世界中で巻き起こる“こんまり”近藤麻理恵ブーム

2019年3月8日公開

新年の始まりとともにNetflixで配信がスタートした番組をきっかけに、“こんまり”こと近藤麻理恵さんによる“こんまり流お片づけ術”が、アメリカを中心に世界中でブームを巻き起こしています。この“こんまり旋風”を全貌をまとめました。

“こんまり流”片づけ番組が全米でブレイク

『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』が話題に

Netflixで1月1日に配信スタート

片付けコンサルタントの“こんまり”こと近藤麻理恵さんのリアリティ番組がNetflixでシリーズ化され、今年1月1日から『KONMARI ~人生がときめく片付けの魔法~』として配信がスタート。影響を受ける人たちが続出し、アメリカでちょっとした社会現象になっています。
シーズン1が始まるやSNSや米メディアで話題沸騰。新エピソードが配信されるたびにKonMariにならって綺麗に片づけられた棚や部屋の写真をSNSに投稿する人が続出した。
ある女性の視聴者は、「母親と一緒に『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』を見始めたら、母親がこの番組に刺激されたみたいでエピソード1が半分くらい終わったところでリビングのクローゼットを片づけ始めたわ」とツイート。
女性を中心に、『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』を見た人達の反応は概ね好評なようです。

キメ台詞は「Spark Joy!」(ときめき)

“片づけられない”家庭に「こんまりメソッド」を伝授

番組では、近藤がアメリカのさまざまな“片づけられない”家庭を訪問し、「こんまりメソッド」を伝授。家が片づくことで、依頼人自身も前向きな気持ちを取り戻していく、といったもの。
片づけ作業に入る前に近藤は毎回、「まずはおうちにご挨拶します」と、正座をして目をつむり、最後に一礼。その後は「Spark Joy!」(ときめき)をキメ台詞に次々と片づけを指南していくのだが、こういった禅的な作法や”お約束”も、アメリカ人に大ウケしている一因のようだ。

「こんまりメソッド」とは

「こんまりメソッド」とは、物を手に取って「ときめき」を感じるなら残す、感じなければ捨てるというのが基本。ただ、捨てるときも1つ1つに感謝の意を込めてから捨てるのがポイントだ。片づけを通して自分の思考や判断力を鍛え、人生を変える一種の自己啓発や心理セラピーの方法でもあるという。

こんまりメソッドについては、のちほどもう少し詳しく触れていきます。

「KonMari」が「片づけ」を表す動詞に

「KonMariしてみた!」でネットも沸く

お正月のNetflixシリーズ配信直後から、「ときめくかどうか」で片付ける“こんまりメソッド”人気が再燃。今や「KonMari」は英語圏(特に大手メディアやSNS)では「片付け」を表す動詞として使われており、大勢のたちが「私もKonMariしてみた!」という報告動画や画像をSNSに投稿しています。

「KonMari」同様、「Kondo-ing」や「Kondo」も片づけを表す単語として使われているようです。

ハッシュタグ「#konmarimethod」がトレンドに

「#Konmarimethod」というハッシュタグが今、SNSでトレンドとなっている様子。ハッシュタグを追うと、こんまりさんのお片付けメソッドで家の片づけをした人たちの画像がわんさか出てくるんです!
考えてみれば、片付けするだけじゃなくて「キレイになったお部屋やクローゼットを他の人にも見てほしい!」という欲求が出るのは自然なこと。SNSでお片付け画像が流行るのも当然といえば当然かもしれませんね。

映画の公式Twitterも「#Konmarimethod」で投稿

先日はコリン・ファースが主演し日本でも大ヒットした映画『キングスマン』の公式インスタグラムとツイッターまでもが、“こんまりさん流お片付け”の合言葉を持ち出してユニークな投稿をしたんです!
『キングスマン』の公式インスタグラムとツイッターに投稿されたのはこんな文章。
「Does this spark joy? Yes, yes it does #Konmarimethod」
(これはときめく? そうさ、イエスだよ #Konmarimethod)
今回のツイートはキングスマンの武器や銃、スーツなどがきれいに整理整頓された画像に添えられていて、「これらの武器は全部ときめくよ!」というような意味にも思えます。なんともユーモアあふれる投稿です。

