コッペパンブーム到来! なぜ今、人気なのか?

2018年4月11日更新

最近、コッペパンにブームが来ています。どちらかというと地味な印象のあるコッペパンが、なぜ話題になっているのか。今回は、コッペパンが注目を集める理由に迫ります。また、話題のコッペパン専門店などの情報もご紹介します。

そもそも「コッペパン」ってどんなパン?

コッペパンは日本オリジナルのパン

誕生してもうすぐ100年

コッペパンは、アメリカでパンの製法を学んだ田辺玄平が今からおよそ100年前、大正8年(1919年)に開発したといわれています。田辺が創業した「丸十ぱん店」では、それまでのヨーロッパ式の固いパンとは異なる柔らかくふっくらとしたアメリカ式のパンを作りました。そして、食パンと同じ生地で携帯に便利なコッペパンを開発して陸軍に納入したといいます。こうした経緯によって、「丸十ぱん」がコッペパンの元祖といわれています。

また、戦後アメリカから援助された小麦粉と脱脂粉乳を使ったコッペパンが給食に出されるようになったことで、パンそのものが日本各地に普及することになったといいます。

コッペパンの「コッペ」って何のこと?

「切られた」を意味するフランス語の「coupe(クーペ)」が「コッペ」の由来であるという説が有力のよう。ただし、「切られた」という意味が実体と結びついていないという説も。また、ドイツ語の「koppe」(山頂)+ポルトガル語の「pao」だとする説など諸説あり、正確にはわかっていないようです。でも響きがいいですよね、コッペパンって。

コッペパンブームは岩手・盛岡からやってきた

2013年4月にコッペパン専門店「吉田パン」が都内にオープン

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岩手県に“岩手県民のソウルフード”と呼ばれるコッペパン専門店『福田パン』というお店があり、その系列店である『吉田パン』が4年前都内にオープンすると、大行列ができて一躍注目されました。

その後、個人経営のコッペパン専門店のほか、チェーン展開する「(食)盛岡製パン」や「パンの田島」、「コメダ謹製『やわらかシロコッペ』」などの出店が続いています。
また、トラヤカフェでのコッペパンの販売や、コンビニではファミリーマートが昨年「ファミマのコッペパン」シリーズを展開するなど、専門店以外もコッペパンに熱い視線を注いでいるようです。

現在流行のスタイルは盛岡の福田パンから

多くのコッペパン専門店では、注文を受けてから店員が具材を挟み込むというスタイル。これは盛岡の福田パンで行われているスタイルだそうで…

種類は全部で約50種、組み合わせはなんと2000通り以上にも。ミックスか半々を選び、追加料金で「多めに塗って!」などの要望にも応えてくれる。ひと塗りでなめらかに塗る様子は、職人ワザ。

ちなみに「あげパン」の元祖は?

あげパンは昭和27年、東京・大田区が発祥

コッペパンを油で揚げた“あげパン”が生まれたのは昭和27年(1952年)のこと。東京・大田区の嶺町小学校の調理師が、病気で学校を休んだ児童のために、固くなってしまったパンをおいしく食べられるようにと考え、油で揚げて砂糖をまぶしたものを作り、児童の家に届けたことが始まり。これをきっかけに学校給食のメニューに「あげパン」が加えられたということです。

なぜ今コッペパンがブームなのか…理由を調べてみた

ここまで見てきたように、コッペパンは約100年の歴史があり、おいしく手軽に食べられるパンとして長年親しまれてきた存在です。そんなコッペパンが今、主役級の注目を集めているのはいったいなぜなのでしょう。
世の中ではこの空前のコッペパンブームをどのように捉えているのか調べてみたところ、諸説あるようで…

理由その1:「コッペパンは誰もが懐かしさを覚える」説

20~30代の若い世代には“昭和”が新鮮

今、ファッションや音楽、お笑いなどあらゆるジャンルで昭和がブームに。ハニカムモードのターゲット層である20、30代の若い世代にとっても「新しいもの」として昭和なアイテムに人気が高まっている。そこで、ハニカムモードでは、長年愛されているコッペパンやかき氷といった懐かしの食べ物を、インスタ映えする見た目に仕上げただけでなく、美容要素も取り入れた若い世代のニーズに合ったスイーツへと進化させる事で、若年層に向けた商品にした。

多くの世代が給食で食べた「懐かしさ」

バターやジャムが塗られたコッペパンを給食で食べた経験を思い出し、「懐かしい」という気持ちを呼ぶのでは、という考察も複数見受けられました。

理由その2:「SNSウケがいいコッペパンの登場」説

具材の種類の豊富さがSNSウケにつながっている?

