果は認められている」とするもの