Twitterでネタになるほどの影響力

日本でも流行語大賞に選ばれるような有名人の定番フレーズや人気番組内の定番のやり取りなどが日常会話やTwitter上でネタにされますが、海外でも同様に、こんまりの番組をネタとして使う人が激増。番組の影響力の強さをうかがわせました。

ある女性は、「近藤麻理恵さんと激しい議論をした後、自分をゴミ箱に捨てることにしたわ」と、自分自身にときめかないことを示唆する自虐ツイート。「捨てる時に自分自身に感謝した?」という突っ込みのリプライもありました。

こういったネタについては、こんまり本人も知っているようです。以下はインタビュー記事より。

私も驚いています。「KonMari」「Tokimeku」はミームとしても色んな場で使っていただいています。片付け以外にも、旦那さんに対して「どうしよう! 私、夫にトキメかなくなっちゃった!」といった冗談にもなっているようです(笑)。
「近藤麻理恵の5歳の娘さんは自分で服を折りたたむかもしれませんが、18か月の私の子供は誰にも頼まれていないのに、自分のおもちゃを洗いました」
「近藤麻理恵さんが私の家に来たら」というツイートには、近藤さんが絶対言わないであろう台詞が。

人気テレビショーに次々と登場

海外メディアは連日「こんまり」の話題で持ちきり

「こんまり」旋風の勢いはすさまじい。海外メディアは彼女の話題で持ちきりだ。ニューヨーク・タイムズなどの一流紙からウェブメディアまで、何百というメディアが連日、番組の人気ぶりを取り上げ、その魅力を詳細に分析している。それだけではない。エレン・デジェネレス、ジミー・キンメルなどの人気テレビショーに次々と登場し、超大物芸能人と肩を並べても、まったく気後れすることもなく、肝の据わったタレントぶりを見せている。
配信日を皮切りに、ニューヨーク・タイムズ紙、ロサンゼルス・タイムズなどの著名新聞を始め、「ピープル」誌、「ローリング・ストーン」誌、スーパーマーケットのレジ脇設置雑誌スタンドで必ず見受けられる女性向け雑誌「In Style」誌、そして男性に向けた雑誌「GQ」誌など、数え切れないほどの雑誌で取り上げられており、これに付随して各誌のYouTubeチャンネルでも取り上げられ、彼女の知名度はウナギのぼりである。

人気番組でパロディ動画を放送

2月中旬にはセレブと車中で熱唱する「カープール・カラオケ」コーナーが人気のCBSのトーク番組『ザ・レイト・レイト・ショー』でも、こんまりメソッドを扱ったパロディ動画を放送。
司会者ジェームズ・コーデンがアクションスターのジャン=クロード・ヴァン・ダムを引き連れてカップルの家を訪問し、スパークジョイしない(ときめかない)ものを片っ端から粉々にしていくという動画はユーチューブにもアップされ、現在までに36万回以上視聴されています。

セレブたちもこんまりのファンに

ファンにはセレブも多く、これまでにマーサ・スチュワートやグウィネス・パルトローが自身のサイトでその片付け法を紹介。
直近では、女優のジェニファー・ガーナーが片付け動画をインスタグラムに投稿。「#Can you come over?(うちにも来てくれない?)」とハッシュタグを付け、こんまりさんに助けを求めたことで話題となりました。