コッペパンの専門店などに行くと、数十種類のメニューがあるお店もあります。見慣れたジャムとバターという組み合わせだけではなく、コッペパンに挟める具材の種類が豊富になり、また自由に選べるお店などが増えたことで、SNSウケする要素が出てきてブームを作っているのでは、と論じている記事がありました。

進化系コッペパン「ピリ辛タンタン麺」に「チョコミント」

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昨年、神奈川県相模原市にオープンしたコッペパン専門店「月刊アベチアキ」。こちらではラーメンの麺に肉味噌などを合わせた「ピリ辛タンタン麺」や「チョコミント」など、進化系ともいうべきコッペパンのメニューが勢ぞろいしています。

どれにしようか迷ってしまうほどの充実したラインナップですが、赤ワインをベースに手づくりジャムを挟む「サングリア」、自家製で焼き上げる「グラノーラ」、味も見た目も爽やかな「チョコミント」、ラーメンの麺にピリ辛に仕上げた自家製の肉味噌や野菜を盛り合わせた「ピリ辛タンタンメン」は、『月刊アベチアキ』でしか味わえないコッペパンです。

ちなみに店名の「月刊アベチアキ」とは、月刊誌を楽しむように訪れるたびに新発見がある店舗を目指すという想いとオーナーのフルネームの組み合わせなんだとか。

理由その3:「どんな具材も受け入れる懐の広さが魅力」説

シンプルな味のコッペパンだからこその多様な展開

コッペパンはふわふわで柔らかく、味がシンプルであるため、甘いクリームから総菜まで、多種多様な具材を挟んで味わうことができます。味の決め手はパンではなく具材。だからこそ多様な展開ができる、と論じている記事がありました。

さまざまな味わいを楽しめるから飽きがこない

「吉田パン」はコッペパンブームの火つけ役といわれる亀有の行列店だ。注文を受けてからたっぷりのジャムやクリームを塗って仕上げるので、いつでも作りたて。好みに応じて具材のカスタマイズも可能で、「カレーにあん」といった個性派メニューも試せる。

「値段が手頃」「店員との交流の楽しさ」なども

ワンコインでお釣りがくる価格

コッペパンはSNSウケしつつ、値段がお手頃なのも魅力という記事も散見しました。ブームの先駆けとなった吉田パンのサイトを見ると、180円から450円という価格帯。確かにこれくらいの値段なら気軽に味わえそうです。

カウンターのジャムや総菜を見て選ぶ楽しさ

これは一部の専門店のみですが、注文後に具材を挟み込んでもらうスタイルの楽しさを理由にあげている記事もありました。
提供までかかってしまう時間もカウンター内のジャムや総菜を見て「どれにしようかな」とワクワクする時間となり、注文する際に自然と生まれる店員とのコミュニケーションも楽しめる、などと指摘しています。

そのほかの理由として、「切ったり焼いたりの加工がいらない手軽さ」「甘ければ子供のおやつ、総菜系なら男性も満足できる」をあげている記事もありました。

コッペパンブームの理由をまとめると…

さまざまな理由が複合してブームに?

ここまであげてきたコッペパンブームの理由をまとめると、コッペパンは懐かしさと新しさの両面を持ち、SNSウケが良く、好みに応じて多彩な具材を楽しむことができ、さらに値段が手頃…といったところでしょうか。
ある特定の理由が…というわけでもなく、さまざまな理由が複合してブームになっているようですね。
調べてみて、コッペパンそのものは給食で食べていた懐かしい味なんだけれども、お店で自分の入れたい具材を伝えてその場で包んでもらうというスタイルや、中に入れる具材が豊富になったことが目新しさにつながっているのかもしれない、と思いました。

コッペパンで話題の人気店

福田パン(岩手県)

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アイスクリームショップのような華やかな店内。色とりどりのものはアイスクリームではなく、コッペパンに挟むフィリング(具)。ここは、岩手県盛岡市の1948年創業コッペパン専門店「福田パン」。人口約127万人の岩手県内で毎日1万個ほどが売れる人気ぶり。ちなみに、盛岡市の人口は約30万人(2017年9月1日盛岡市役所推計)ですから、盛岡市内の30人に1人は毎日食べているわけですね。盛岡市民は「福田パンで育つ」と言われるほどです。
店員さんがコッペパンに、あんこやクリーム、ジャム、バターをその場で塗ってくれます。甘いものだけでなく、トンカツ、ハンバーグ、照り焼きチキン、スパゲティ、カレー、れんこんしめじ、ごぼうサラダなどおかずの具も豊富。50種類以上のフィリング(具)があり、ミックスも出来るのですから、組み合わせは無限大。