“Kondo effect” KonMariブームの影響

リサイクルショップへの持ち込みや寄付が激増

いまやアメリカ人は、すっかり「KonMari」に夢中だ。2019年に入ってから、グーグルでの検索数は昨年末の20倍以上になっている。
2019年1月にアメリカのリサイクルショップに寄せられた持ち込み品の数は、前年の同月に比べて2倍になったという。
こんまりの教えに従い、「ときめき」を感じない品々、または自分が思い描く理想の未来に居場所がない衣服や本、家庭用品を捨てる人が増えた結果、セント・ビンセント・デポール協会のような慈善団体に寄付される品の数が前年比で38%も増加したという報告がある。
NYのリサイクルショップ店員は、買取査定に並ぶ人々の長蛇の列に嫌気がさして「近藤麻理恵の名前は二度と聞きたくない」とぼやき、オランダのリサイクルショップも対応に追われています。
リリースされるやいなや、CNNやWashington Postといった大手メディアが「リサイクルショップへの持ち込み増加」などのコンドー・エフェクト(近藤効果)を報道。リリース直前には70万ほどだった 近藤のInstagram のフォロワー数は220万に到達した。

3月7日時点のInstagramフォロワー数は260万になっています。

余談ですが、もともと物理学の分野に「近藤効果(Kondo effect)」という言葉が存在していて、これは1964年に日本の物理学者・近藤淳氏により提起された理論のことです。

米アカデミー賞に登場 オスカージョークで歓迎される

片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんが2月25日、ハリウッドで行われているアカデミー賞に登場。近藤さんのメソッドに影響を受けた国内外のファンからは、「片付けも極めればアカデミー賞に行けるんだなぁ」などさまざまな反響が寄せられています。
アカデミー賞公式Twitterは近藤さんが会場に到着した際、「Attention all Oscars.Please keep the red carpet tidy.MarieKondo has arrived and we're trying to make a good first impression」(オスカーのみなさまにお願いです。レッドカーペットを汚さないでくださいね。マリエ・コンドウが到着しました。第一印象を良くしたいのです)とオスカージョークで歓迎。カメラに笑顔で手を振るうれしそうな近藤さんの動画をアップしています。

「料理まで片づけている!」と食生活まで話題に

アメリカのメディアが新たに注目したのはこんまりさんのインスタグラムに投稿されていたフード写真。
BravoTVが運営するサイト『ザ・フィースト The Feast』は「こんまりは食事まで片付けている」と紹介し、写真と一緒に「花と一緒に芸術的に飾り付けられたサンドイッチ」と紹介。
おにぎりと一緒に野菜や卵焼きが盛られたワンプレートディッシュの写真は、「ただの野菜さえも上品に片付いている」「色彩豊かで考え抜かれたアレンジ。星型に野菜を切るなんて!」と絶賛しました。

なぜアメリカで『片づけの魔法』がウケた?

もともと住まいの改善に対する潜在ニーズが高い

そもそもアメリカは片付けなど住まいの改善に対する潜在ニーズが高い国。
“おうち改造系”番組の人気が根強く、家のリフォームや部屋の模様替えなどを一日中放映する専門チャンネルも存在するほど。片付けメソッドは数多く紹介されてきました。
「片づけショー」の前例としては、ごみ屋敷を訪ね、そこからごみを取り出して、家をきれいにする「Hoarders」(ため込む人)という番組が2年前にアメリカで放映されている。

拝金主義・物欲主義への警鐘

背景としてあるのが、アメリカを代表する拝金主義、物欲主義への警鐘としてのメッセージ性であろう。このショーは「買いすぎ、ため込みすぎという現象についての国民的な議論の口火を切った」(ワシントン・ポスト紙)と評されたように、アメリカの飽食・物質文化を鮮烈にあぶり出している。
大量のがらくたが集積する現状に頭を悩ませている家庭が非常に多く、シンプルでわかりやすく、実践しやすいメソッドに共感が集まったといえる。

キメ台詞「Spark Joy!」がキャッチー

「ときめき」の英語訳「Spark-joy(スパークジョイ)」がキャッチーで思わず言ってみたくなるフレーズなこと、「捨てる前に物に感謝する」という行為がアメリカ人には新鮮だったこともブームを作り上げた大きな要因だったのではないかと。
「ときめき」をSpark Joy(喜びに火をともす)といった言葉で置き換え、直感的にポジティブなイメージを想起させる上手な英語のコピーづくりも功を奏している。

こんまりの恐るべきコミュ力

このショーのすごみは何といっても、近藤麻理恵という人の恐るべきコミュ力である。たとえ、このメソッドがどんなに魅力的だったとしても、彼女自身にショーマンシップがなければ、これだけの成功は収められなかったはずである。
小柄で、おとなしそうに見える彼女が、外国人の前でも、セレブの前でも、物おじをせず、堂々と大きな手ぶりを入れながら、理路整然と説明し、場を仕切っていく姿は見事で、彼女の定番の「白色」のトップスと同じく、すがすがしい。

のぞき見要素

この番組を通じて描かれているアメリカの家庭にモノが多すぎる実態に驚いた。洋服にしても、ガレージのガラクタにしてもとにかくモノが多い。クリスマスのグッズが好きだという変わった人も登場して、のぞき見要素もあり、思わず引き込まれる。
お片づけを通じて、ターゲットの人となりや人生模様を垣間見るのは実に面白い。夫婦関係、親子関係なども浮き彫りにされる。

一種の「精神セラピー治療」的な側面

ただ、家を片づけるだけではなく、それによって、家族との絆や時間、自分らしさを自ら取り戻すという、一種の「精神セラピー治療」的な側面も、人気の一因となっている。そもそも、本屋に行くと「Self-help」(自己啓発)のカテゴリーにおびただしい本が並び、生き方探し、幸せ探しのノウハウを学ぶことに貪欲な国民性だけに、「自己啓発」の一種としての片づけという切り口に新鮮さや斬新さを覚えたとしても不思議はない。

アメリカ人にとっては「アメイジング!」な収納術

アメリカは家が広くクローゼットが主流のため、引き出し式のチェストもあるにせよ、日本のように「服を折り畳んで収納する」という文化があまり根付いていないのではないかと感じました。ほかにも、「引き出しの中は小さな箱を使って仕切って収納する」などもこまめな日本人ならではの感性。
「自分たちの中になかった斬新な方法で収納する」というのは、やはりアメリカ人にとっては「アメイジング!」となり、番組を面白く感じる要素になりうるのではないでしょうか。

禅的な作法や「アニミズム」的な儀礼

上のほうで紹介した引用文にもあったように、片づけ作業に入る前に一礼するといった禅的な作法などもウケている一因ではないかとされています。

番組を観ていて目についたのが「アメリカ人が考える日本人的しぐさ」が多いところ。たとえばありがとうと感謝の気持ちを示すときに、顔の前で両手を合わせて一礼するとか。
ほかにも毎回出てくるのが、片付けの前に「おうちにあいさつしたい」ということで、家の中でよさそうな場所を探し、その場に正座をして目を閉じる。しばらくしたらゆっくりと目を開け、両手で床をそっとはらうようなしぐさをして深く一礼します。
家やモノと会話をするように、つながり、感謝をする、といった「アニミズム」(自然のすべてに精霊が宿っているとする精霊信仰的な考え方)的な儀礼やZen的なミニマリズムも神秘的と映った。
注目を集めたのは、アニミズム的ともされる「モノに対して尊敬の念を抱き感謝する発想」だ。近藤は、家に対して祈りを捧げるし、捨てるシャツにすら感謝する(「自分はこういうものは好きではないと気づかせてくれたから」という理由で)。
こうした発想はアメリカで衝撃を呼び、数々のメディアが「非西洋的な東洋の神秘主義」な番組だと分析していった。