福田パンは岩手県内に4店舗(2018年4月現在)。次に紹介する吉田パンは系列店です。

吉田パン(東京都)

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「吉田パン 亀有本店」では、オーダーが入ってから具材をパンに詰めるライブ感が魅力。定番のメニューに加え、好みの具材をトッピングでき、オリジナルの味を作れる。「抹茶」(200円)は、濃厚なのにどこか優しい味わいの抹茶が楽しめる。シンプルだからこそ、パン本来のふわっとした甘味が際立つ。

吉田パンは亀有本店とルミネ北千住店の2店舗(2018年4月現在)。

月刊アベチアキ(神奈川県)

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異業種から転職し、神奈川・相模原と東京・町田市で人気のベーカリー「パン・パティ」で店長として活躍していたアベチアキ氏が、初めて独立し立ち上げるコッペパン専門店『月刊アベチアキ』が、2017年8月26日(土)にオープンしました。
オープン前に店内でコッペパンを焼き上げ、オーダー後に具材をはさみ、作り立てを提供してくれます。

パンの田島

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「パンの田島」はドトールコーヒー系列が運営するコッペパン専門店で、現在、東京都内を中心に店舗数を拡大し、新店舗がオープンするたびに話題になっています。

注文ごとに作ってくれるコッペ&揚げパン専門店。レトロな形のコッペパンはほんのり甘く食べ応えも満点だ。

(食)盛岡製パン

「(食)盛岡製パン」は、盛岡のコッペパンサンドを販売する “コッペパン専門店”。2017年4月に1号店を千葉県市川市の行徳にオープンし、1日1000個のコッペパンサンドが完売する行列店となっています。
盛岡ならではの、じゃじゃ麺や前沢牛のおかず系、盛岡リンゴや南部せんべいのお菓子系など、合計28種類のオリジナリティあふれる手づくりにこだわったフィリングを取り揃え、南部小麦を混ぜ込んで店内で焼き上げるコッペパンにオーダーごとに挟みます。

行徳店、狛江店、杉田店の3店舗があります(2018年4月現在)。

コメダ謹製「やわらかシロコッペ」

「やわらかシロコッペ」は、パンにこだわるコメダが作った渾身のコッペパン。コメダで提供されているパンは全て自社工場で作られているのです。コメダ専用の上質な小麦粉を使用して、低温で発酵させたのち、じっくり焼くことで白いコッペパンに仕上げました。
コメダのお店では、パンの鮮度を保つため、工場ではなくお店でコッペパンをカットし、名古屋の定番「小倉マーガリン」や、「ポークたまご」、「クッキー&バニラクリーム」など、人気の具材を約20種類、丁寧に詰めています。

関東のほか、名古屋や大阪、京都に9店舗を展開中(2018年4月現在)。期間限定の出店も続いています。

niko and ... COFFEEの「ニコパン」

今回のリニューアルは今まで2階で販売していた人気の「ニコパン」の販売も1階に移設し、席数を増やして新メニューも多数加えて充実しました。
ニコパンの新商品にはマッシュポテトにイタリア産の黒トリュフを混ぜ合わせて具材をサンドした「黒トリュフマッシュポテト」が登場。黒トリュフを贅沢に使用した大人のためのコッペパンです。

ニコパンは、ファッションブランド「niko and ...」の飲食業態「niko and ... COFFEE」の一部の店舗で発売されています。

TORAYA CAFE・AN STANDの「あんコッペ」

JR新宿駅新南口の商業施設「NEWoMan」内の新店舗「TORAYA CAFE・AN STAND(トラヤ カフェ・あんスタンド)」(エキソト/2F)。 同店では、“あんペースト”を「気軽に楽しんでもらいたい」と、おいしい食べ方を提案している。
同店オリジナルの「あんコッペ」(432円)は、たっぷりのあんペースト(こしあん)とクリームチーズを挟んだ小ぶりのコッペパン。クリームチーズの酸味があんの味わいにマッチしている。自宅用をはじめ、手みやげにしても喜ばれそうだ。