片づけによる心の癒やし効果も

家の中をきれいに保つことには妙に心を癒やす効果があって、いらない物を捨て、洋服をたたみ、台所の棚やクローゼットを整理して、さらにはバスタブも掃除するといった単純な行動が、かなりのストレス解消になるのです。
「片付けによる癒し」というのはスピリチュアル的な要素もあります。日本の「禅」に通じるようなものも感じられ、それも人気が出た理由といえるかもしれません。

番組開始前から海外で支持されていた「こんまりメソッド」

書籍は世界でシリーズ累計1000万部超

ここまで紹介してきた“こんまり旋風”の様子を見ると、1月にスタートしたNetflixの番組で突然ブレイクしたように感じるかもしれませんが、実は番組開始前から書籍のヒットなどで「こんまりメソッド」が日本だけでなく海外にも支持を広げていて、今回の大ブレイクにつながる下地ができていました。

2010年に出版されベストセラーになった「人生がときめく片づけの魔法 (英語タイトル:The Life-Changing Magic of Tidying Up)」は、英語はもとより、韓国語・中国語・スペイン語・インドネシア語・フランス語・ドイツ語・スウェーデン語・ポルトガル語に翻訳され、30か国以上で出版されている。
そして2014年、遂にアメリカ出版となった。彼女の「こんまりメソッド」と呼ばれるセルフヘルプ的な感覚につながる片づけ方法は、心理分析やカウンセリングが一般市民の生活に根付いているアメリカ主要都市を中心にジワジワと広がっていった。
同書は世界40ヵ国で翻訳され、2019年2月時点でシリーズ累計1000万部を超える世界的大ベストセラーになっております。

“こんまり”こと近藤麻理恵とは

ここまで長々と“こんまり旋風”について紹介してきましたが、そもそも“こんまり”こと近藤麻理恵さんについて触れていませんでしたので、ここで簡単なプロフィールを。
近藤さんは1984年10月9日生まれ、東京都出身の34歳で、現在の肩書きは「片づけコンサルタント」。5歳から『ESSE』などの主婦雑誌を愛読して、中学生の時に本格的に片づけの研究を始め、大学在学中の19歳でコンサルティング業務を開始。大学卒業後、企業勤務を経て、片づけに特化したコンサルタントに転身しました。
そして2010年、初めての著書『人生がときめく片づけの魔法』がベストセラーに。『王様のブランチ』(TBS系)や『NHKニュース おはよう日本』などの情報番組に出演し、一躍有名になりました。14年には結婚を機にアメリカ・カリフォルニアに拠点を移し、活躍の場を海外に広げています。

2014年頃から欧州でも人気に

国内でベストセラーになった著書は後に30か国語以上に翻訳され、2014年頃には欧州で徐々に人気を博していくのです。特にドイツなど、片付け好きな国民性の国で、読者からの共感を得ました。
筆者が住むオランダでも、こんまりさんの書籍は通常版の他にも漫画版が発売されています。

15年に大きな転機 「最も影響力のある100人」に選出

2015年、こんまりのキャリアにとっての大きな転機が訪れる。米「タイム」誌が毎年恒例で行なっている「最も影響力のある100人」特集のアーティスト部門で取り上げられたのである。
「最も影響力のある100人」は著名人の推薦によって決められる。こんまりを推薦したのは女優ジェイミー・リー・カーティスだ。
「もし刺青を彫ってもらうとしたら“Spark Joy”と入れたいくらい、こんまりを尊敬しています」と推薦記事を締めくくっており、こんまりにとっては最強のエールとなった。

この「最も影響力のある100人」への選出が大きなきっかけとなってアメリカを中心に海外でも知名度が一気に上がり、“世界のKonMari”としてグローバルに活躍されています。

“こんまり旋風”を本人はどう思っている?

“こんまり旋風”の要因や現地での反応をこんまり本人に直接聞いたForbes JAPANの記事から、気になったところを紹介します。

ヒットの要因について

なぜここまで支持いただいたのかはわからないのですが、強調したいのは、アメリカでの公開にあたって現地向けの特別なアレンジは一切加えていないということです。
私は5歳の頃から片付けについて研究を重ね、19歳から片付けコンサルタントとして活動を始めました。日本の片付けの問題に向き合ってきました。
それがアメリカの方々に影響を与えているということは、日本人もアメリカ人も片付けについての悩みは同じだということではないでしょうか。

日米での反応の違い

日本ではまず主婦向けの生活雑誌やお昼の情報番組で生活術として取り上げていただきましたが、アメリカでは早くからニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルに取り上げていただきました。
この違いは、「片付けに対する精神性」に着目いただいているからだと思っています。
私は、片付けを物理的な整理整頓ではなく、自分の価値観や人生を見つめ直すための行為だと捉えています。だから物を捨てるかどうかも「ときめく」かどうかを判断基準にしているんです。
モノへの感謝や家への敬意も大切にしています。「洋服をたたむときは感謝の気持ちを込めて」というと日本では納得いただけることが多いのですが、アメリカだと頻繁に「なぜ?」と尋ねられます。彼らにとっては片付けを通して物事に感謝することは、彼らにとっては新鮮なのでしょうね。

「こんまりメソッド」のヒントを紹介

最後に、これまで何度も出てきた「こんまりメソッド」について少し触れておきます。
大事な原則や「ときめき」を判断するヒントなどを参考に、新生活や新年度に向けて皆さんもKonMariしてみては?

こんまりメソッド「5つの原則」

こんまりメソッドで片づける際の最も大事なルール「5つの原則」。まずはこれを押さえておきましょう。

ルール1:「理想の暮らし」を考える

片づけを始める前に、片づけが終わったあとの「理想の暮らし」を具体的に考える。

ルール2:「モノ別」に片づける

自分が持っているモノの量の把握は大事。把握するために、モノをカテゴリー別に収納から出してみる。片づける時には、場所別ではなく、モノ別に。

ルール3:触った瞬間に「ときめき」を感じるかどうかで判断する

残すモノを選ぶ時には、モノを手にとって触れてみることが重要。体の反応を感じて、ときめくモノは残し、ときめかないモノは手放す。

ルール4:正しい順番で片づける

「衣類」「本類」「書類」「小物類」「思い出品」の順に片づけることで、「ときめき」の判断力や感性が少しずつ磨かれる。

ルール5:家にある「あらゆるモノの定位置」を決める

モノの定位置が決まれば、片づいた状態をキープできるようになる。定位置を「ひとつ残らず」決めることが大事。

服やバッグの「捨て時」判断方法

こんまりが言う服への「ときめき」とは?

こんまりメソッドで最初に片づける「衣類」について、ヒントを見ていきましょう。
まずは家じゅうから服を集めて1カ所に積み上げてみます。続いて服の山からひとつずつ手に取り、「ときめく」「ときめかない」の2つに分けていきます。その際に大事になる服への「ときめき」とは…

こんまりさん曰く、触れたときに心地よくそばに置いておける感じがするか、胸がキュンとしたり、ワクワクした気持ちが沸き上がるかどうか、この感覚が「ときめき」なのだとか。逆に、高価だけど好きではない服や、痩せたら着ようと何年も寝かせている服のように、執着する苦しさを感じてしまう服は「ときめかない」モノと判断してOKだそう。
もちろん、ときめかない服は部屋着に降格……などという発想はモノが減らせないのでNG。
「断言します! 外出着から降格させた部屋着は……十中八九着ません!」
だそうです。

アイテムごとの“魔法の質問”

捨てる捨てないの判断材料となるアイテムごとの“魔法の質問”は以下のとおり。

【下着類】…“防寒用は「暖かい」など自分を幸せにしてくれる?”
【トップス】…“前に着たのはいつごろ?”
【バッグ類】…“本当にそんなに使う?”
【ボトム&ワンピース】…“「やせたら着る」は執着かも?”
【小物類】…“「何かに使えるかも」ではなく、「こう使おう」と想像できる?”
【アウター&スーツ】…“「高かったから手放せない」という理由じゃない?”
【靴】…“履いたとき、歩きやすい?”
【靴下類】…“その靴下、今の暮らしに役立ってる?”

衣類は折りたたんで直立させてコンパクトに収納

「ハンガーにかける」に比べ“威力は4倍”に

こんまりメソッドで有名なのが、シャツやスカート、ズボンなどを小さな正方形に折りたたんで、しかもそれを直立させてコンパクトに収納するところ。
みなさんはハンガーなどにかける収納と、たたむ収納、どちらをしていますか? シワになりにくい「かける収納」の方を選ぶ人が多いのではないでしょうか?
ここでも、こんまりさんの持論が炸裂。
「それはたたむことの本当の威力を知らないのです!」
「正しくたためば、かける収納の2倍から4倍!」

本は表紙を触っただけで「ときめき」を判断

「未読の本はすべて捨てる」

続いては「衣類」の次に手をつける「本類」について。

本も選ぶ基準は「ときめき」です。本の場合は、一冊一冊読み始めると捨てられなくなるので、ページをめくらずに表紙を触っただけで判断します。なんという大胆な割り切りでしょうか。
さらに原則、「未読の本はすべて捨てる」というポリシーも画期的。いつか読むつもりで放っておかれている未読の本を読む「いつか」は永遠に来ない、本当に縁がある本であれば、再び自分の前にやってくる――というのが、こんまりメソッドなのです。

一番難易度が高い「思い出品」へのアプローチ

一番「ときめき感度」が上がっている時に手をつける

こんまりさんによれば「思い出品」は一番難易度が高いため、洋服や本などが捨て終わり、一番「ときめき感度」が上がっている時に手を付けるのがよいとのこと。
特に写真、ぬいぐるみなどで「目」がこちらに向いていて視線を感じさせるようなものは捨てるのに躊躇してしまいがちなので、その場合は布で覆ったり、透けない紙袋に入れたりすると捨てやすいとか。供養するような気持ちで粗塩を振ってみてもよい、なんてアドバイスも。

「いつか」は絶対来ない

「『老後の楽しみに写真を残しておきます』といって、未整理のままの大量の写真を段ボールのままとっておく人がいます。断言しますが、そのいつかはけっしてやってきません」。写真、日記、手紙も処分しなくてはならない。「大切なのは、過去の思い出ではありません。その過去の経験を経て存在している、今の私たち自身が一番大事」だからだ。

すでにあるものを最大限に活用して対応

新しい収納グッズを買っても片づけは解決しない

こんまりさんは、物を増やすことにとても厳しいお方です。片づけのために新しい収納グッズを買おうとすると、怒られてしまいます。家に備わっている収納を最大限に活用し、シンプルさを追求すべし!
本を並べるスペースがなかったり、十分な引き出しがあるドレッサーを買う余裕がなかったりしても、足りないことに不満を持つのではなく、あるものを有効に利用して対応するという考え方だ。

メソッドをサクッと学ぶにはマンガ版もオススメ

すぐにでも「Spark Joy」できる!?

こんまりメソッドを理解するにはベストセラーとなった書籍版『人生がときめく片づけの魔法』を読むのが一番良さそうですが、本を読むのが苦手な人はマンガ版を手にとってみては?

実はそんな僕らにまさしくピッタリな『マンガで読む 人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)という本があるんです!
本書はマンガというだけあって、ストーリー仕立てになっており、めちゃくちゃ読みやすいです。
実践的でわかりやすいので、すぐにでも「SPARK JOY」してみたい人には、この『マンガで読む 人生がときめく片づけの魔法』がおすすめです。